家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第1回】「新たな相続・資産承継対策『家族信託』とは」
現在、少子高齢化が叫ばれる日本国内において、相続対策・資産承継対策が注目を浴びており、一般市民からも専門家に対する相談事例が増加している。
そのような中で、財産関係の複雑化、相続・資産承継に関するニーズの多様化が加速しており、旧来の対策手法である遺言書の作成や生前贈与等の手法では十分な対策が困難な事例も多く見受けられるようになった。
民法の成年年齢引下げが税制へ与える影響についての考察
選挙権年齢が満18歳以上へと改正されたことに伴い、18歳、19歳の者が取引の場面など私法の領域においても自己の判断と責任において自立した活動をすることができるよう、民法が定める成年年齢を18歳に引き下げることが検討されている。
本稿公開時点においては、2016年11月8日に、9月30日で締め切られたパブリックコメントの結果が公表されている。
税理士業務に必要な『農地』の知識 【第3回】「農地法と農業委員会(その2)」
前回は農地の定義と農地を売却する場合の許可又は届出(農地法第3条、農地法第5条)について見てきた。今回は、まず、農地の売却等をせず宅地等に転用する場合の手続きから見ていこう。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第8回】「士業が財産管理人/後見人に就任する場合の留意点」
今回は、本連載〔解説編〕の締めくくりとして、税理士をはじめとした士業が裁判所により成年後見人に選任された場合や、私人間の契約により財産管理人となった場合等の留意点につき説明する。
税理士業務に必要な『農地』の知識 【第2回】「農地法と農業委員会(その1)」
税務上における農地の定義は、この農地法第2条に即している。例えば、農地の納税猶予の対象になる農地・採草放牧地は、原則として農地法第2条に規定する農地・採草放牧地と定められている。
農地法における農地の定義は前述したように「耕作の目的に供される土地」である。したがって、ビニールハウスや温室のように土地に直接栽培していれば農地として認められる。逆に、コンクリートやアスファルトで固めた部分や農機具庫や貯蔵倉庫の敷地は農地とは認められない。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第7回】「『判断能力』に問題ある場合/問題が発生しそうな場合の具体的対処法(その2)」
ひとくちに第2ステージという括りを設けても、そこに含まれるケースは千差万別である。
つまり、本人の状態や対象となる法律行為毎に、その時点での判断能力をもって有効に進められるかどうかも変わり得る。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第6回】「『判断能力』に問題ある場合/問題が発生しそうな場合の具体的対処法(その1)」
前回までの解説で明らかなように、一度認知症となり、判断能力に問題が生じる事態となれば、自己の財産管理や各種契約の締結等において著しい支障が生じることになる。
そのため、自分や家族が認知症となって判断能力に問題が生じる前から、将来の万一の事態に備えた手当てをしておくことは非常に有用である。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第5回】「『判断能力・意思能力』の判定方法」-証拠になり得るもの-
判断能力の有無につき当事者間で主張が対立した場合、通常、お互いにそれぞれの手持ち証拠を相手方に示したうえで示談交渉し、それでも解決できなければ民事訴訟を提起し、裁判所に公的に判断してもらうという流れとなる。
この場合、証拠裁判主義の下ではどのような証拠が存在するのかが決定的に重要であるから、紛争となる前から自己に有利な証拠につき関心を持ち、予め入手を試みておくということは非常に重要である。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第4回】「認知症診断の医学的手順」
ある人の判断能力に問題がありそうだ、という疑いが生じた場合に、「判断能力が減弱していること」や、ひいては「認知症を発症していること」という判断はどのようにして行うのか。
今回は、この点に関して医学的観点を踏まえて解説したい。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第3回】「『判断能力』・『意思能力』とは?」-その具体的な意味内容-
「判断能力」という用語そのものは、一般的に広く用いられているものであるにもかかわらず、実は主だった法令には登場しない用語である。
代わりに、民法の教科書を読むと、「意思能力」という概念が登場する。
これもまた民法の条文上は直接には登場しない概念なのであるが、いわゆる「判断能力」とは、この「意思能力」の概念とおおむね重なりあうものとして理解されている。