公開日: 2021/04/22 (掲載号:No.416)
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〈判例評釈〉ユニバーサルミュージック高裁判決 【第6回】

筆者: 霞 晴久

〈判例評釈〉

ユニバーサルミュージック高裁判決

【第6回】
(最終回)

 

公認会計士・税理士 霞 晴久

 

連載の目次はこちら

(2) 本件8つの目的に対する「合理性」についての裁判所の考え方

本件控訴審判決は、本件8つの目的について、原審同様、

〈ア〉日本の関連会社の経営の合理化として、〈a〉日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し、法人数を減らすという目的(目的②、目的③及び目的⑥〔前半〕)、〈b〉米国税制上の対応や柔軟かつ機動的な事業運営の観点から、日本の関連会社を合同会社とし、当時検討されていた日本における音楽会社の買収に備えるという目的(目的⑦及び目的⑧)、〈イ〉UMG部門のオランダ法人の負債軽減及び〈ウ〉日本の関連会社の財務の合理化として、〈c〉日本の関連会社の円余剰資金やUMO(英国法人B社の間接子会社)の余剰資金を解消(※42)し、V社による為替リスクのヘッジを不要とするとともに、日本の関連会社の資本構成に負債を導入し、UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①、目的④、目的⑤、目的⑥〔後半〕)から成る本件8つの目的を目的とするものである

とし、いずれも不自然なものとはいえず、税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するということができると結論付けている。以上の裁判所の考え方は、納税者に多くの示唆を与えており、以下それぞれ検証する。

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〈判例評釈〉

ユニバーサルミュージック高裁判決

【第6回】
(最終回)

 

公認会計士・税理士 霞 晴久

 

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(2) 本件8つの目的に対する「合理性」についての裁判所の考え方

本件控訴審判決は、本件8つの目的について、原審同様、

〈ア〉日本の関連会社の経営の合理化として、〈a〉日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し、法人数を減らすという目的(目的②、目的③及び目的⑥〔前半〕)、〈b〉米国税制上の対応や柔軟かつ機動的な事業運営の観点から、日本の関連会社を合同会社とし、当時検討されていた日本における音楽会社の買収に備えるという目的(目的⑦及び目的⑧)、〈イ〉UMG部門のオランダ法人の負債軽減及び〈ウ〉日本の関連会社の財務の合理化として、〈c〉日本の関連会社の円余剰資金やUMO(英国法人B社の間接子会社)の余剰資金を解消(※42)し、V社による為替リスクのヘッジを不要とするとともに、日本の関連会社の資本構成に負債を導入し、UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①、目的④、目的⑤、目的⑥〔後半〕)から成る本件8つの目的を目的とするものである

とし、いずれも不自然なものとはいえず、税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するということができると結論付けている。以上の裁判所の考え方は、納税者に多くの示唆を与えており、以下それぞれ検証する。

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連載目次

〈判例評釈〉ユニバーサルミュージック高裁判決

【第1回】

1 はじめに

2 事案の概要

(1) 原処分の概要

(2) 本件における組織再編成の概要

【第2回】

3 争点及び当事者の主張

(1) 争点

(2) 国(被告・控訴人)の主張

(3) Xの主張

【第3回】

4 控訴審判決要旨

(1) 行為・計算要件について

(2) 不当性要件の判断枠組みについて

(3) 当てはめ

A) 本件8つの目的について

B) 本件借入れに関する事情

(4) 結論

【第4回】

5 検討

(1) 不当性要件該当性について

A) ヤフー/IDCF事件

【第5回】

B) IBM事件

C) 本件第一審が示した判断基準について

D) 小括

【第6回】

(2) 本件8つの目的に対する「合理性」についての裁判所の考え方

A) デッド・プッシュ・ダウンの容認

B) 国際的CMSの肯定的理解

C) 米国における課税メリットの享受

(3) 租税回避行為に対する異なるアプローチ-本件における「究極の」不自然さとは

筆者紹介

霞 晴久

(かすみ・はるひさ)

公認会計士・税理士
霞晴久公認会計士事務所 所長

監査法人トーマツ、新日本監査法人、国税不服審判所等を経て現在霞晴久公認会計士事務所所長。千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科客員教授。監査法人勤務時代は会計監査、国際税務、海外赴任(フランス及びベルギーに通算14年滞在)及び不正調査に従事。国税不服審判所入所前は、日系企業が買収したベルギー法人のCFOを勤める。
主な著書・論文として「ユーロの会計税務と法律」(共著、清文社1999年)、「EU加盟国の税法」(共著、中央経済社2002年)、「新版架空循環取引」(共著、清文社2019年)、及び「破産手続きにおける債務の確定と前期損益修正をめぐる問題」(月刊『税理』2020年10月号)等がある。
 

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