「更正の予知」の実務と
平成28年度税制改正
【第3回】
税理士 谷口 勝司
連載の目次はこちら
6 実務における「更正の予知」
(1) 法人税過少通達
それでは、実務上、更正の予知はどのように取り扱われているだろうか。
この点に関し、国税庁では、平成12年7月3日付課法2-9ほか「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「法人税過少通達」という)を発遣・公表しているので(下記参照)、この法人税過少通達に基づいてその取扱いを説明していきたい。
法人税過少通達第1の2は、「修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合」として、
通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その法人に対する臨場調査、その法人の取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。
と定めている。
この取扱いは、納税者が「調査のあったことを了知したと認められた後」は、原則更正の予知があったものとして取り扱う、すなわち調査開始説(調査着手説)(前回参照)に近い立場のものと理解してよいと思われる。また、前述の最高裁昭和51年12月9日判決(一小)にも準拠するものと思われる。
前述の具体額発見説では、自身の申告漏れを知っている納税者が、調査の進行具合を睨みながら具体的に把握されそうな少し前に提出する修正申告には加算税が賦課されないことになるが、これは納税者の自発的な修正申告を奨励する、という更正の予知の趣旨には合致しないと思われる。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。