組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第4回】

筆者:佐藤 信祐

このうち、1つ目と2つ目のパラグラフについては、前回の解説の通り、原則として、時価で資産及び負債を譲渡すべきであるが、一定の要件を満たすものについて、適格組織再編成として、簿価で資産及び負債を移転することが想定されていた。そして、適格組織再編成の要件を満たすものとして、企業グループ内の組織再編成、共同事業を営むための組織再編成が挙げられている。

上記1で確認した通り、建物・構築物については中小企業経営強化税制の適用を受けることはできないが、中小企業等経営強化法による経営力向上計画の認定を受けることのできる資産には「建物」が含まれている(※1)。

今回は、青色申告法人X社に対して行われた「諸会費として処理しているゴルフクラブ入会金の損金算入の否認」に係る法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁昭和57年5月20日判決(訟月28巻8号1675頁。以下「本判決」という)を素材とする。

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第3回】

筆者:佐藤 信祐

平成12年10月に公表された「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」は、「第一 基本的な考え方」「第二 資産等を移転した法人の課税」「第三 株主の課税」「第四 各種引当c金の引継ぎ等」「第五 租税回避の防止」「第六 その他」という構成になっている。そして、これらの内容について、平成12年10月11日の租税研究会の会員懇談会にて、当時の大蔵省主税局税制第一課(法人税制企画局)の朝長英樹氏と山田博志氏が講演をされており、その内容は、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』19-48頁(日本租税研究協会、平成13年)に掲載されている(初出は、租税研究614号52-85頁(平成12年))。

車両においては、商業・サービス業・農林水産業活性化税制及び中小企業経営強化税制は対象外となるため、中小企業投資促進税制のみ適用を考える。
なお、上記税制以外に、【第4回】で確認した「地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制)」が平成29年7月31日から適用開始されているが、車両については対象資産(特定事業用機械等)に含まれていないため、当該税制の適用もないことに留意する。

法人税の所得金額や税額等の計算を行う際、例えば、受取配当等の益金不算入、外国税額控除、試験研究費の特別税額控除等、その制度の適用を受けるには、申告書等への所定書類の記載・添付等や証拠書類の保存など、一定の手続が必要とされるものがある。
これらの手続のうち、当初申告である確定申告書に計算明細書の記載・添付等が必要とされるものを、一般に「当初申告要件」と呼んでいる。
この当初申告要件等については、平成23年12月に抜本的な改正が行われ、また、平成29年度税制改正において更にその一部が改正されている。

平成12年10月に政府税制調査会法人課税小委員会から「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」が公表された。この報告書では、同年5月に、会社分割法制を創設する商法改正が行われていることがきっかけであったと記載されている。
組織再編税制が導入される前の合併に対する税制には、明確なものが存在せず、実務上の解釈により対応していたように思われる。そして、現物出資に対する税制も圧縮記帳のみが認められており、基本的には時価取引であったと思われる。

建物附属設備においては、中小企業投資促進税制は対象外となるため、商業・サービス業・農林水産業活性化税制と中小企業経営強化税制の選択となる。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制及び中小企業経営強化税制は、原則として建物附属設備を取得する前に一定の手続きを要するため、事前準備を行う必要があるが、商業・サービス業・農林水産業活性化税制より手続きが複雑な中小企業経営強化税制が特別償却、税額控除ともに有利な制度になっている。

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