公開日: 2025/12/11 (掲載号:No.648)
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国際課税レポート 【第21回】「多国籍企業課税制度と課税ベース」~ワールドワイドvsテリトリアル~

筆者: 岡 直樹

国際課税レポート

【第21回】

「多国籍企業課税制度と課税ベース」

~ワールドワイドvsテリトリアル~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団上席フェロー

 

多国籍企業の課税制度(二重課税の排除措置)は、親会社所在国が子会社の所得を課税上どう扱うかという点をめぐって、次の2分法で語られてきた。

  • 「ワールドワイド課税」:子会社の所得だが、親会社にとって未実現(まだ配当等されていないため)の所得の親会社段階(親会社居住地国)での合算課税+外国税額控除。
  • 「テリトリアル課税」:親会社段階(親会社居住地国)での国外所得免除方式。

(注) いずれの方式でも、子会社所在国では子会社に源泉地国課税が行われる(軽課税とする場合もある)が、親会社所在国での国外所得の取扱いが異なる。

しかし、課税ベースの考え方、実体がある場合のカーブアウト、外国税額控除等の設計によって、現実の各国の制度におけるこれら制度の境界線には“でこぼこ”がある。

以下では、各国の具体的な制度として、米国のSubpart F、日本のタックスヘイブン対策税制(CFC税制)、OECD Pillar 2(IIR)、米国のGILTI及びその後継制度であるNCTI(いわば新GILTI税制)を取り上げ、これら多国籍企業課税ルールの設計について整理し、併せて、本年6月にG7が合意したPillar 2と米国制度の“共存” (※)の多国籍企業課税制度における本質を探ることとする。

(※) 詳しくは、本連載の【第18回】「G7共存システムの具体化とピラー2」参照。

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~ワールドワイドvsテリトリアル~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団上席フェロー

 

多国籍企業の課税制度(二重課税の排除措置)は、親会社所在国が子会社の所得を課税上どう扱うかという点をめぐって、次の2分法で語られてきた。

  • 「ワールドワイド課税」:子会社の所得だが、親会社にとって未実現(まだ配当等されていないため)の所得の親会社段階(親会社居住地国)での合算課税+外国税額控除。
  • 「テリトリアル課税」:親会社段階(親会社居住地国)での国外所得免除方式。

(注) いずれの方式でも、子会社所在国では子会社に源泉地国課税が行われる(軽課税とする場合もある)が、親会社所在国での国外所得の取扱いが異なる。

しかし、課税ベースの考え方、実体がある場合のカーブアウト、外国税額控除等の設計によって、現実の各国の制度におけるこれら制度の境界線には“でこぼこ”がある。

以下では、各国の具体的な制度として、米国のSubpart F、日本のタックスヘイブン対策税制(CFC税制)、OECD Pillar 2(IIR)、米国のGILTI及びその後継制度であるNCTI(いわば新GILTI税制)を取り上げ、これら多国籍企業課税ルールの設計について整理し、併せて、本年6月にG7が合意したPillar 2と米国制度の“共存” (※)の多国籍企業課税制度における本質を探ることとする。

(※) 詳しくは、本連載の【第18回】「G7共存システムの具体化とピラー2」参照。

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連載目次

国際課税レポート

筆者紹介

岡 直樹

(おか・なおき)

税理士
東京財団上席フェロー
国税庁国際課税分析官、税務大学校教授、主任国税訟務官(国際)。大法人、外国企業課税の経験を持つ。財務省主税局、OECD租税委員会事務局等に勤務。IFA(国際租税協会)、租税法学会、国際取引法学会会員。

【著作等】

・「タックスヘイブンとの闘いと国際租税法-新課税権とグローバルミニマム税-」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー143号(2020)

・「英国のアーロンソン報告書とGAAR」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー126号(2016)

・「日本の所得税負担の実態―高額所得者を中心に」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー118号(2014)

・「高額所得申告者・大規模法人の行動と税務行政への示唆」(税大論叢60号)(2009)

・「移転価格税制における情報義務と独立企業間価格の証明方法に関する考察」(税大論叢59号)(2008) 第18回租税資料館賞受賞

関連書籍

租税条約関係法規集

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

はじめての国際相続

税理士法人ゆいアドバイザーズ 中山史子 著

タイ・シンガポール・インドネシア・ベトナム駐在員の選任・赴任から帰任まで完全ガイド

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) コンサルティング・国際事業本部 国際本部 チーフコンサルタント 藤井 恵 著

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本庄 資 監修  三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 国際事業本部・国際本部 チーフコンサルタント 藤井 恵 著

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