〔令和6年度税制改正における〕賃上げ促進税制の拡充及び延長等 【第1回】
本稿は、令和6年度税制改正により抜本的に改組された「賃上げ促進税制」の全体像について解説するものである。本稿がきっかけとなって、実際に「賃上げ促進税制」の適用を促進することになることを願うばかりである。
〔令和6年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長 【第3回】
前回までの解説では、主に本制度の税制面に着目したが、今回は、産業競争力強化法の一部改正に伴う、本制度活用の前提となる手続面に着目して解説する。なお、同法の一部改正による影響は制度拡充が主であり、【第1回】及び【第2回】では現行制度と対比する形で拡充枠として扱ったが、【第3回】では比較対象の現行制度に言及しないことから本制度を拡充枠と同義と扱って解説を進めたい。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第66回】「功績倍率と功労加算」
当社は、代表取締役が将来退任する時に、役員退職金に加えて功労加算金を支給したいと考えています。役員退職金に関する規程を設け、例えば、「特に功績が顕著と認められる役員に対しては、役位別倍率に30%を超えない額を限度として特別功労金を加算することができる。」という旨を記載することで損金算入が認められるでしょうか。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例67】「医療法人が給食材料費名目で支払った金銭の損金性」
そのようなわが法人グループの血のにじむような経営努力に対し、先日来受けている税務調査で、水を差すような指摘を受け、法人の理事長は大変憤りを露わにしております。すなわち、わが法人グループの中核である病院における入院患者に対する給食事業につき、これまでグループ外部の業者に委託しておりましたが、別途理事長やその親族が出資する株式会社を通じて行うように変更したことが問題だというのです。わが法人グループの事業をどのように行おうが経営陣の裁量の範囲内であり、税務署に口出しされるいわれはないと思うのですが、税務署は「給食事業のノウハウのない法人を契約書もなく関与させるのは医療法人の悪質な利益調整であり、当該法人への支払いは寄附金に該当する」として課税すべきとし、かつ重加算税も賦課すると主張します。税務署のこのような主張は私人への不当な介入であり、重加算税の賦課などはもってのほかと考えますが、税法上はどのように考えるのでしょうか、教えてください。
租税争訟レポート 【第75回】「更正しないとの通知処分取消請求事件~飲食代金の交際費等該当性(東京地方裁判所令和5年5月12日判決)」
原告らは、京橋税務署の職員らによる実地調査(平成29年1月16日に原告1、同年2月13日に原告2に対し開始された各調査をいい、以下、これらを併せて「本件実地調査」という)を受けたところ、原告らが法人税の確定申告において交際費及びその他の費用として計上した飲食等の代金の一部(以下、「本件各支出」という)は、租税特別措置法61条の4第4項(当時。現行法では同条第6項。以下同じ)に定める交際費等に当たらず損金の額に算入することができないなどと指摘された。
〔令和6年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長 【第2回】
なお、特定株式等の取得価額に90%(100%)を乗じて計算した金額は、その適用事業年度においてその特定株式等の帳簿価額を減額した場合には、その減額した金額のうちその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額に相当する金額を控除した金額とする(措法56①)。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第46回】「別表6(24) 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(24)付表一 給与等支給額、比較教育訓練費の額及び翌期繰越税額控除限度超過額の計算に関する明細書」
実務でも適用する企業が多いと思われる、いわゆる「賃上げ促進税制」のうち中小企業向けの記載の仕方を取り上げる。
令和6年度税制改正では、新たに対象法人の区分が設けられ、控除率や中小企業向けの措置では控除できなかった金額を翌期以後5年間繰り越すことが可能となるなど、制度内容が大幅に改正されている。
また、別表番号が、それぞれ「6(26)、6(26)付表一」から「6(24)、6(24)付表一」に変更となり、税制改正にあわせて改訂されている。
〔令和6年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長 【第1回】
本稿は、令和6年度税制改正大綱公表時に速報解説として寄稿した「中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長」について、改正法令を踏まえ、改めて解説する内容である。
なお、中小企業事業再編投資損失準備金制度(以下、「本制度」という)の拡充・延長内容の把握に有用と思われる範囲で補足しているが、これらはあくまで現時点で公表済みの情報によるものであり、今後の更新情報に留意されたい。また、文中の意見に関する部分は、所属する団体や組織の公式見解ではなく筆者の私見であることを申し添える。