公開日: 2013/07/18 (掲載号:No.28)
文字サイズ

中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第6回】「親族への事業承継における税務の取扱い」

筆者: 並木 安生

中小企業のM&Aでも使える

税務デューデリジェンス

【第6回】

「親族への事業承継における

税務の取扱い」

 

公認会計士・税理士 並木 安生

 

1 はじめに

第6回では、親族への事業承継の際に活用される各手法の内容及びその税務上の取扱いやポイント、税務デューデリジェンスの必要性等について解説する。

 

2 親族への事業承継の手法

事業承継を含むグループ内再編では、対象会社の株式異動を伴うケースがほとんどである。

一般に税務上は、株主構成に変化がある場合はグループ内再編における適格要件等を満たさなくなることがあり、その場合は含み益を益金算入させざるを得ない状況となる。

一方で、今回のテーマである親族間の事業承継を前提とした株式異動であれば、実質的には株主構成に変化がなかったと捉えることが多く、その場合は適格要件を満たすことで含み益が益金算入されないことになる。以下にその具体例を記載する。

 

① 株式譲渡を行うケース

オーナー経営者(個人)が、後継者となる子などの親族(個人)に対して自社(A社)株式を譲渡し、A社株式売却の代金として現金を受け取るものとする(図①)。

この株式譲渡は原則として組織再編税制の対象ではないため、適格要件を判定する必要はない。そのため、A社が保有する資産に含み損益があった場合でも損金(又は益金)に算入されることはない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

中小企業のM&Aでも使える

税務デューデリジェンス

【第6回】

「親族への事業承継における

税務の取扱い」

 

公認会計士・税理士 並木 安生

 

1 はじめに

第6回では、親族への事業承継の際に活用される各手法の内容及びその税務上の取扱いやポイント、税務デューデリジェンスの必要性等について解説する。

 

2 親族への事業承継の手法

事業承継を含むグループ内再編では、対象会社の株式異動を伴うケースがほとんどである。

一般に税務上は、株主構成に変化がある場合はグループ内再編における適格要件等を満たさなくなることがあり、その場合は含み益を益金算入させざるを得ない状況となる。

一方で、今回のテーマである親族間の事業承継を前提とした株式異動であれば、実質的には株主構成に変化がなかったと捉えることが多く、その場合は適格要件を満たすことで含み益が益金算入されないことになる。以下にその具体例を記載する。

 

① 株式譲渡を行うケース

オーナー経営者(個人)が、後継者となる子などの親族(個人)に対して自社(A社)株式を譲渡し、A社株式売却の代金として現金を受け取るものとする(図①)。

この株式譲渡は原則として組織再編税制の対象ではないため、適格要件を判定する必要はない。そのため、A社が保有する資産に含み損益があった場合でも損金(又は益金)に算入されることはない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

筆者紹介

並木 安生

(なみき・やすお)

公認会計士・税理士
共同会計事務所すいらんコンサルティング  東京オフィス代表

株式会社ディー・エル・イー 監査役
株式会社 TOKYO GIRLS COLLECTION 監査役
ちゅらっぷす株式会社 監査役
ハンナ インスツルメンツ・ジャパン株式会社 監査役

平成8年慶應義塾大学経済学部卒業、公認会計士2次試験合格、朝日(現あずさ)監査法人入所。平成16年税理士法人トーマツ入所、M&Aトランザクションサービス部門へ配属。平成20年並木安生公認会計士・税理士事務所開業。平成28年共同会計事務所すいらんコンサルティング 東京オフィス代表就任。

金融機関、オーナー会社や外資系企業に対し、決算業務、企業再編や事業承継に係る税務を中心としたサービスを提供。また、一般事業会社の経理・財務部門や公認会計士・税理士向けの各種セミナー講師を実施。

【主な著書】
・『グループ企業の決算業務と税務処理』(税務研究会出版局)
・『TAX&LAW事業再生の実務 ─経営・法務・会計・税務─』(第一法規、共著)

関連書籍

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

プロフェッショナル グループ通算制度

公認会計士・税理士 足立好幸 著

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

経営危機に陥った社長さんを守る最後の救済策

公認会計士・税理士 橋口貢一 著

中小企業の運営・承継における理論と実務 ファミリービジネスは日本を救う

大阪弁護士会・日本公認会計士協会近畿会・ファミリービジネス研究会 著

詳解 グループ通算制度Q&A

デロイト トーマツ税理士法人 稲見誠一・大野久子 監修

非公開会社における少数株主対策の実務

弁護士法人ピクト法律事務所 代表弁護士 永吉啓一郎 著

相続・事業承継に役立つ生命保険活用術

税理士法人レディング 税理士 木下勇人 著

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著
#