会社法施行後10年経過に関する
「役員変更登記」の実務
【第1回】
「役員の任期管理を放置した場合のリスク」
司法書士法人F&Partners
司法書士 本橋 寛樹
-はじめに-
平成18年5月1日に会社法(平成17年法律86号)が施行され、株式会社の役員(取締役、会計参与、監査役をいう。以下、同じ)の任期を、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名等委員会設置会社を除く)は、定款の定めによって最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができるようになった(会社法332条2項・336条2項)。つまり、役員の任期を伸長してから役員の顔ぶれに変わりがなく、その他の登記事項に変更がなければ、最長で約10年間、登記手続をする必要がないこととなる。
そして本年(平成28年)5月に会社法施行から10年を迎えるため、会社法施行後に役員の任期を最長の期間に伸長した株式会社であっても、役員の任期が満了し、役員の改選及びその登記手続を行う必要が生じることになる。
そこで本稿では、企業の法務・総務担当者や会社法実務に携わる公認会計士・税理士を主な対象として、役員の任期管理を今一度、確認することとしたい。特に、役員の任期を伸長し、前回の登記手続から間隔のあいた株式会社をモデルケースとして、平成27年施行の改正会社法や改正商業登記規則を踏まえ、役員変更登記の実務に関するポイントを2回にわたってお伝えしていきたい。
役員の任期管理を怠る不利益とは
役員の任期が適切に管理されていれば、任期満了に伴って改選決議を行い、その役員変更登記手続を行うことになる。しかし、任期管理を怠ると、役員の任期満了の時期を把握することができず、改選決議や役員変更登記手続に着手できない。一定の期間登記手続をしないと、会社は思わぬ不利益を被ってしまうことになる。
以下は、事業活動を継続する株式会社を対象として、株式会社の役員の任期管理を放置するとどのような事態となるかを考察してみたい。
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