訂正報告書に見る
不適正会計処理の現状(2)
大阪経済大学教授 小谷 融
5 不適正会計に係る業種別傾向
不適正な会計処理を行い訂正報告書を提出した会社を業種別に見ると、情報・通信業、建設業、卸売業が比較的目につく。
特に情報・通信業の中のIT関連企業は、売上対象物が有体物ではないことを悪用した不正が多数見られ、協力会社を伴う例も少なくない。
IT業界については、日本公認会計士協会が平成17年3月に「情報サービス産業における監査上の諸問題について」(IT業界における特殊な取引検討プロジェクトチーム報告)を取りまとめているが、かねてから不適正な会計処理に繋がりやすい業界の特質が指摘されているところである。
卸売業は、取引商品によっては商慣習の延長から不正な循環取引を行いやすい土壌がある業態だ。建設業では、収益の認識時期に絡んで工事進行基準の工事進行率の見積りに係る不正経理が行いやすく、さらに、完成基準を採用していても収益の前倒し計上による不正経理が行われやすい傾向がある。
また、資産の減損手続を行わないなど業種に関係のない資金取引や固定資産に係る不適正な会計処理の事例も見られる。
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