公開日: 2022/09/15 (掲載号:No.486)
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谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第6回】「国税通則法5条(~7条の2)」-国税の納付義務の承継-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

国税通則法構造手続

【第6回】

「国税通則法5条(~7条の2)」

-国税の納付義務の承継-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法5条(相続による国税の納付義務の承継)

(相続による国税の納付義務の承継)

第5条 相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治29年法律第89号)第951条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。次章、第3章第1節(国税の納付)、第6章(附帯税)、第7章第1節(国税の更正、決定等の期間制限)、第7章の2(国税の調査)及び第11章(犯則事件の調査及び処分)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。

2 前項前段の場合において、相続人が2人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第900条から第902条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分により按分して計算した額とする。

3 前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額を超える者があるときは、その相続人は、その超える価額を限度として、他の相続人が前2項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる。

 

1 はじめに

国税通則法は国税の納付義務の承継を、相続の場合(5条)、法人の合併の場合(6条)、法人(人格のない社団等を含む。3条参照)が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括承継した場合(7条)、信託の受託者の任務終了に伴い新受託者が就任した場合等(7条の2)の私法上の包括承継(民法896条、会社法2条27号・28号、748条、信託法163条等参照)の場合について規定している(ほかに会社更生法232条1項も参照)。

上記の各規定は、包括承認に関する私法上の原則(以下「私法上の包括承認原則」という)の確認規定であると解されることがあるが(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])D152頁[北野弘久・吉良実執筆]参照)、それはどのような意味においてであろうか。今回は、この点を明らかにすることにしたい。

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国税通則法構造手続

【第6回】

「国税通則法5条(~7条の2)」

-国税の納付義務の承継-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法5条(相続による国税の納付義務の承継)

(相続による国税の納付義務の承継)

第5条 相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治29年法律第89号)第951条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。次章、第3章第1節(国税の納付)、第6章(附帯税)、第7章第1節(国税の更正、決定等の期間制限)、第7章の2(国税の調査)及び第11章(犯則事件の調査及び処分)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。

2 前項前段の場合において、相続人が2人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第900条から第902条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分により按分して計算した額とする。

3 前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額を超える者があるときは、その相続人は、その超える価額を限度として、他の相続人が前2項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる。

 

1 はじめに

国税通則法は国税の納付義務の承継を、相続の場合(5条)、法人の合併の場合(6条)、法人(人格のない社団等を含む。3条参照)が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括承継した場合(7条)、信託の受託者の任務終了に伴い新受託者が就任した場合等(7条の2)の私法上の包括承継(民法896条、会社法2条27号・28号、748条、信託法163条等参照)の場合について規定している(ほかに会社更生法232条1項も参照)。

上記の各規定は、包括承認に関する私法上の原則(以下「私法上の包括承認原則」という)の確認規定であると解されることがあるが(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])D152頁[北野弘久・吉良実執筆]参照)、それはどのような意味においてであろうか。今回は、この点を明らかにすることにしたい。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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