「更正の予知」の実務と
平成28年度税制改正
【第4回】
税理士 谷口 勝司
連載の目次はこちら
8 調査・行政指導と更正の予知
(1) 調査と行政指導の区分
更正の予知に関して、主に実地の調査を前提にこれまで説明してきたが、実地の調査以外の税務執行が実際にどのように行われ、これに伴って更正の予知がどのように取り扱われているか、理解しておくことも実務上重要である。
例えば、提出された申告書の計算内容、記載内容等に誤りがあるのではないかと考えられる場合、国税当局から納税者への働きかけは、「申告書に計算誤りがあると思われるので、見直してほしい(確認してほしい)」といったように、見直し要請・確認要請という「行政指導」として実際には幅広く行われている。
その結果、この行政指導に基づいて提出された修正申告書は、納税者が調査のあったことを了知したとはいえず(したがって更正の予知がない)、納税者の自発的なものとして扱われ、加算税賦課が行われないことになる。
申告書の比較的軽微な誤り等について、納税者に対して調査、行政指導のいずれで対応するかは、国税当局の行政スタンスによるともいえるが、現状は、まずは行政指導による対応が行われて修正申告書(減額の場合は更正の請求)の提出が勧奨され、多くのものが納税者の自発的なものとして処理されている。そして行政指導で対応できない場合には、次の段階として調査に移行して対応されている。
このように、行政指導による税務執行が広く行われているのは、国税当局としては、申告納税制度の維持・発展のため、納税者によって納税義務が自発的に履行されるようにすることが重要と考えている、というのが一番大きな理由であろう。申告に誤りがあれば、納税者自身にできる限り是正してもらう、という考えである。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。