「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第8回】
「普通解雇④」
~非違行為、企業秩序違反による解雇~
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
~懲戒解雇と重複する類型~
今回は、非違行為・企業秩序違反の行為に対する解雇について論ずる。
この類型の特徴は、「能力不足、適格性欠如」(【第5回】)、「協調性欠如、勤務態度不良」(【第6回】)等の他の類型と比較して解雇が認められやすい類型であるが、また同時に、懲戒対象行為となり、場合によっては懲戒解雇も可能な類型ということである。
したがって、非違行為、企業秩序違反の行為は、懲戒解雇で論じられることが多いが、懲戒解雇は普通解雇より有効性が認められる場合が少なく、手続的も厳しく、違法となるリスクが高いため、実務的には、あえて普通解雇を選択されることが多い(【第1回】参照)。
そこで本稿では、非違行為・企業秩序違反の行為について論じることとし、懲戒解雇の稿(次回を予定)では懲戒解雇の手続など懲戒解雇固有の問題について論じることとする。
以下、一般的に問題となりやすい事象を例に挙げる。
2 経歴詐称
(1) 経歴詐称による解雇は可能か
雇用契約は、会社と従業員の信頼関係に基礎を置く継続的な契約である。したがって、会社は、雇用契約に先立ち、従業員に対し、従業員の労働力評価に関わる事項だけでなく、会社や職場への適応性、貢献意欲、企業の信用保持等の維持に関係する事項についても、必要かつ合理的な範囲内で申告を求めることができ(差別に関わる事項は禁止される)、従業員には、告知を求められた事項について、信義則上、真実を告知する義務がある。
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