公開日: 2013/03/21 (掲載号:No.11)
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『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響 【第2回】「仲裁制度の導入」

筆者: 小林 正彦

『日米租税条約 改定議定書』

改正のポイントと実務への影響

【第2回】

「仲裁制度の導入」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

1 はじめに

2013年1月24日に日米租税条約を改正する議定書の署名が行われた。
今後両国における国内承認手続を経て発効することになる。

今回の改正のポイントの中で、おそらく最大の改正が「仲裁制度の導入」である。

仲裁制度の導入は、長い間、経済界からの強い要望があった事項である。

移転価格課税など租税条約に適合しない課税が生じた場合の問題解決のために、租税条約自身が用意している問題解決の枠組みとしては、「相互協議」がある。
相互協議については、我が国ではほとんどの事案で合意に達しており、有効に機能してきていると評価されている。

しかし、相互協議には合意義務がないため、必ずしも合意が成立するとは限らないとう大きな欠点がある。実際に多額の移転価格課税事案が不合意となったこともある。
二当事者間の互譲による問題解決には、限界があるということであろう。

相互協議が不合意で終わっても、国内の不服申立制度は利用できる。
しかし、審査請求や裁判では、裁決や判決で当初課税が全額撤回されない限り二重課税部分は残るという問題がある。

そのため、納税者としては解決が保証された制度がぜひとも必要であり、経済界は、その枠組みとして仲裁制度を導入することを強く要請してきた。

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『日米租税条約 改定議定書』

改正のポイントと実務への影響

【第2回】

「仲裁制度の導入」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

1 はじめに

2013年1月24日に日米租税条約を改正する議定書の署名が行われた。
今後両国における国内承認手続を経て発効することになる。

今回の改正のポイントの中で、おそらく最大の改正が「仲裁制度の導入」である。

仲裁制度の導入は、長い間、経済界からの強い要望があった事項である。

移転価格課税など租税条約に適合しない課税が生じた場合の問題解決のために、租税条約自身が用意している問題解決の枠組みとしては、「相互協議」がある。
相互協議については、我が国ではほとんどの事案で合意に達しており、有効に機能してきていると評価されている。

しかし、相互協議には合意義務がないため、必ずしも合意が成立するとは限らないとう大きな欠点がある。実際に多額の移転価格課税事案が不合意となったこともある。
二当事者間の互譲による問題解決には、限界があるということであろう。

相互協議が不合意で終わっても、国内の不服申立制度は利用できる。
しかし、審査請求や裁判では、裁決や判決で当初課税が全額撤回されない限り二重課税部分は残るという問題がある。

そのため、納税者としては解決が保証された制度がぜひとも必要であり、経済界は、その枠組みとして仲裁制度を導入することを強く要請してきた。

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連載目次

「『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響」(全3回)

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

関連書籍

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これならわかる!租税条約

本庄 資 監修  三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 国際事業本部・国際本部 チーフコンサルタント 藤井 恵 著

国際課税における税務調査対策Q&A

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