〈事例から学ぶ〉
不正を防ぐ社内体制の作り方
【第8回】
「牽制と予防の仕組みの限界を考える」
~共謀、非定型的な取引、経営者による内部統制の軽視等への対応~
米国公認会計士・公認内部監査人
打田 昌行
はじめに
人は元来、間違う動物です。そのため、日常の業務のなかで起きる判断の誤り、不注意による人為的なミスや不正に対し、牽制や予防をするために、私たちはさまざまな仕組みや手続をデザインして周到に備えています。しかし、あらゆる仕組みや手続には、常に限界が伴います。つまり、本来の機能が有効に働かず、求められている目的を完全に達成できなくなることが起こります。
たとえば、不注意による人為的なミスや不正を予防する代表的な仕組みに相互牽制の仕組みがあります。合理的な意思に基づき、会社の利益のためにお互いの仕事を確認するという、みなさんご存知の身近で用いられる方法です。
しかし、たとえ相互牽制が図られても、複数の担当者による共謀にあっては、本来の働きが阻害され、不注意による人為的なミスどころか不正にも対抗することができなくなってしまいます。牽制の仕組みは、あらかじめ起こり得る多くの事態を想定したうえでデザインされます。しかし、想定すらしていなかった事態が起こり得るということは、原発事故、地震や洪水などの自然災害に遭遇してきた私たちが、経験から既に学んだことです。
では、こうした仕組みの持つ限界をきちんと理解したうえで、どのようにしたら仕組みの限界を補完し、可能な限り克服するためのヒントを手に入れることができるのでしょうか。以下、内部統制報告制度を例にとって考えます。
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