公開日: 2015/05/07 (掲載号:No.118)
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〈まずはこれだけおさえよう〉民法(債権法)改正と企業実務への影響 【第4回】「時効」

筆者: 奥津 周、北詰 健太郎

〈まずはこれだけおさえよう〉

民法(債権法)改正と

企業実務への影響

【第4回】

時効

 

堂島法律事務所
弁護士 奥津  周
司法書士法人F&Partners
司法書士 北詰 健太郎

 

1 原則的な時効の期間

要綱1

1 債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点

民法第166条第1項及び第167条第1項の債権に関する規律を次のように改めるものとする。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1) 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。

(2) 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

(注) この改正に伴い、商法第522条を削除するものとする。

(※) 法制審議会にて決定された「民法(債権関係)の改正に関する要綱」6頁より抜粋。なお、同内容の改正法案が現在国会に提出されている。

(1) 現行法

現行民法166条1項、167条1項は、消滅時効の起算点を「権利を行使することができる時」と定め、原則的な消滅時効の期間を10年間と定めている。

一方、現行民法170条から174条は、職業別の短期消滅時効の規定をおき、職業ごとの債権について、1年ないし3年の短期の消滅時効を定めている(具体例は下表のとおり)。また、商法522条は、商取引によって生じた債権については、5年間の消滅時効期間を定めている。

【職業別短期消滅時効の例】
 債権の種類	消滅時効期間	根拠条文 生産者や小売商人の売掛金	2年	民法173条1号 医師の診療報酬債権	3年	民法170条1号 工事請負代金債権	3年	民法170条2号 飲食代金等	1年	民法174条

(2) 改正法による時効期間の統一

上表のように、職業別に個別に短期の消滅時効期間を設けることには、現代では合理性がないと指摘されていた。また、原則的な時効期間を10年とするのも、最近の国際的な動向等からすると、長すぎるという指摘もなされていた。

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企業実務への影響

【第4回】

時効

 

堂島法律事務所
弁護士 奥津  周
司法書士法人F&Partners
司法書士 北詰 健太郎

 

1 原則的な時効の期間

要綱1

1 債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点

民法第166条第1項及び第167条第1項の債権に関する規律を次のように改めるものとする。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1) 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。

(2) 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

(注) この改正に伴い、商法第522条を削除するものとする。

(※) 法制審議会にて決定された「民法(債権関係)の改正に関する要綱」6頁より抜粋。なお、同内容の改正法案が現在国会に提出されている。

(1) 現行法

現行民法166条1項、167条1項は、消滅時効の起算点を「権利を行使することができる時」と定め、原則的な消滅時効の期間を10年間と定めている。

一方、現行民法170条から174条は、職業別の短期消滅時効の規定をおき、職業ごとの債権について、1年ないし3年の短期の消滅時効を定めている(具体例は下表のとおり)。また、商法522条は、商取引によって生じた債権については、5年間の消滅時効期間を定めている。

【職業別短期消滅時効の例】
 債権の種類	消滅時効期間	根拠条文 生産者や小売商人の売掛金	2年	民法173条1号 医師の診療報酬債権	3年	民法170条1号 工事請負代金債権	3年	民法170条2号 飲食代金等	1年	民法174条

(2) 改正法による時効期間の統一

上表のように、職業別に個別に短期の消滅時効期間を設けることには、現代では合理性がないと指摘されていた。また、原則的な時効期間を10年とするのも、最近の国際的な動向等からすると、長すぎるという指摘もなされていた。

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連載目次

「〈まずはこれだけおさえよう〉民法(債権法)改正と企業実務への影響」(全5回)

筆者紹介

奥津 周

(おくつ・しゅう)

弁護士
堂島法律事務所 パートナー
http://www.dojima.gr.jp/

平成15年3月 京都大学法学部卒業
大阪大学大学院高等司法研究科非常勤講師

【主な著書】
「事業再生ADRのすべて」商事法務(共著/2015年)
「一問一答 民事再生手続と金融機関の対応」経済法令研究会(共著/2012年)
「Q&A 震災と債権回収・倒産対応」商事法務(共著/2011年)
「書式で実践!債権の保全・回収」商事法務(共著/2010年)
「実践!債権保全・回収の実務対応 担保の取得と実行のポイント」商事法務(共著/2008年)


北詰 健太郎

(きたづめ・けんたろう)

司法書士
司法書士法人F&Partners
http://www.256.co.jp/

同志社大学非常勤講師

【主な著書、論文】
「わからない」から「書ける!」に導く 遺言書ガイド」清文社(共著/2021年)
改訂増補 実践一般社団法人・信託活用ハンドブック」清文社(共著/2019年)
速報版 税理士が押さえておきたい 民法相続編の改正」清文社(共著/2018年)他多数

  

【事務所】
司法書士法人F&Partners 大阪事務所
〒540‐0026
大阪市中央区内本町一丁目1番1号 OCTビル4階
TEL:06-6944-5335

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