公開日: 2013/03/28 (掲載号:No.12)
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『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響 【第3回】「徴収共助の拡大」

筆者: 小林 正彦

『日米租税条約 改定議定書』

改正のポイントと実務への影響

【第3回】

「徴収共助の拡大」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

1 はじめに

“徴収共助”とは、異なる国家間における租税債権の徴収に関する相互協力の枠組みをいう。

例えば、外国企業が我が国から撤退する際に税金の滞納をしたままであった場合、我が国の滞納税金の徴収を当該外国企業の所在地を管轄する外国政府に要請し、外国政府が税金を徴収して送金してくれるといったことを可能にする。

相互協力が基本なので、逆に我が国が外国から要請された場合は、国税庁が外国の税金を徴収し、外国政府に送金しなければならない。

現在の日米租税条約にも徴収共助の規定はあるが、対象が租税条約の規定の濫用により発生する租税債権の徴収の場合に限定されているため、実際に行われたという例を聞かない。

改正後は、対象が滞納租税債権一般に拡大されることになるため、実例も出てくるだろう。

例えば、米国法人で日本に支店等を有しない企業に対し国税当局がPEありと認定して法人税を課しても、自主的に納付されない限り、日本国内に資産がないので差押えなどの滞納処分手続を行うことができず、課税しても実際の税収に結び付かないという問題があった。

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『日米租税条約 改定議定書』

改正のポイントと実務への影響

【第3回】

「徴収共助の拡大」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

1 はじめに

“徴収共助”とは、異なる国家間における租税債権の徴収に関する相互協力の枠組みをいう。

例えば、外国企業が我が国から撤退する際に税金の滞納をしたままであった場合、我が国の滞納税金の徴収を当該外国企業の所在地を管轄する外国政府に要請し、外国政府が税金を徴収して送金してくれるといったことを可能にする。

相互協力が基本なので、逆に我が国が外国から要請された場合は、国税庁が外国の税金を徴収し、外国政府に送金しなければならない。

現在の日米租税条約にも徴収共助の規定はあるが、対象が租税条約の規定の濫用により発生する租税債権の徴収の場合に限定されているため、実際に行われたという例を聞かない。

改正後は、対象が滞納租税債権一般に拡大されることになるため、実例も出てくるだろう。

例えば、米国法人で日本に支店等を有しない企業に対し国税当局がPEありと認定して法人税を課しても、自主的に納付されない限り、日本国内に資産がないので差押えなどの滞納処分手続を行うことができず、課税しても実際の税収に結び付かないという問題があった。

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連載目次

「『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響」(全3回)

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

関連書籍

租税条約関係法規集

公益財団法人 納税協会連合会 発行

これならわかる!租税条約

本庄 資 監修  三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 国際事業本部・国際本部 チーフコンサルタント 藤井 恵 著
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