預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第3回】「本件決定における双方の主張・補足意見等の確認」
前回は、最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)以前の預貯金債権の相続時の判例・実務上の取扱い等について述べた。今回は、本件決定における双方の主張・補足意見等、本件決定の内容をより詳細に確認する。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第6回】「よくある質問・留意点①」-受託者死亡の場合-
- 質 問 -
家族信託において受託者が法人ではない(自然人である)ことから、受託者が死亡した場合、信託はどうなるのか。信託は終了してしまうのか。
信託が終了しないとしてもリスクになるのではないか。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第4回】「被災による企業内部の法律問題」
災害によって取締役全員が死亡あるいは行方不明となった場合、企業活動を継続するには、取締役を選任する必要がある。
株主に働きかけ、裁判所の許可を得て株主総会を招集してもらい、その株主総会において取締役を選任することになる。株主全員の協力が得られる場合には、全員出席総会として招集手続がなくとも取締役の選任が可能である。
預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第2回】「本件決定以前の判例及び実務上の取扱い」
前回は、最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)の概要について述べた。今回は、本件決定以前の預貯金債権の相続時の判例・実務上の取扱い等について述べる。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第2回】「既に認知症を発症している場合の対応」
共に90歳になる私の父と母についての相談です。
母は、3年前から認知症と診断され、介護施設に入りながら投薬治療を受けています。
現在は、簡単な問いかけに「はい」「いいえ」程度を答えるといった最低限の会話しかできず、寝たきりの状態です。面会に行った際も、娘である私のことはかろうじてわかるようですが、孫たちや夫のことは理解できません。
他方、私の一家と同居している父は、母と比べればまだだいぶしっかりしています。
ただ、昨年あたりから時間帯によって心身の状態に波が見られ、朝からお昼過ぎくらいまではぼーっとした状態が続いて会話もうまくいかず、着替えも一人ではできません。しかし、夕方近くなってくると、だいぶシャッキとした状態になり、家族と世間話もできるようになるという状態が続いています。医師の診断を受けたところ、やはり認知症と診断されました。
今回、父も介護施設に入所することになり、入所のための保証金や今後の施設利用料の支払いに充てるため、まとまったお金が必要となりました。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第3回】「被災による取引関係の法律問題」
災害によって建物が滅失し、賃貸借契約が終了する場合には、賃借人は賃貸人に対して敷金の返還を請求することができる。敷金返還請求権は、本来であれば賃借人が賃貸人に目的物を返還した時に発生すると解されているが、建物が滅失した場合には目的物の返還そのものが観念できないからである。
預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第1回】「本件決定の概要」
最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)において、預貯金債権が遺産分割の対象となる旨判示された。
従来、預貯金債権は可分債権であり、原則として、相続開始と同時に、当然に相続分に応じて分割されると考えられてきた。このため、裁判実務上は、原則として預貯金債権は遺産分割の審判対象とはせず、相続人間で遺産分割の対象とする旨の同意がある場合に限り、審判対象とするという取り扱いがなされてきた。
「法定相続情報証明制度」(仮称)の概要と相続実務への影響
平成28年12月22日、法務省より「不動産登記規則の一部を改正する省令案」がパブリックコメントに付された。同省令はいわゆる「法定相続情報証明情報制度」(仮称)(以下、「本制度」という)を創設することを意図している。
本制度は、不動産登記実務のみならず、金融機関における預金の名義変更手続や保険会社における保険金の支払手続実務等、広く影響を与えることが予想される。本稿では、本制度の概要、制度創設後の各種実務のあり方について解説する。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第2回】「被災による財産関係の法律問題」
災害発生時は避難が最優先されるため、通帳、キャッシュカード、銀行印等を携帯して避難することができないことが多く、災害発生後に保管場所に戻っても紛失していることが多い。
金融機関が通帳等の紛失した預金者からの預金払戻請求に応じることは、「便宜払い」などと呼ばれており、大規模災害が発生した場合には、災害の規模や範囲等によって異なる部分もあるが、多くの金融機関がこの「便宜払い」に応じることがある。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第1回】「認知症の疑いが生じた場合の対応」
私には今年85歳になる父がおり、長男である我々夫婦と3人で同居しています。父は、妻(私の母)に先立たれてからも、元気で暮らしてきました。
父は、先代から引き継いだ賃貸アパートを複数所有しており、今も20人前後の借主がおります。元々事務仕事が嫌いではないため、本人いわく“ボケ防止”を兼ねて賃料の入金について帳簿を付け、滞納している入居者には支払いを督促するといった賃貸管理の事務を一人で行っています。
しかし、ここ数年、日常生活のふとしたことでの物忘れや記憶違い等も増え、老いを感じさせる場面が非常に多くなりました。
先日も、アパートの補修箇所について修繕を頼んだ業者との間で、工事代金の金額や支払時期等をめぐり多少のトラブルが生じました。
これからこういう事態も増えてくると予想され、私も借主さんも心配しています。
家族である私としては、今後どのようなことに注意し、必要な準備をしていったらよいでしょうか。
なお、私たち家族には詳しいことは教えてくれませんが、退職金で購入した株式や金融商品もいくつか保有しているようです。