固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第53回】「マンションの売却時に買主が負担すべき修繕積立基金を売主が負担したことによる経済的利益は、雑所得ではなく、一時所得と判断された事例」
居住用家屋に関連する支出のうちマンション所有者特有のものとして管理費や修繕積立金の支払いがある。管理費とは、マンションの共用部分の維持管理のための費用であり、修繕積立金は、マンションの共用部分の大規模修繕に備えて、定期的に積み立てるものである。これらはいったん支払うとマンション所有者に返金されることはない。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第52回】「重ダンプは人や物の運搬を主たる目的とする車両及び運搬具と断定できず、機械及び装置に該当しないといえないから、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等の適用が認められた事例」
機械及び装置や車両及び運搬具は 減価償却資産の種類の1つであるが(法法2二十三)、税法上明確な定義がなされていない。
そこで一般的な定義を国語辞典である「大辞林第四版」で調べると「機械」及び「装置」は次のようになる。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第51回】「食堂の冷房のために設置されたクーラーは簡単に取り外すことができ、7組の室内機と室外機が各々稼働又は休止しているから建物附属設備ではなく、単体の冷房用機器(器具及び備品)の集合体とされた事例」
大きなスペースを冷房するためにいくつもの冷房装置があり、室内機は天吊り式であり、配管が天井内を伝わっているものは建物附属設備に該当するのか、それとも、器具及び備品となるのか。この件で争われた事案を検討する。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第50回】「鶏舎や牛舎は完全な周壁がないとしても一部を除いて「建物」として登記され、大規模で資産価値も相当高いから「構築物」ではなく「建物」であるとされた事例」
上記のような規定ぶりから家畜小屋について、建物に該当するか否かは一律に判断するのではなく、実体をみて判断することになると考えられる。今回は、牛舎、鶏舎が建物に該当するのかについて争われた事案を検討する。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第49回】「特別償却の対象となる機械及び装置の範囲を拡大解釈して特別償却を行うことは認められないとされた事例」
今回は、特別償却の対象となる「機械及び装置」の範囲について、納税者による拡大解釈が争われた事案を検討する。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第48回】「約17年間放置していた家屋について損耗減点補正率を使って評価しなかったことは違法であるとされた事例」
今回は、天災、火災のような突発的な災害が原因ではなく、約17年間放置されたことを原因として、家屋について損耗減点補正率を用いて評価しなかったことは違法であると裁判所が判断した事例を検討する。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第44回】「宗教法人が有する動物の遺骨の保管と供養をしていたロッカーの一部に係る土地と供養塔等に係る固定資産税は課税か非課税かで争われた事例」
しかし、固定資産税の非課税で争われた事例においても、法人税における収益事業課税の論理が判断に影響を及ぼす場合もある。今回は、宗教法人が有する動物の遺骨の保管と供養をしていたロッカーの一部に係る土地と供養塔等に係る固定資産税が課税か非課税かで争われた事例について検討する。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第40回】「相続開始日の前日に持分放棄をした場合、相続人は不動産を承継しないからその相続人に対する賦課決定処分は違法であるとされた事例」
固定資産税は、賦課期日に固定資産を有している者に対して課されるものである(地法343①、359)。この場合の固定資産の所有者というのは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律2条2項の区分所有者とする)として登記又は登録がされている者(地法343②前段)とされる。つまり、固定資産の所有者であっても、固定資産課税台帳に所有者として登録されない限り、固定資産税を課されることはない(※1)。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第36回】「1月1日に売却した家屋のその年の固定資産税等の納税義務者は売主であるとされた事例」
固定資産税は、賦課期日である毎年1月1日に固定資産の所有者に対して課する制度である(地方税法343①、359)。この場合の所有者は、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者(地方税法343②)である。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第33回】「宗教法人の管理人室は「本来の用」に専ら供されているから、固定資産税が非課税となる境内建物及び境内地に該当するとされた事例」
固定資産税は、固定資産の所有者に課す租税である(地方税法343①)が「固定資産税は、固定資産の価格を課税標準として課されることになっているから、それは固定資産の所有の事実に着目して課される財産税の性質を有する」ともいわれている(※1)。