消費税の軽減税率を検証する
【第10回】
(最終回)
「軽減税率の導入という選択」
税理士 金井 恵美子
連載の最終回にあたって、「軽減税率の導入という選択」の是非について、筆者なりの結論を出しておこう。
Ⅰ 8%の軽減税率
平成26年4月の税率引上げ時には、「簡素な給付措置」すなわち、臨時福祉給付金の給付が行われた。臨時福祉給付金は、住民税の均等割りが非課税となる世帯を給付の対象としており、その額は、「消費税率の引上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、給付対象者一人につき1万円とする」(※1)と説明されている。また、10%への引上げが延期されたことを受けて再び実施された平成27年度の臨時福祉給付金は、平成27年10月から平成28年9月までの1年間を対象とし、6,000円とされた(※2)。
(※1) 厚生労働省簡素な給付措置支給業務室「簡素な給付措置支給業務に関する全国説明会資料(平成25年11月21日(木))」1頁。
(※2) 厚生労働省特設ホームページ「2つの給付金」
「簡素な給付措置」は、5%であった消費税の税率を引き上げるにあたり、低所得者に対する恒久的な施策を実現するまでの暫定的及び臨時的な措置である(税制抜本改革法7条1号ハ)。
そうすると、「恒久的な低所得者対策」としての軽減税率は、あくまでも5%からの増税による負担を補てんするものとして検討するのが筋だということになる。
つまり、8%の軽減税率を提唱した時点から、軽減税率導入の議論はすでに混迷しているのである。
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