〔弁護士目線でみた〕
実務に活かす国税通則法
【第8回】
「重加算税における『納税者』の意義」
弁護士 下尾 裕
本稿では、重加算税の中でも多くの議論がある「納税者」の意義を取り上げる。
1 議論の出発点
前回述べたように、重加算税は「納税者」に仮装隠蔽行為があることを要件とするものである。しかしながら、納税者が法人である場合には、厳密には代表取締役の行為以外に法人そのものの行為は観念できず、実際の仮装隠蔽行為を行うのはその役職員であることから、誰を基準として仮装隠蔽行為の有無を判断するべきかという問題が生じる。この点について、例えば、株式会社において役員が仮装隠蔽行為に加担していたというような場合には、当該会社に重加算税を賦課すべきとの結論に違和感を持つ人は少ないと思われる一方、末端従業員の不正行為等についてまで株式会社が常に重加算税を甘受しなければならないとすれば、当該会社には非常に酷な結果となる。
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