固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第48回】
「約17年間放置していた家屋について損耗減点補正率を使って評価しなかったことは違法であるとされた事例」
税理士 菅野 真美
▷固定資産評価基準で定める家屋の評価額
固定資産税の課税標準となる家屋の評価額は、賦課期日において、価格として家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録されたものに基づく(地方税法349①)。この価格は、固定資産評価基準に基づいて評価することになる(地方税法388、403)。
家屋の評価方法は、木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という)の区分に従い、各個の家屋について評点数を付設し、当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとされている(固定資産評価基準第2章第1節一)。非木造家屋の評点数については次のような算式で計算する。
評点数 = 再建築費評点数 × 経過年数に応ずる減点補正率(経過年数に応ずる減点補正率(以下「経年減点補正率」という)によることが、天災、火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて適当でないと認められる場合にあっては、評点数 =(部分別再建築費評点数 × 損耗の程度に応ずる減点補正率(以下「損耗減点補正率」という))の合計)とされている(固定資産評価基準第2章第3節一)。
この「天災、火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて適当でないと認められる場合」については、天災、火災以外で認められる可能性は極めて低いといわれているが、認められた事例もある。
今回は、天災、火災のような突発的な災害が原因ではなく、約17年間放置されたことを原因として、家屋について損耗減点補正率を用いて評価しなかったことは違法であると裁判所が判断した事例を検討する。
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