公開日: 2013/04/25 (掲載号:No.16)
文字サイズ

〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第8回】「これまでのポイントを踏まえた対策と留意点」

筆者: 中村 武

〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕

過大支払利子税制

─企業戦略への影響と対策─

【第8回】

「これまでのポイントを踏まえた

対策と留意点」

 

アースタックス税理士法人
税理士 中村 武

 

前回までにおいて、本制度における「損金不算入額」計算、翌年度以降の「超過利子額(損金不算入額の繰越額)の損金算入額」計算及び「主要他規定との調整項目」について確認してきた。

連載最終回となる今回は、これまで整理してきたポイントを踏まえ、本制度の導入に伴う既存案件への影響及び対策について考察を行う。

〈ポイント1〉

適用事業年度について

本制度は、平成25年4月1日以降開始する事業年度から適用されることとなる。

したがって、本邦内国資本系法人において一般的な3月末決算法人については、平成25年4月1日開始事業年度より既にその適用が開始されているが、外国資本系法人において一般的な12月末決算法人については平成26年1月1日開始事業年度より適用となり、その開始まで一定期間の猶予があるため、本制度の導入に伴う影響及びその対策を検討する期間が残されていることとなる。

ただし、本制度は所得金額に比して過大な支払利子について、その損金算入を制限しようとするものであるため、その対策は当該法人の「資本政策」に関わってくることとなり、長期的な視野による考察・分析に基づいた判断が必要とされるべきものであることから、一時的な納税額減額のために法人としてあるべき姿から離れた付け焼刃的な対策を取ることがないよう留意が必要であろう。

また、関連する各関連者への影響の策定及び必要な説明手続、金融機関との交渉等が必要となってくることが想定されるため、対策には相応の期間が必要と予想されることから、早期の対応が必要となることについて合わせて留意が必要と考えられる。

なお、本制度は創設の規定であるため、今後も状況に応じて適宜規定の改定が予想される。この場合にも、改定の内容及び適用開始時期には事前に十分な注意を払い、その対応が遅れることのないように、引き続き留意が必要と考えられる。

 

〈ポイント2〉

適用除外の検討I(1,000万円基準)

第5回で解説を行ったとおり、本制度は、「当該事業年度の関連者純支払利子等の額が1,000万円以下であるとき」には適用しないこととされている(措法66の5の2④)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕

過大支払利子税制

─企業戦略への影響と対策─

【第8回】

「これまでのポイントを踏まえた

対策と留意点」

 

アースタックス税理士法人
税理士 中村 武

 

前回までにおいて、本制度における「損金不算入額」計算、翌年度以降の「超過利子額(損金不算入額の繰越額)の損金算入額」計算及び「主要他規定との調整項目」について確認してきた。

連載最終回となる今回は、これまで整理してきたポイントを踏まえ、本制度の導入に伴う既存案件への影響及び対策について考察を行う。

〈ポイント1〉

適用事業年度について

本制度は、平成25年4月1日以降開始する事業年度から適用されることとなる。

したがって、本邦内国資本系法人において一般的な3月末決算法人については、平成25年4月1日開始事業年度より既にその適用が開始されているが、外国資本系法人において一般的な12月末決算法人については平成26年1月1日開始事業年度より適用となり、その開始まで一定期間の猶予があるため、本制度の導入に伴う影響及びその対策を検討する期間が残されていることとなる。

ただし、本制度は所得金額に比して過大な支払利子について、その損金算入を制限しようとするものであるため、その対策は当該法人の「資本政策」に関わってくることとなり、長期的な視野による考察・分析に基づいた判断が必要とされるべきものであることから、一時的な納税額減額のために法人としてあるべき姿から離れた付け焼刃的な対策を取ることがないよう留意が必要であろう。

また、関連する各関連者への影響の策定及び必要な説明手続、金融機関との交渉等が必要となってくることが想定されるため、対策には相応の期間が必要と予想されることから、早期の対応が必要となることについて合わせて留意が必要と考えられる。

なお、本制度は創設の規定であるため、今後も状況に応じて適宜規定の改定が予想される。この場合にも、改定の内容及び適用開始時期には事前に十分な注意を払い、その対応が遅れることのないように、引き続き留意が必要と考えられる。

 

〈ポイント2〉

適用除外の検討I(1,000万円基準)

第5回で解説を行ったとおり、本制度は、「当該事業年度の関連者純支払利子等の額が1,000万円以下であるとき」には適用しないこととされている(措法66の5の2④)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

筆者紹介

中村 武

(なかむら・たけし)

アースタックス税理士法人 代表社員
http://www.earth-tax.com/

税理士

明治大学法学部卒業。個人の会計事務所で一般の税務会計業務を学んだあと、Big5(アーサーアンダーセン及びKPMG)において、不動産証券化・都市再開発に係る大型不動産取引、国内外M&A、企業再編、国際税務に係る税務アドバイザリー業務に従事。

その後、2006年アースタックス税理士法人を設立し代表社員に就任。現在も引き続き、不動産・債権・株式投資・リース等の証券化業務、企業再編、海外企業の国内進出案件、日本企業の海外進出案件等に関与。

【その他役職】
アースタックス・ビジネスコンサルティング(香港)有限公司:董事
国立大学法人北見工業大学:非常勤講師

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#