「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第11回】
(最終回)
「まとめ」
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
これまで10回にわたり、会社が従業員を解雇する場合の実務とそのリスクや対応策について解説してきたが、解雇の要件は、従業員側に原因のある普通解雇(【第4回】~【第8回】)、懲戒解雇(【第9回】)、会社側の経営状態を理由とする整理解雇(【第10回】)によってそれぞれ異なるものの、一般に思われているよりも遥かに難しいものであることがご理解いただけたと思う。
雇用契約はそもそも当事者の合意に基づくものであるところ、解雇は会社側による雇用契約の一方的な意思表示であり、これにより従業員は生活の基盤となる収入を失うことになる。したがって、解雇が有効とされるためには極めて厳しい条件が課されるのである。
とはいえ、当該従業員に辞めてもらわなければ他の従業員の士気が低下する等、企業活動に支障が生じるケースがあるのも確かである。
この連載の最終回である本稿では、解雇の難しさを前提に、これまで論じたところと一部重複する部分はあるものの、辞めてもらいたい従業員にする会社側の対応策について、時系列により網羅的に論じてみたい。
2 採用・雇用契約締結段階の工夫
(1) 雇用契約書と誓約書
まず大前提として、一度雇用契約を締結してしまったら、当該従業員を解雇により一方的に辞めさせるのは非常に困難である。いったん採用したら、一方的に辞めさせることはできないという覚悟を持つことが必要である。
そのために、まずは提出書類の記載に虚偽がないか、面接の受け答えに問題・不自然な点がないか等、慎重に確認してほしい。
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