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《速報解説》 中小企業向け租税特別措置の要件見直し、基準年度の平均所得金額15億円超の判定に係る改正措置法施行令が公布~設立3年以内の法人は適用除外事業者に該当せず

筆者:Profession Journal 編集部

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《速報解説》

中小企業向け租税特別措置の要件見直し、

基準年度の平均所得金額15億円超の判定に係る改正措置法施行令が公布

~設立3年以内の法人は適用除外事業者に該当せず

 

Profession Journal編集部

 

既報の通り、大企業並みの多額の所得のある中小企業への課税強化として、中小企業向けの租税特別措置の適用要件に一定の所得制限を設けることが平成29年度税制改正大綱に明記された。

具体的には「法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を廃止する措置を講じる。」というもので(大綱p75)、平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用される(法人住民税関係も同様)。

上記の改正については、3月31日公布の改正措置法に続き、4月7日の官報号外第75号においても「租税特別措置法施行令の一部を改正する政令」(以下、改正措令)が公布され、新設法人や合併等一定の場合の平均所得金額の計算方法等が規定された。 

*  *  *

まず、3月31日公布の改正措置法における本改正の規定については、中小企業に係る租税特別措置規定の多くが中小企業者(又は中小企業者等)の定義として流用する(※)、研究開発税制を規定した措置法42条の4に着目したい。

(※) 例えば商業等活性化税制(措法42条の12の3)では同条第1項において「中小企業者」の定義を「・・・第42条の4第8項第6号に規定する中小企業者又は・・・」としており、所得拡大促進税制(措法42の12の5)では同条第2項7号において「中小企業者等」の定義を「第42条の4第3項に規定する中小企業者又は農業協同組合等をいう」としている。

この研究開発税制(措置法42条の4)のうち、中小企業向けの特例措置である中小企業技術基盤強化税制を規定した同条第3項で、この制度の適用対象について「中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く)」と括弧書き部分が追加され、この「適用除外事業者」が同条8項6号の2において、次のように定義されている(なお、「中小企業者」の定義自体は内容に変更なし(同条8項6号))。

「適用除外事業者」(新措法42の4第8条第6号の2)
当該事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(以下この号において「基準年度」という。)の所得の金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額(設立後3年を経過していないこと、既に基準年度の所得に対する法人税の額につき法人税法第80条(編集部注:欠損金の繰戻しによる還付)の規定の適用があったこと、基準年度において合併、分割又は現物出資が行われたことその他の政令で定める事由がある場合には、当該計算した金額につき当該事由の内容に応じ調整を加えた金額として政令で定めるところにより計算した金額が15億円を超える法人をいう。

(※) 上記の改正は法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される(H29改正法附則62条1項)。

括弧書き部分以外については大綱の表記と概ね同じ内容だが、括弧書き部分については政令に委任している箇所(下線部)があり、4月7日公布の改正措令はこの委任箇所を規定したものとなっている。

改正措令では、基準年度となる前3事業年度内に新設された法人や欠損金の繰戻し還付を受けた場合、合併等を行った場合や連結法人に該当していた場合等について、それぞれのケースで平均所得金額15億円超を判定するための計算方法等を明らかにしている

例えば、判定対象年度の開始の日において法人の設立の日の翌日以後3年を経過していない場合は平均所得金額をゼロとし適用除外事業者に該当しないこと(新措令27条の4第13項1号、14項1号)や、欠損金の繰戻し還付を受けた場合にはその欠損金額を控除した額で判定すること(新措令27条の4第13項2号、14項2号)などが詳細に規定されている(改正措令の施行も平成31年4月1日)。

*  *  *

なお、今回の改正により適用除外事業者に該当し適用除外とされる租税特別措置については、大綱では具体的な制度名が明記されず、中小企業庁の資料に次の図が示されているのみであった。

【参考図】

(※) 中小企業庁ホームページより

今回の一連の法改正において、上記の中小企業技術基盤強化税制を含め、適用対象となる中小企業者のうち「適用除外事業者に該当するものを除く」という規定が織り込まれたのは、次の制度となっている(いずれもH31.4.1以後開始事業年度より適用)。

  • 中小企業技術基盤強化税制(措法42の4第3項、68条の9第3項)
  • 中小企業者等の貸倒引当金の特例(法定繰入率に係る措置)(措法57の9、68の59)
  • 公害防止用設備の特別償却(措法43、68の16)
  • 自動車教習用貨物自動車の特別償却制度〔創設〕(措法43、68の16)
  • 被災代替資産等の特別償却制度〔創設〕(中小企業者等に対する建物等に係る償却率)(措法43の3、68の18)

このように今回の一連の法改正では中小法人の軽減税率や少額減価償却資産の特例、所得拡大促進税制の上乗せ措置等については「中小企業者のうち適用除外事業者を除く」規定が設けられていないが、冒頭に述べたとおり本改正の適用は平成31年4月1日以後開始事業年度であることから、今後の法改正で手当てされる可能性が高く注視が必要だ。

また既報の通り、3月決算法人の場合、すでに前期(平成29年3月期)及び今期(平成30年3月期)は最初に適用除外事業者の判定を行う基準年度に含まれている点にも留意しておきたい。

(了)

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連載目次

「中小企業特別措置の適用停止に係る「平均所得金額」の算定方法」(全2回)

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