空き家をめぐる法律問題 【事例52】「区分所有建物における共同利益違反行為とその解消策」
区分所有建物であるマンションの1室は空き家となっており、ベランダや居室内にごみがあふれ苦情が出ています。また、敷地内の駐車場には、使用細則に反して当該空き家の区分所有者のものと思われる車検切れの自動車が放置されています。
管理組合から空き家の区分所有者に対して改善を申し入れましたが、応じてもらえません。そこで、管理組合では、法的手続を講じるとともに、使用細則に駐車場の不正使用を理由に違約金を発生させる条項を定めることも検討しています。この場合、どのような点に留意して対応すればよいでしょうか。
《税理士のための》登記情報分析術 【第2回】「表示登記について」
「表示登記」とは、登記記録のうち土地や建物の所在地や種類、大きさなどを表す「表題部」に関する登記である。表示登記が必要になるのは主に以下のようなケースである。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第43回】「「借地権はあっても借地権の価格はない」ケース」
本連載の【第3回】では、借地権の価格を評価するに当たっては、相続税の路線価図に記載された当該地域の借地権割合を更地価格に乗じて求める方法が必ずといってよいほど活用されていること、しかし、不動産鑑定士が適用している手法はこれだけに限らないことを述べました。その詳細は【第3回】を参照していただくこととし、今回は、借地権の評価の本質にかかる内容で、筆者が最近、税理士の方から受けた質問を格好の素材とし、借地権の価格を評価するに当たっては、すべてのケースで「更地価格 × 借地権割合 = 借地権価格」という算式を安易に適用してはならないことを述べておきます。
電子書類の法律実務Q&A 【第9回】「勤務中、私的メールをしていた時間は労働時間に当たるのか」
当社に未払残業代を請求してきた従業員が、勤務中に業務と無関係な私的メールのやり取りをしていたことが判明しました。
このような私的メールをしている時間は、労働時間に当たらないと考えてよいのでしょうか。裁判所で、このような主張をする場合の留意点をご教示ください。
空き家をめぐる法律問題 【事例51】「区分所有建物の共用部分の瑕疵について損害賠償義務を負う主体」
私は、築30年を超えるマンション(全個室50部屋)の1室を区分所有しておりますが、上階のバルコニーからの雨漏りによって、自室の専有部分が損傷して修繕費用を支払いました。上階に居住者はおらず空き部屋になっております。このような場合、私は、誰に対して損害賠償請求をすればよいですか。
〔相続実務への影響がよくわかる〕改正民法・不動産登記法Q&A 【第19回】「相続登記の申請義務化における運用方針のポイント」
相続登記の申請義務化における運用方針が決定されたと聞きました。
具体的な内容について教えてください。
《税理士のための》登記情報分析術 【第1回】「登記制度の役割と登記情報の入手方法」
相続税申告のために不動産の情報を集める必要性が生じた場合、あるいは顧問先の企業に役員変更登記が必要となった場合などに、税理士の方々は不動産や会社に関する登記情報に触れることになる。登記制度や登記情報の分析の仕方については、体系的に学ぶ機会は少ないと思われるが、理解を深めることで登記制度を税理士実務により役立つものとすることができる。
本連載では、実践的な知識を提供するために、具体的な登記情報の記載例等を示しながら、実務で持ちやすい疑問点などについて解説を行っていく。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第42回】「敷地の一部を将来道路として提供しなければならないケース」~価格に対する影響をどのように捉えるか~
数多い土地のなかには、以下のようなものがあります。
(ア) 全体が建物の敷地として利用されていて外見上区別できないものの、その一部が建築基準法の規定により道路の扱いを受けるもの
(イ) 敷地の一部を将来道路用地として公共に提供することが都市計画に織り込まれているもの
上記(ア)の典型的な例としては、対象地の前面道路が狭く、将来の建替え時に敷地の一部を道路境界線よりも対象地側に後退させなければならない(=セットバックが必要となる)土地があげられます。また、上記(イ)に該当する場合、その土地はしばしば都市計画道路予定地と呼ばれています。
今回は、これらの2つのケースを基に、税理士の皆様が土地価格を検討する際に留意していただきたい事項を解説します。
電子書類の法律実務Q&A 【第8回】「従業員の電子メールのモニタリングは可能か」
当社従業員が社内メールを利用して、取引先に対して当社の秘密情報を漏えいしているとの告発がありました。
そこで当社としては、以下の就業規則に基づき、事前同意なしにこの従業員の電子メールの内容等を監視・閲覧しようと考えています。
このような監視・閲覧行為をするうえで、法的に留意すべきことがあれば教えてください。
空き家をめぐる法律問題 【事例50】「区分所有建物の滞納管理費を回収する場合の諸問題」-区分所有者に成年後見人が選任されていない事例-
マンションの区分所有者の1人であるAは、認知症が悪化したため、マンションを出て特別養護老人ホームで生活しています。Aは、マンションの管理費を3年分滞納したことから、管理人Bは、Aに対して滞納管理費の支払を求めて訴訟を提起し認容されましたが、Aから支払を受けられない状況が続いています。滞納額は現在も増加しており、350万円を超えているため、BはAの区分所有権を競売で売却することを考えています。Aの区分所有権の査定額は300万円程度です。
Aは成年後見人を選任するのが相当な状況にありますが、成年後見人は選任されていないとのことです。このような場合に、どのようなことに注意して滞納管理費の回収を図るべきでしょうか。