税務判例を読むための税法の学び方【80】
〔第9章〕代表的な税務判例を読む
(その8:「租税法律主義の意義①」(最判昭30.3.23))
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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1 はじめに
この判例は、かの大島訴訟最高裁判決(【72】参照)がとって代わるまで、ジュリスト別冊の租税判例百選において、巻頭を飾っていた判例である。よって租税判例百選の初版及び第2版はこの判例が巻頭に掲載されている。
このことからも分かるように、憲法84条との関係において、租税法律主義の意義につき、最高裁の大法廷において明らかにした重要な判決である。
この訴訟自体は、固定資産税における名義人課税主義について争われた事案であるが、その判決の意義は大きいものであるため、今回よりこの事案を解説したい。
2 事案の概要
X(原告・控訴人・上告人)は、昭和26年2月に訴外Aにその所有する土地を譲渡し、同月に移転登記を完了した。しかし大阪市北区長(条例により、市長からの権限移譲があるものと思われる)は、固定資産税はその年の1月1日を賦課期日として固定資産の所有者に課する旨(地方税法343条1項・359条)、また、所有者とは土地については土地台帳若しくは土地補充課税台帳に所有者として登録されている者をいう旨(同343条2項)の地方税法の規定に基づき、Xに対して、昭和26年分の固定資産税を賦課した。これに対して、X(原告・控訴人・上告人)は、土地に対する固定資産税はその各納期当時の所有者に課せらるべきであり、4月以後を納期とする昭和26年度固定資産税は同年2月に所有権を喪失した原告に課せらるべきものではない旨、主張し、当該課税処分が違法であるとして取消を求めて訴えを提起した。
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