〈まずはこれだけおさえよう〉
民法(債権法)改正と
企業実務への影響
【第5回】
(最終回)
「保証」
堂島法律事務所
弁護士 奥津 周
司法書士法人F&Partners
司法書士 北詰 健太郎
本改正においては、保証に関する規律の見直しも行われ、目玉のひとつとなっている。そのなかで特に着目すべきは、保証人の保護の拡充についてである。本連載最終回となる今回は、その論点を中心に解説を行う。
1 根保証の制限
要綱1
5 根保証
(1) 極度額(民法第465条の2関係)
民法第465条の2の規律を次のように改めるものとする。
ア 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
イ 個人根保証契約は、アに規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
ウ 民法第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約におけるアに規定する極度額の定めについて準用する。
(※) 法制審議会にて決定された「民法(債権関係)の改正に関する要綱」26・27頁より抜粋。なお、同内容の改正法案が現在国会に提出されている。
(1) 現行法における規律
「根保証」とは、債権者に対して債務者が負担する現在及び将来において発生する一切の債務を保証することをいう。
根保証は極度額を定めなければ保証人が過大な責任を負う可能性があるため、保証人が個人の場合で、銀行借入などの貸金や手形の割引を受けることによって負担する債務(貸金等債務)が保証の対象に含まれている場合には、極度額を定めない根保証(包括根保証)は現行民法465条の2において禁止されている(極度額を定めずに貸金等を主債務に含む保証契約をした場合には無効となる)。
(2) 改正法案における規律
現行民法465条の2においては、継続的に行われている売買取引から発生した債務をすべて保証する場合のように、貸金等債務を含まない包括根保証については規制されていない。もっとも、保証人の責任を予め限定しておき、保証人にとって責任の範囲を予測可能なものにするという要請は、貸金等債務とその他の取引から発生した債務とで異なることはない。
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