組織再編税制における不確定概念
【第7回】
「適格合併における繰越欠損金の利用①」
公認会計士 佐藤 信祐
平成13年度税制改正により組織再編税制が導入され、適格合併に該当した場合には、繰越欠損金の引継制限が課されない限り、被合併法人の繰越欠損金を合併法人に引き継ぐことが可能になった。
そのため、繰越欠損金を引き継ぐために適格合併を行うということを検討する場面も多く、租税回避行為に該当するか否かが議論になることも少なくない。
そこで、第7回目と第8回目の2回に分けて、適格合併により繰越欠損金を引き継ぐ行為について、租税回避行為として認定されるか否かについて解説を行う。
1 支配関係が生じてから5年経過するまで待つ場合
平成13年度税制改正により、適格合併に該当した場合には、被合併法人の繰越欠損金を合併法人に引き継ぐことが可能になった(法法57②)。そのため、繰越欠損金を利用することを目的とした合併というのも想定される。一般的な合併は事業目的が主目的ではあるが、そのような場合であっても、被合併法人に繰越欠損金がある場合には、当該繰越欠損金を意識した組織再編成になることが多い。
このように、適格合併による繰越欠損金の引継ぎについては租税回避行為に繋がりやすいことから、支配関係が生じてから合併事業年度開始の日まで5年を経過しておらず、かつ、みなし共同事業要件を満たさない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されることとされている(法法57③)。
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