相続税・贈与税の基本構造
~日本と台湾の比較~
【第3回】
(最終回)
大阪学院大学法学部教授
公認会計士・税理士
八ッ尾 順一
4 日本と台湾の相違点の検討
上記の「2」(第1回参照)及び「3」(第2回参照)の内容を比較しながら、両国の相続税・贈与税の相違を確認し、その中で問題点を検討する。
(1) 遺産課税方式と遺産取得課税方式
遺産課税方式を採用している台湾において、何故に、相続人に係る各種控除(配偶者控除、父母控除等)があるのかという疑問がある。この点については、台湾の伝統的国民感情を考慮して、原則、人数に基づく控除の方法等を採っていると言われている。ただ、基本的には、「基本免税額」のみで、相続人に対する減免は金額が限られている。しかしながら、遺産課税方式を採用している以上、このような相続人に係る各種控除は矛盾しているともいえる。したがって、台湾の相続税は、純粋な遺産課税方式を採っているとはいえない。
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