monthly TAX views -No.65-「軽減税率と価格設定の自由度」
新聞情報によると、6月中旬に予定されている「骨太の方針」に、「2019年10月1日の消費税率引上げにあたって、税率引上げの前後で、需要に応じて、事業者の判断によって、価格の設定が自由に行われることで、駆け込み需要やその反動減が抑制されるような方策について、具体的に検討する。」という文言が入るという。
租税争訟レポート 【第37回】「架空の業務委託契約に係る消費税の仕入税額控除と源泉所得税の納税告知処分(東京地方裁判所平成29年5月11日判決)」
2011年3月3日、さいたま地検特別刑事部は、消費税などを脱税した容疑で、東京都豊島区の警備会社社長と、同社の顧問税理士を逮捕した。当時の新聞報道によれば、逮捕容疑は、両容疑者が、会社の設立2年間は消費税が免除される制度を悪用するために設立したダミー会社から警備員を派遣されたように装うなどの行為により、2007年3月期から2009年3月期の消費税と法人税計約5,600万円を脱税したということであった。
monthly TAX views -No.63-「消費増税、駆け込み需要とその反動を防ぐ工夫」
事業者もそろそろ消費税率10%引上げへの準備を始めたようで、筆者のところにも関係業界から消費税関連の講演依頼が来はじめている。
リフレ派は、金融緩和政策の効果が上がらない理由を、自らの論理的破たんを棚に上げて、すべて消費増税のせいにする。しかし統計を丹念に見ると、消費増税の影響は、97年も14年も1年程度で回復し、元の経済軌道に戻っている(97年はその後、金融危機という別要因が生じ、長い停滞期に入った)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例60(消費税)】 「公表裁決事例(「個別対応方式による仕入税額控除額の計算に当たり、一括仕入れの調剤薬品等の仕入れを共通売上対応分であるとした用途区分に区分誤りはなかった」)を知り、所轄税務署で個別相談した結果、裁決と同様の計算が可能との回答を得たため、過去に遡って損害賠請求を受けた事例」
調剤薬局を営む依頼者の消費税につき、一括仕入れの調剤薬品等の仕入れを「共通対応」とすれば、課税仕入れ等に係る消費税額が明確に区分されており、個別対応方式が選択できたにもかかわらず、一括仕入れの調剤薬品等の仕入れは仕入の区分ができないものと判断し、不利な一括比例配分方式で申告していた。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例59(消費税)】 「設立事業年度に決算期変更することにより、設立事業年度を短期事業年度にすることができたにもかかわらず、その説明をしなかったため、2期目から課税事業者になってしまった事例」
設立事業年度である平成X7年3月期において、期中に決算期変更することにより設立事業年度を短期事業年度にすることができたにもかかわらず、その説明をしなかったため、設立事業年度が短期事業年度に該当しないこととなり、結果として「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」により、2期目から消費税の課税事業者になってしまった。
これにより、設立事業年度に決算期変更することにより短期事業年度として2期目も免税事業者であった場合と当初申告との差額につき損害が発生したとして賠償請求を受けた。
monthly TAX views -No.60-「改めて、消費税軽減税率は廃止を」
新年早々、外食産業の依頼で「消費税軽減税率の課題」と題する講演を行うので、そのための準備をしつつ考えたことを述べてみたい。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第30回】「張江訴訟」~最判平成17年2月1日(民集59巻2号245頁)~
本件当時は、課税売上高が3,000万円以下の事業者は、消費税の免税事業者とされていた。
X社は、ある課税期間(本件課税期間)において、4,225万円を売り上げた。その2年前の年度(本件基準期間)におけるX社の総売上高は3,053万円だったが、本件基準期間において免税事業者であったことを踏まえ、課税売上高は、当該総売上高の103分の100(当時の消費税率は3パーセント)である2,964万円と考えるべきであるとして、本件課税期間について、消費税の申告と納付をしなかった。
これに対し、Y税務署長は、課税売上高は総売上高の103分の100にはならないとして、X社に対し更正決定をした。X社がこれを争ったのが本件である。
最高裁は、課税売上高は総売上高の103分の100にはならないと判断して、X社の主張を退けた。
租税争訟レポート 【第34回】「賃貸用建物の建築費用の用途区分(国税不服審判所裁決)」
本件は、不動産賃貸業を営む審査請求人(以下「請求人」という)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)について、原処分庁が、課税仕入れに係る支払対価の額が過大に計上されており、また、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する方法による課税仕入れに係る消費税額の計算において、課税仕入れに係る用途区分に誤りがあるなどとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が原処分庁の認定に誤りがあるとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例52(消費税)】 「特定期間における給与等支払額の合計額が1,000万円以下であったにもかかわらず、課税事業者と誤認し消費税の申告及び納付をしてしまった事例」
平成X8年3月期の消費税につき、特定期間の課税売上高は1,000万円を超えていたが、給与等の支払額が1,000万円以下であったため、免税事業者となれたにもかかわらず、課税事業者と誤認してしまい、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を提出して消費税の申告及び納付をしてしまった。これにより、納付税額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。