《速報解説》
厚生労働省、令和3年度税制改正を踏まえ、
「セルフメディケーション税制に関するQ&A」を更新
~新たに対象・対象外となる医薬品の詳細が明らかに~
公認会計士・税理士 篠藤 敦子
セルフメディケーション税制は、令和3年度税制改正において、対象となる医薬品の範囲等が見直された上、適用期限が5年間延長された。
改正の概要については、拙稿「《速報解説》 令和3年度税制改正におけるセルフメディケーション税制の見直し対象となる医薬品が明らかに~経過措置適用期限は令和7年12月31日~」をご参照いただきたい。
本改正を踏まえ、厚生労働省ホームページに公開されている「セルフメディケーション税制に関するQ&A」が更新された。
以下、更新された主なQ&Aを取り上げる。
【1】 適用期限の延長(Q1)
適用期限が平成29年1月1日~令和8年12月31日までとなり、5年間延長された。
【2】 対象医薬品の見直し(Q5~Q9、Q29、Q39)
(1) 対象外となる医薬品、対象に加えられた医薬品(Q5)
① 対象外となる医薬品(※1)(令和8年1月1日以降)
L-アスパラギン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、メコバラミン及びユビデカレノンを有効成分として含有するスイッチOTC医薬品
② 対象に加えられる医薬品(※2)(令和4年1月1日以降)
外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるスイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品
(※1) これらの成分を有効成分として含有するスイッチOTC医薬品のうち、令和3年12月31日以前に新規発売されたものは令和7年12月31日まで税制の対象、令和4年1月1日以降に新規発売されたものは税制の対象外となる⇒Q39
(※2)・抗ヒスタミン薬の効能又は効果を有すると認められるスイッチOTC医薬品以外の一般医薬品について、税制対象製品と税制対象外製品がある⇒Q7
・催眠鎮静薬(対象成分ジフェンヒドラミン塩酸塩を含む「スリーピン」、「スヤットミン」、「ドリエル」等)は税制の対象外となる⇒Q8
・漢方薬(「ジリュウ」、「マオウ」、「ナンテンジツ」)は税制対象成分として追加されており、これらを含有することでかぜ薬及び鎮咳去痰剤としての効能効果を有する医薬品は税制の対象となる⇒Q9
・支払日が令和4年1月1日以降である場合に対象となる⇒Q29
(2) 対象医薬品の識別方法(Q6)
対象となる医薬品については、「共通識別マーク」が包装上に表示され、レシート(領収書)上にも税制対象医薬品であることが明記される。
〈共通識別マーク〉
(出典) 厚生労働省「セルフメディケーション税制に関するQ&A(令和3年10月7日更新)」6ページ
なお、令和3年度税制改正により対象となる医薬品が見直されたことにより、令和4年1月1日以降の一定期間は、「共通識別マーク」の印字切替が行われる。よって、税制の利用に際しては、レシートの表示を確認することが必要となる。
【3】 提出書類の見直し(Q11、Q13、Q21~Q24)
本制度の適用を受けるには、確定申告書に「セルフメディケーション税制の明細書」を添付することとされている。
なお、令和3年分の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合には、「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類の添付は不要となっている。ただし、税務署長は、確定申告期限等から5年間、取組を明らかにする書類の提示又は提出を求めることができるとされているので、当該書類を保管しておく必要がある。
Q21からQ24では、税務署から「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類の提出や提示を求められたときの対応(どのような書類を準備するか等)について詳細に示されている。
(了)