『日米租税条約 改定議定書』
改正のポイントと実務への影響
【第2回】
「仲裁制度の導入」
税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦
1 はじめに
2013年1月24日に日米租税条約を改正する議定書の署名が行われた。
今後両国における国内承認手続を経て発効することになる。
今回の改正のポイントの中で、おそらく最大の改正が「仲裁制度の導入」である。
仲裁制度の導入は、長い間、経済界からの強い要望があった事項である。
移転価格課税など租税条約に適合しない課税が生じた場合の問題解決のために、租税条約自身が用意している問題解決の枠組みとしては、「相互協議」がある。
相互協議については、我が国ではほとんどの事案で合意に達しており、有効に機能してきていると評価されている。
しかし、相互協議には合意義務がないため、必ずしも合意が成立するとは限らないとう大きな欠点がある。実際に多額の移転価格課税事案が不合意となったこともある。
二当事者間の互譲による問題解決には、限界があるということであろう。
相互協議が不合意で終わっても、国内の不服申立制度は利用できる。
しかし、審査請求や裁判では、裁決や判決で当初課税が全額撤回されない限り二重課税部分は残るという問題がある。
そのため、納税者としては解決が保証された制度がぜひとも必要であり、経済界は、その枠組みとして仲裁制度を導入することを強く要請してきた。
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