税務判例を読むための税法の学び方【72】
〔第8章〕判決を読む
(その8)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
連載の目次はこちら
(2 判決をみるポイント)
(③ 判例の射程を見極める)
(承前)
給与所得についての判断基準である従属性要件は、この最高裁昭和56年4月24日判決だけではなく、かの大島訴訟の最高裁大法廷昭和60年3月27日判決においても判示されているものである(もっともこの部分は主論部分ではないであろう)。
この判決の4ページ目下段に「給与所得者は、事業所得者等と異なり、自己の計算と危険とにおいて業務を遂行するものではなく、使用者の定めるところに従って役務を提供し、提供した役務の対価として使用者から受ける給付をもってその収入とするものである」と記されている。
これによれば、給与所得が、「非独立的な労務」ではなく、使用者の定めるところに従って提供する労務という従属的な労務の対価であることが示されている。
もっともこの前段赤字下線部分には、「自己の計算と危険とにおいて業務を遂行するものではな」いという独立性要件に該当しない点(すなわち「非独立性」)を指摘する。しかしそれは冒頭にある「事業所得者と異なり」を具体的に述べたものである。そのため事業所得の判断基準を示し、それを否定しているのである。
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