連結会計を学ぶ(改) 【第6回】「連結の範囲に関する重要性の原則」
連結財務諸表の作成において、親会社は、すべての子会社を連結の範囲に含めることが原則である(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)13項)。
ただし、連結会計基準は、重要性の原則を規定しており、子会社であって、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができるとしている(連結会計基準注1、注3)。
今回は、連結の範囲に関する重要性の原則について解説する。
決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第19回】「預金と借入金の計上漏れ」
今回の事例は、借入金の計上漏れです。そして、借入金の見合いで預金も計上漏れとなっています。
借入金や預金は銀行との取引であり、銀行側の記録(通帳やインターネットバンキングの記録)との整合性確認が可能です。そのため、会社側に誤処理があっても早い段階で修正可能だと考えられます。しかし、そのような取引が処理漏れとなってしまいました。
単純なミスのように見えますが、上場会社ではあまり見ないミスです。少なくとも、短信公表後にこのようなミスを訂正する事例は珍しいと思います。会計的には資産と負債の計上漏れであり、業績への直接の影響はありませんが、借金の計上漏れという事実は重いのではないでしょうか。
このようなミスが発生している場合に留意すべきことは何か、以下、訂正事例を使って考えていきましょう。
連結会計を学ぶ(改) 【第5回】「連結の範囲に関する適用指針③」-意思決定機関を支配していないことが明らかなケース-
前回に引き続き、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)にしたがって連結の範囲を解説する。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
有価証券報告書における作成実務のポイント 【第15回】
今回は、有価証券報告書のうち、【経理の状況】の【注記事項】セグメント情報等と関連当事者情報の作成実務ポイントについて解説する。
なお、本解説では2025年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。
連結会計を学ぶ(改) 【第4回】「連結の範囲に関する適用指針②」-子会社の範囲の決定-
前回に引き続き、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)にしたがって連結の範囲を解説する。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
新リース会計基準における実務対応-会計処理と申告調整のポイント-【第2回】
令和6年9月、企業会計基準委員会から「リースに関する会計基準」(以下、リース会計基準)が公表されました(令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。従来のリース会計基準では、リース取引を「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類に分類し、前者は売買処理、後者は賃貸借処理を行うこととされていました。
新たに公表されたリース会計基準では、借り手の会計処理についてこの分類を廃止し、すべてのリースにつき同一の会計処理を適用することとされました。一方、貸し手の会計処理は従来どおり、2種類に分類し、会計処理を定めています。
決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第18回】「EBITDAを間違えた場合に確認すべきこと」
EBITDAという利益指標があります。今回取り上げるのは、決算短信の連結業績予想においてEBITDAの数値を誤った事例です。
EBITDAについては、ウェブ検索するといくらでも解説が出てきます。企業の本来の儲けを示す指標だといわれています。利益指標の1つといってよいでしょう。その一方で、この指標にはよくわからない点もあります。それは、EBITDAを重視している企業が一定数あるにもかかわらず、決算短信での記載は特に要請されていないという点です。
要請されていないということは、EBITDAはさほど重要な指標ではないということなのでしょうか。この点を気に留めたうえで、以下、訂正事例を見ていきましょう。
新リース会計基準における実務対応-会計処理と申告調整のポイント-【第1回】
令和6年9月、企業会計基準委員会から「リースに関する会計基準」(以下、リース会計基準)が公表されました(令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。従来のリース会計基準では、リース取引を「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類に分類し、前者は売買処理、後者は賃貸借処理を行うこととされていました。
新たに公表されたリース会計基準では、借り手の会計処理についてこの分類を廃止し、すべてのリースにつき同一の会計処理を適用することとされました。一方、貸し手の会計処理は従来どおり、2種類に分類し、会計処理を定めています。
連結会計を学ぶ(改) 【第3回】「連結の範囲に関する適用指針①」-親会社と子会社-
「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)では、連結財務諸表に含まれる子会社の範囲を、支配の概念にもとづいて基本的な規定を設けている。
より具体的な指針としては、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)が公表されている。