《速報解説》
公認会計士・監査審査会より
平成30年版の「監査事務所検査結果事例集」が公表される
~「グループ監査」及び「財務諸表監査における不正」における
指摘事項・留意点等の記載を充実~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
平成30年7月31日、公認会計士・監査審査会は平成30年版の「監査事務所検査結果事例集」を公表した。
今回の事例集の特徴は次のとおりである。
① 「Ⅰ.根本原因」において、監査事務所の規模別に、ガバナンス等経営管理態勢や業務管理態勢の問題点に係る事例を充実
② 「Ⅲ.個別監査業務編」において、上場会社による不正会計や海外グループ会社での会計問題の発生が引き続き注目されている状況に鑑み、「グループ監査」及び「財務諸表監査における不正」において、指摘事項や留意点などの記載を充実
「平成30年版 モニタリングレポート」も公表されており、監査法人の状況などについて、会計専門家ではない一般の利用者にもわかりやすく説明がなされている。
事例集は、公認会計士・監査審査会が行う監査事務所の検査で確認された指摘事例等を取りまとめたものであり、基本的に、監査事務所に関する内容である。
本稿では、事例集に記載された事項のうち、一般事業会社における会計処理等においても参考になると考えられるものを紹介する。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 取締役、監査役、投資者等による活用を期待
事例集は、上場会社等の取締役・監査役や投資者等に対する参考情報の提示という観点から、最近の不正会計事案に関するものも含め、審査会検査で確認された指摘事例を記載し、また、監査事務所の改善取組において前向きな取組例も取り入れているので、会計監査人の適切な評価のために、是非参考にしていただきたいと考えているとのことである。
Ⅲ 個別業務における「問題となった事例」
事例集は、次のような事例について述べている。
会計上の見積りについては、継続して不備が頻出していると述べている。
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