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2-4 記載事項
政令の規定に定めるもののほか、国外財産の所在及び国外財産調書の書式その他国外財産調書の提出に係る手続に関し必要な事項は、財務省令で定めるとされており(送金等令10⑥)、同規則12条に定められている。

(1) 提出義務者
国外財産調書の提出義務者は、所得税法にいう居住者のうち非永住者を除く者で、毎年12月31日において保有する国外財産が、合計で5,000万円を超える者である。
非居住者には、提出義務がない。居住者が年の途中で、1年以上海外で勤務する予定で出国した場合には、12月31日においては非居住者であるため、提出義務はない。
また、12月31日には居住者であったが、1月1日から3月15日までの間に死亡又は出国した場合も提出義務がない。
ただし、この場合の「出国」は、「納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなること」と定義されているため、納税管理人の届出を提出して出国する場合は、納税管理人が提出する必要があるものと考えられる。

税務調査の視点は、基本的には「性悪説」―つまり、納税者には、できるだけ税金を少なくしたいという動機が存在する―に立つ。
こうした姿勢が、業務監査や会計監査との大きな違いであることは言うまでもなく、おまけに、国税調査官は、納税者による不正の事例を数多く知っているため、どのあたりをつつけば脱税行為を発見できるかというノウハウを豊富に有している。
脱税というのは、しょせん、売上を減らすか、仕入や経費を増やすかして、利益を少なくすることでしか達成できないため、独創的な手口というのは考えづらい。

税務当局にとって、国外に所在する財産に関する情報を把握することは困難であるが、国外で財産を購入するためには何らかの形で資金を国外に送金する必要があり、資金が国外に出た情報を把握することによって、その後の調査における申告漏れ国外財産把握の端緒とすることは可能である。
我が国では、平成9年に国外送金調書の提出が義務化され、当初は1回200万円超の送金が対象であったが、平成21年4月以降は100万円超に範囲が拡大された。1回当たり100万円を超える国外送金をすると、送金を依頼した金融機関から国税当局へ国外送金調書が提出される。

これまで述べてきたように、国税当局にとって居住者が保有する国外財産を把握することについては、質問検査権の及ぶのが日本の領土内に限られるという制約があり、租税条約による情報交換にも限界があるという問題があった。
このままでは、居住者に国外財産報告義務を課しても、正確性をチェックする手段がないのでは実効性がなく、“画に描いた餅”にならざるを得ない。

Dan Arielyの近著“The (Honest) Truth about Dishonesty”、櫻井祐子訳『ずる』(早川書房)は、不正の発生メカニズムに対する行動経済学の実証実験の結果と知見を集めた興味深い著作だが、その中で、「シンプルな合理的不正モデル」という合理的経済学の考え方を紹介している。
それは、「人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに不正を行うかどうかを決める」というものであり、この考え方に沿って、社会が不正に対抗する手段がとられていると説明されている。

本制度創設の背景としては、
① 調査において、個人の国外財産に係る申告漏れが把握されるケースが増加していること
② 国外財産に関する情報を収集することは主権の行使が困難であるため、納税者に情報開示義務を負わせることにより、情報収集能力の弱点を補う必要があること
③ 最近の国際間の税務情報の交換体制の強化や、国内で実施している国外送金調書制度により、当局側ではフローの情報は得られるようになっているが、ストックの情報も必要であること
が挙げられるであろう。

平成24年度の税制改正で、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(以下「送金等法」という)が改正され、「国外財産調書」制度が創設された。
これにより、毎年12月31日において5,000万円を超える国外財産を所有する居住者(非永住者※を除く)は、翌年3月15日までに、所轄税務署長に対して、保有する国外財産の内容を記載した報告書を提出する義務を負うこととなった。

昨今、税務当局による調査によって、内部監査や会計監査(外部監査)では発見できなかった企業不正が発覚する事例が、数多く報告されている。
特に一昨年(2011年)3月から4月にかけて大きく報道された事例は、以下【事例1】のように、金額の大きさもさることながら、長期間にわたって発覚しなかった不正が、税務調査をきっかけに明るみに出たことで注目を集めることとなった。

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