公開日: 2016/10/06 (掲載号:No.188)
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「更正の予知」の実務と平成28年度税制改正【第3回】

筆者: 谷口 勝司

「更正の予知」実務

平成28年度税制改正

【第3回】

 

税理士 谷口 勝司

 

連載の目次はこちら

6 実務における「更正の予知」

(1) 法人税過少通達

それでは、実務上、更正の予知はどのように取り扱われているだろうか。

この点に関し、国税庁では、平成12年7月3日付課法2-9ほか「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「法人税過少通達」という)を発遣・公表しているので(下記参照)、この法人税過少通達に基づいてその取扱いを説明していきたい。

法人税過少通達第1の2は、「修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合」として、

通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その法人に対する臨場調査、その法人の取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。

と定めている。

この取扱いは、納税者が「調査のあったことを了知したと認められた後」は、原則更正の予知があったものとして取り扱う、すなわち調査開始説(調査着手説)(前回参照)に近い立場のものと理解してよいと思われる。また、前述の最高裁昭和51年12月9日判決(一小)にも準拠するものと思われる。

前述の具体額発見説では、自身の申告漏れを知っている納税者が、調査の進行具合を睨みながら具体的に把握されそうな少し前に提出する修正申告には加算税が賦課されないことになるが、これは納税者の自発的な修正申告を奨励する、という更正の予知の趣旨には合致しないと思われる。

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「更正の予知」実務

平成28年度税制改正

【第3回】

 

税理士 谷口 勝司

 

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6 実務における「更正の予知」

(1) 法人税過少通達

それでは、実務上、更正の予知はどのように取り扱われているだろうか。

この点に関し、国税庁では、平成12年7月3日付課法2-9ほか「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「法人税過少通達」という)を発遣・公表しているので(下記参照)、この法人税過少通達に基づいてその取扱いを説明していきたい。

法人税過少通達第1の2は、「修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合」として、

通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その法人に対する臨場調査、その法人の取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。

と定めている。

この取扱いは、納税者が「調査のあったことを了知したと認められた後」は、原則更正の予知があったものとして取り扱う、すなわち調査開始説(調査着手説)(前回参照)に近い立場のものと理解してよいと思われる。また、前述の最高裁昭和51年12月9日判決(一小)にも準拠するものと思われる。

前述の具体額発見説では、自身の申告漏れを知っている納税者が、調査の進行具合を睨みながら具体的に把握されそうな少し前に提出する修正申告には加算税が賦課されないことになるが、これは納税者の自発的な修正申告を奨励する、という更正の予知の趣旨には合致しないと思われる。

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連載目次

「更正の予知」の実務と平成28年度税制改正
(全5回)

【第1回】

〇 はじめに

1 過少申告加算税と更正の予知の制度概要

(1) 過少申告加算税

(2) 更正の予知

2 平成28年度税制改正

【第2回】

3 加算税と更正の予知の制度趣旨

(1) 加算税の制度趣旨

(2) 更正の予知の制度趣旨

4 更正の予知における2つの要件と「調査」の意義

5 更正の予知の時期

【第3回】

6 実務における「更正の予知」

(1) 法人税過少通達

(2) 更正の予知の例示

7 事前通知と更正の予知

【第4回】

8 調査・行政指導と更正の予知

(1) 調査と行政指導の区分

(2) 行政指導による事務

(イ) 申告書の計算誤り等(事後処理等)

(ロ) 法人税の無申告

(ハ) 源泉所得税の未納整理

【第5回】

9 書面添付制度における意見聴取

10 主張立証責任

〇 おわりに

筆者紹介

谷口 勝司

(たにぐち・かつじ)

税理士

国税庁法人課税課課長補佐、津島税務署長、名古屋国税局法人課税課長、同局人事第一課長、浜松西税務署長、同局調査部長を経て、2015年8月税理士登録。

【著作】
・『詳解 加算税 通達と実務』共著(清文社、2019年)

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