公開日: 2021/01/06
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《速報解説》東証、第二次制度改正事項として市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について公表~2022年4月に現在の市場区分を3つの新市場区分に見直すことを予定~

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

東証、第二次制度改正事項として
市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について公表

~2022年4月に現在の市場区分を3つの新市場区分に見直すことを予定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2020年12月25日、東京証券取引所は、「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」を公表した。

東京証券取引所は、2022年4月に、現在の市場区分をスタンダード市場・プライム市場・グロース市場の3つの市場区分に見直すことを予定している。

今般の「第二次制度改正事項」は、新市場区分の上場制度の全体像、上場会社の市場選択の手続及び新市場区分の上場維持基準を充たさない場合の経過措置について、所要の制度整備を行うものである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 新市場区分

2022年4月4日(以下「移行日」という)付で、次の3つの市場区分に見直す。

 スタンダード市場

 プライム市場

 グロース市場

上場会社は、2021年9月1日から12月30日までの期間に、移行日に所属する市場区分として、スタンダード市場、プライム市場又はグロース市場のいずれかの市場区分を選択し、その旨を東京証券取引所に申請する。

また、新市場区分における上場維持基準を新設し、上場維持基準に抵触し、改善期間内に改善が行われなかった場合を、上場廃止基準として定める。

なお、移行日の前日における上場会社のうち、所定の区分に該当する会社には、当分の間、緩和した上場維持基準を適用する経過措置を設ける。

 

Ⅲ スタンダード市場

公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの上場制度を設ける。

スタンダード市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	400人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	2,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	10億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	25%以上 経営成績、財政状態	経営成績	最近1年間における 経常利益が1億円以上 	財政状態 (上場時見込み)	純資産が正

 

Ⅳ プライム市場

多くの機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの上場制度を設ける。

プライム市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	800人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	20,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	100億円以上 	時価総額 (上場時見込み)	250億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	35%以上 経営成績、財政状態	経営成績  ※ A又はBのいずれかを充たす。	A:利益実績	最近2年間における経常利益の総額が25億円以上 		B:売上実績	最近1年間の売上高が100億円以上かつ上場日における時価総額が1,000億円以上 	財政状態	純資産が50億円以上

 

Ⅴ グロース市場

高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの上場制度を設ける。

グロース市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	150人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	1,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	5億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	25%以上

(了)

《速報解説》

東証、第二次制度改正事項として
市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について公表

~2022年4月に現在の市場区分を3つの新市場区分に見直すことを予定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2020年12月25日、東京証券取引所は、「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」を公表した。

東京証券取引所は、2022年4月に、現在の市場区分をスタンダード市場・プライム市場・グロース市場の3つの市場区分に見直すことを予定している。

今般の「第二次制度改正事項」は、新市場区分の上場制度の全体像、上場会社の市場選択の手続及び新市場区分の上場維持基準を充たさない場合の経過措置について、所要の制度整備を行うものである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 新市場区分

2022年4月4日(以下「移行日」という)付で、次の3つの市場区分に見直す。

 スタンダード市場

 プライム市場

 グロース市場

上場会社は、2021年9月1日から12月30日までの期間に、移行日に所属する市場区分として、スタンダード市場、プライム市場又はグロース市場のいずれかの市場区分を選択し、その旨を東京証券取引所に申請する。

また、新市場区分における上場維持基準を新設し、上場維持基準に抵触し、改善期間内に改善が行われなかった場合を、上場廃止基準として定める。

なお、移行日の前日における上場会社のうち、所定の区分に該当する会社には、当分の間、緩和した上場維持基準を適用する経過措置を設ける。

 

Ⅲ スタンダード市場

公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの上場制度を設ける。

スタンダード市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	400人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	2,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	10億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	25%以上 経営成績、財政状態	経営成績	最近1年間における 経常利益が1億円以上 	財政状態 (上場時見込み)	純資産が正

 

Ⅳ プライム市場

多くの機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの上場制度を設ける。

プライム市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	800人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	20,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	100億円以上 	時価総額 (上場時見込み)	250億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	35%以上 経営成績、財政状態	経営成績  ※ A又はBのいずれかを充たす。	A:利益実績	最近2年間における経常利益の総額が25億円以上 		B:売上実績	最近1年間の売上高が100億円以上かつ上場日における時価総額が1,000億円以上 	財政状態	純資産が50億円以上

 

Ⅴ グロース市場

高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの上場制度を設ける。

グロース市場の形式基準は次のとおりである。
流動性	株主数 (上場時見込み)	150人以上  	流通株式数 (上場時見込み)	1,000単位以上  	流通株式時価総額 (上場時見込み)	5億円以上 コーポレート・ガバナンス	流通株式比率 (上場時見込み)	25%以上

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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弁護士 辺見 紀男、弁護士 武井 洋一、税理士・公認会計士 山田 美代子 編集代表  弁護士 ?田 由貴、弁護士 岸本 寛之、弁護士 畑中 淳子、弁護士 平井 智子、弁護士 川見 友康、社会保険労務士 椎野 登貴子、司法書士 高津 笑、行政書士 鈴木 康子 編集委員

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