公開日: 2013/05/16 (掲載号:No.19)
文字サイズ

組織再編税制における不確定概念 【第8回】「適格合併における繰越欠損金の利用②」

筆者: 佐藤 信祐

組織再編税制における不確定概念

【第8回】

「適格合併における繰越欠損金の利用②

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

前回(第7回目)においては、支配関係が生じてから5年経過するまで待つ場合、みなし共同事業要件を形式的に充足させる場合についてそれぞれ解説を行った。

第8回目の本稿においては、さらに発展させた論点として、繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併、繰越欠損金飛ばしスキームについてそれぞれ解説を行う。

 

1 繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併

『平成13年版改正税法のすべて』(大蔵財務協会)244頁では、包括的租税回避防止規定が適用される具体例として、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ものが挙げられている。

しかし、支配関係が生じてから合併事業年度開始の日まで5年を経過していない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されており(法法57③)、それ以外の場合において、包括的租税回避防止規定を適用することは行き過ぎであると思われる。
さらに、平成18年度税制改正において、「欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法法57の2)」が導入されたことにより、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ことは難しくなってきている。

したがって、繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために、適格合併を行ったものとして、包括的租税回避防止規定が適用されることは稀であると考えられる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

組織再編税制における不確定概念

【第8回】

「適格合併における繰越欠損金の利用②

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

前回(第7回目)においては、支配関係が生じてから5年経過するまで待つ場合、みなし共同事業要件を形式的に充足させる場合についてそれぞれ解説を行った。

第8回目の本稿においては、さらに発展させた論点として、繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併、繰越欠損金飛ばしスキームについてそれぞれ解説を行う。

 

1 繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併

『平成13年版改正税法のすべて』(大蔵財務協会)244頁では、包括的租税回避防止規定が適用される具体例として、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ものが挙げられている。

しかし、支配関係が生じてから合併事業年度開始の日まで5年を経過していない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されており(法法57③)、それ以外の場合において、包括的租税回避防止規定を適用することは行き過ぎであると思われる。
さらに、平成18年度税制改正において、「欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法法57の2)」が導入されたことにより、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ことは難しくなってきている。

したがって、繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために、適格合併を行ったものとして、包括的租税回避防止規定が適用されることは稀であると考えられる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

筆者紹介

佐藤 信祐

(さとう・しんすけ)

公認会計士・税理士、法学博士
公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長

平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)

【主な著書】
・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『これだけ!組織再編&事業承継税制』(共著、中央経済社)
・『無対価組織再編・資本等取引の税務』(中央経済社)
・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)
・『事業承継M&Aの実務』(共著、清文社)
・『組織再編税制大全』(清文社)
・『新版 サクサクわかる! 超入門 中小企業再編の税務』(清文社)
・『サクサクわかる! 超入門 合併の税務』(清文社)
・『サクサクわかる!M&Aの税務』(清文社)
・『サクサクわかる!株主対策の税務』(清文社)
・『ドリル式 組織再編成の確定申告書 別表四・五(一)徹底攻略』(清文社)
・『不動産M&Aの税務』(日本法令)
・『みなし配当の税務』(日本法令)

その他M&A、グループ内再編、事業再生及び事業承継に関する書籍多数。

        

関連書籍

演習法人税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

【電子書籍版】法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

プロフェッショナル グループ通算制度

公認会計士・税理士 足立好幸 著

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

法人税申告の実務

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

詳解 グループ通算制度Q&A

デロイト トーマツ税理士法人 稲見誠一・大野久子 監修

法人税申告書と決算書の作成手順

税理士 杉田宗久 共著 税理士 岡野敏明 共著
#