令和7年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第6回】
非適格分割型分割において、分割法人の純資産の部は次のように計算される。この計算において分割割合が使用される。
《税務必敗法》 【第3回】「青色申告承認申請書の提出を忘れた」
本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「青色申告承認申請書の提出を忘れた」というテーマを取り上げる。
「そんなことがあるのか?」と思われる方も多いと思うが、なんと筆者の周囲では青色申告承認申請書の提出を失念した税理士が3名もいた。そうなると、全国的には意外と多くの税理士が同様の失念をしているのではないかと筆者は考えている。
そこで、今回は、青色申告承認申請書の提出を失念する原因とその対策について解説する。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例77】「ゴルフ会員権に係る預託金債権の貸倒損失についての損金算入時期」
社長は自分の道楽であるゴルフについては聖域であるかの如く日夜ふるまっていますが、今回の税務調査では社長の当該ゴルフ道楽に課税庁のメスが入ったところです。すなわち、わが社が会員となっているゴルフクラブのうち、一か所が経営破綻したのですが、当該ゴルフクラブに係る預託金返還請求権につき切り捨てられた金額を退会手続の完了した日の属する事業年度(令和5年3月期)の損金の額に算入したことについて、調査官から問題視されました。
調査官の言うことには、当該金額はゴルフクラブが民事再生法の規定に基づく再生計画認可の決定につき切り捨てが確定した日の属する事業年度(平成30年3月期)に損金算入されるとのことでした。損金計上のタイミングがかなりずれるのですが、税法上いずれが妥当なのでしょうか、教えてください。
租税争訟レポート 【第80回】「更正の請求の特則/遺留分減殺請求に基づく価額弁償金額が確定した日(第1審:東京地方裁判所令和5年6月29日判決、控訴審:東京高等裁判所令和5年12月13日判決)」
原告は、被相続人乙の相続について、相続税の申告をした後、裁判上の和解により定められた価額弁償金を遺留分権利者に支払ったことから、当初の申告に係る課税価格及び相続税額が過大になったなどとして、更正の請求をした。これに対し、新宿税務署長は、上記価額弁償金は上記裁判上の和解の成立によって「弁償すべき額が確定」したものであり、原告は当該事由を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求をしていないから更正をすべき理由がないとして、これを前提とする更正処分をした。
本件は、原告が、上記価額弁償金は現実にこれを支払うことによって「弁償すべき額が確定」すると主張して、上記更正処分のうち、上記価額弁償金に係る更正の請求を認めなかった部分の取消しを求める事案である。
〈令和7年度税制改正〉新リース会計基準に伴うリース取引に係る所要の措置 【補論】
2025年6月30日付で、国税庁より法人税、消費税、所得税の基本通達等の改正が公表された。
この中には、リース取引に関して新設された基本通達も含まれている。リース取引に関しては、新リース会計基準の導入に伴い、法人税法や消費税法の改正が行われたが、今回の基本通達等の改正は、それに続くものである。
そこで、今回は、借手を対象として、改正通達におけるリース税制の見直しの内容や実務における注意ポイントについて解説することにする。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第2回】
令和7年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律)(※1)により、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、「防衛財確法」)が改正され、立法趣旨(第1条)に、防衛特別法人税を創設し、及びたばこ税の税率の特例を定め、防衛特別法人税の収入及びたばこ税の収入額に係る額を、防衛力強化資金として受け入れることが明記された。所得税は引き続き検討することとされている(※2)。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第1回】
本稿では、11回にわたり国家安全保障に関連する税制措置について、防衛特別法人税を中心に政策税制の解説を行い、企業活動への影響を検討する。
令和7年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第4回】
改正後の分割割合及び分配割合の計算方法は次のとおりとなる(法令8①十五・十七・②、23①二・三・②、119の8、119の8の2、法規8の2の3②、8の5の2②)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例148(法人税)】 「代替資産を資産計上して「収用等の特別控除」を適用すべきところ、修繕費として譲渡経費に計上したため、税務調査で指摘を受け、修正申告で修繕費を資産計上したが、当初申告で資産計上していなかったため、「収用等の特別控除」も「代替資産の圧縮記帳」も適用できなくなってしまった事例」
土地区画整理事業により収用される建物等につき移転補償金を5,000万円とする建築物等移転補償契約を施行者であるA市と締結した。税理士は移転補償金につき、収用換地等の場合の所得の特別控除(以下「収用等の特別控除」という。)を適用すべきところ、依頼者が移転補償金を超える金額を収用等に係る経費等として修繕費に計上していたため、特別控除を適用しないで申告をした。
その後、税務調査を受け、上記修繕費は資産計上すべきものであるとして修正申告することになった。
これにより、移転補償金につき、収用等の特別控除も、修正申告により資産計上された資産について、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(以下「代替資産の圧縮記帳」という。)も適用できなくなってしまった。そして、依頼者より、修繕費の内容を事前に精査してもらえれば収用等の特別控除は適用できたとして、当初申告において修繕費を資産計上して収用等の特別控除を適用した場合と、修正申告との差額につき損害が発生したとして賠償請求を受けたものである。