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《速報解説》小規模宅地等の計算特例、家なき子・貸付事業用宅地等に除外要件を追加~平成30年度税制改正大綱~

筆者:角田 壮平

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 《速報解説》

小規模宅地等の計算特例、

家なき子・貸付事業用宅地等に除外要件を追加

~平成30年度税制改正大綱~

 

税理士法人トゥモローズ 代表社員
税理士 角田 壮平

 

1 はじめに

平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱において、相続税における小規模宅地等の特例の見直しが盛り込まれた。

具体的には、

(1) 特定居住用宅地等のうち措置法69の4③二号ロ(通称、「家なき子特例」)につき、適用対象者の縮小

(2) 貸付事業用宅地等の範囲の縮小

(3) 介護医療院に入所した場合の特例適用の明確化

の3項目である。

 

2 改正の背景

家なき子については、生前に相続人が親族などに自己の持ち家を売却するなどして適用可能な状態を意図的に作出し、本来の政策目的に沿っていないとの指摘を是正するための改正である。

また貸付事業用宅地等の見直しについては、一時的に現金を不動産に換え、特例を適用して相続税負担を軽減しているケースを封じるために見直されることとなった。

最後の介護医療院とは、平成30年に創設される新しい形態の介護保険施設であり、新たな介護療養病床の医療機能を維持し、生活施設としての機能を兼ね備えた施設である。相続開始前に当該介護医療院に入所した被相続人について、病院や老人ホームに入所した場合等と整合性を担保するための改正と考えられる。

 

3 改正の内容

(1) 家なき子特例の見直し

 現行の制度

家なき子特例の現行制度は、被相続人に配偶者又は同居相続人がいない場合において、その宅地等を取得した相続人等が相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住せず、かつ、当該宅地等を相続税の申告期限まで所有していたときは、被相続人の居住する宅地等につき330㎡まで80%の減額が認められている。

現行制度では、例えば、相続開始の5年前に相続人が所有する家屋を親族に売却等することにより、その相続人が家なき子特例の適用対象者に該当させることが可能となる。

 改正案

持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する。

(イ) 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

(ロ) 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

 今後の留意点

上記②(イ)に該当する者は、今後、引越し等をし、「上記(イ)に掲げる家屋」及び「自己又は自己の配偶者の所有する家屋」以外に居住した場合において、3年経過後に相続が開始したときは、家なき子特例の適用が可能となるであろう。また、上記②(ロ)に該当する者が家なき子特例の適用を受けるためには、相続開始前までに「上記(ロ)に掲げる家屋」以外の家屋に引越し等をする必要があるだろう(ただし、上記②(イ)に該当する者は特例の適用対象外となる)。

(2) 貸付事業用宅地等の見直し

 現行の制度

貸付事業用宅地等の現行制度は、被相続人等がその宅地等で貸付事業をしていた場合において、その宅地等を取得した相続人が相続税の申告期限までにその貸付事業を継続したときは、当該貸付事業用宅地等につき200㎡まで50%の減額が認められている。

例えば、相続開始の1ヶ月前に購入した貸付事業用宅地等であっても、申告期限まで所有及び事業継続していれば特例の適用は可能となる。

 改正案

貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く)を除外する。

 今後の留意点

改正案における事業的規模とは、所基通26-9(いわゆる「5棟10室基準」)が判断基準になるものと想定される。なお、下記の適用時期にある通り、平成30年4月1日前に購入した貸付事業用宅地等については、被相続人の貸付規模が問われることはないため、駆け込みで賃貸物件等を購入するケースが増えるであろう。これに対し、平成30年4月1日以降に貸付事業に供した宅地等については、3年縛り(貸付期間及び事業的規模期間)が適用されることとなるため注意が必要だ。

(3) 介護医療院

介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。

 

4 適用時期

上記の改正は、平成30 年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、上記3(2)の改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用しない。

(了)

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