谷口教授と学ぶ
国税通則法の構造と手続
【第39回】
「国税通則法115条」
-税務訴訟における国税通則法と行政事件訴訟法との連続性とその限界(その2)-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
国税通則法115条(不服申立ての前置等)
(不服申立ての前置等)
第115条 国税に関する法律に基づく処分(第80条第3項(行政不服審査法との関係)に規定する処分を除く。以下この節において同じ。)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、審査請求についての裁決を経た後でなければ、提起することができない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 国税不服審判所長又は国税庁長官に対して審査請求がされた日の翌日から起算して3月を経過しても裁決がないとき。
二 更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が、その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき。
三 審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
2 国税に関する法律に基づく処分についてされた再調査の請求又は審査請求について決定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その再調査決定書又は裁決書の謄本をその訴訟が係属している裁判所に送付するものとする。
1 はじめに
前回は、松沢智教授の租税争訟法論(同『新版 租税争訟法-異議申立てから訴訟までの理論と実務-』(中央経済社・2001年)参照)における「意義及び審査から訴訟にいたるまでを租税争訟手続として一貫し体系化したい」(同「初版 はしがき」7頁)との考えから示唆を受け、「租税争訟法の特質」(同12頁)に関連する問題として更正と再更正との関係の問題を取り上げ検討し、もって「税務訴訟における国税通則法と行政事件訴訟法との連続性とその限界」を明らかにすることを試みた。
今回は、「税務訴訟における国税通則法と行政事件訴訟法との連続性と限界」の問題に関連して不服申立前置主義をいわば「連続性の強制」の問題として取り上げ、憲法上の適正手続保障(13条・31条参照)の税法における現れとして租税法律主義の内容を構成する手続的保障原則とりわけ司法的救済保障原則(拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)【27】参照)の見地から、納税者の「裁判を受ける権利」(憲32条)との関係で不服申立前置主義の問題性を検討することにする。その前に、まず、不服申立前置主義の趣旨・目的をみておこう。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。
Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。
会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。