公開日: 2013/03/28 (掲載号:No.12)
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対談 管理会計を学ぶ 【第2回】

筆者: 林 總、秦 美佐子

◆◆◆ 対 談 ◆◆◆

管理会計を学ぶ

【第2回】

【発言者】
公認会計士 林 總 氏
公認会計士 秦 美佐子 氏

(対談日:2013年2月18日)

前回はこちらから。

利益管理のためには、回転という時間軸が必要である


林先生の『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』で書かれている回転率という考え方。受験生は、利益率は高いほうがいいという認識があります。回転率という考え方が希薄なので、利益率の高いものをどんどん売れば儲かるだろうと考える。

林先生は、回転率を加味しないといけないということを書かれていて、すごく勉強になったというか、ここが実務と教科書の違いなんだというのを感じました。


そうですね。今の論点は、実は2つポイントがあって、一つは時間軸を組み込むということです。回転ということは、一つ作るまでの時間を短くするということです。

もう一つは、利益とキャッシュフローとは違うということです。

私は、あえてキャッシュフローを「儲け」という言葉を使って、利益と儲けは違うんだよと言っている。

儲けはお金が入ってきたネット・キャッシュ・インフローのことをいう。一方、売価から原価を差し引いた、あるいは売上から費用を差し引いた差額を利益と定義した場合、利益が出てもお金が増えるわけではない。

つまり「儲け」を増やすには、利益を増やすとともに、お金の回転を速くする必要があるんです。
この両方がなければ、会社は儲からないのです。

利益ばかりを管理をしていたばかりに、潰れてしまった会社がたくさんある。

例えば、あちこちにチョコレートの直営店を作ると、最初はもの珍しさに人が集まりますから利益は出ます。でも、直営店を開くには多額のお金がかかる。利益が出てもその店舗に投資したお金はすぐには回収できないから、会社の資金繰りは厳しくなる。銀行は業績が悪い会社には融資しません。

だから、借金を繰り返して次から次へと直営店を作ることになる。揚げ句の果ては、資金が回らなくなり潰れてしまうわけです。
利益至上主義の経営をやっていると、最後は倒産が待っている。

いかにお金を回すかということ、つまりキャッシュの管理が重要なのです。ところが、管理会計、特に原価計算の理論はもともと利益管理のための学問なので、そこがごっそり抜けている。したがって、原価計算を勉強しただけでは実務には使えない。

回転という時間軸を考えないと、実務では役立たない、ということになる。

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管理会計を学ぶ

【第2回】

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公認会計士 秦 美佐子 氏

(対談日:2013年2月18日)

前回はこちらから。

利益管理のためには、回転という時間軸が必要である


林先生の『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』で書かれている回転率という考え方。受験生は、利益率は高いほうがいいという認識があります。回転率という考え方が希薄なので、利益率の高いものをどんどん売れば儲かるだろうと考える。

林先生は、回転率を加味しないといけないということを書かれていて、すごく勉強になったというか、ここが実務と教科書の違いなんだというのを感じました。


そうですね。今の論点は、実は2つポイントがあって、一つは時間軸を組み込むということです。回転ということは、一つ作るまでの時間を短くするということです。

もう一つは、利益とキャッシュフローとは違うということです。

私は、あえてキャッシュフローを「儲け」という言葉を使って、利益と儲けは違うんだよと言っている。

儲けはお金が入ってきたネット・キャッシュ・インフローのことをいう。一方、売価から原価を差し引いた、あるいは売上から費用を差し引いた差額を利益と定義した場合、利益が出てもお金が増えるわけではない。

つまり「儲け」を増やすには、利益を増やすとともに、お金の回転を速くする必要があるんです。
この両方がなければ、会社は儲からないのです。

利益ばかりを管理をしていたばかりに、潰れてしまった会社がたくさんある。

例えば、あちこちにチョコレートの直営店を作ると、最初はもの珍しさに人が集まりますから利益は出ます。でも、直営店を開くには多額のお金がかかる。利益が出てもその店舗に投資したお金はすぐには回収できないから、会社の資金繰りは厳しくなる。銀行は業績が悪い会社には融資しません。

だから、借金を繰り返して次から次へと直営店を作ることになる。揚げ句の果ては、資金が回らなくなり潰れてしまうわけです。
利益至上主義の経営をやっていると、最後は倒産が待っている。

いかにお金を回すかということ、つまりキャッシュの管理が重要なのです。ところが、管理会計、特に原価計算の理論はもともと利益管理のための学問なので、そこがごっそり抜けている。したがって、原価計算を勉強しただけでは実務には使えない。

回転という時間軸を考えないと、実務では役立たない、ということになる。

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連載目次

「対談 管理会計を学ぶ」(全2回)

筆者紹介

林 總

(はやし・あつむ)

公認会計士
経営コンサルタント

1974年、中央大学商学部会計科卒業。外資系会計事務所、監査法人勤務を経て独立。経営コンサルティング、大学教員、執筆、講演活動などを行っている。

主な著書は『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』、『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』、『[新版]わかる!管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(中経出版)、『貯まる生活』(文藝春秋)『崖っぷち女子大生あおい、チョコレート会社で会計を学ぶ。』(清文社)ほか多数。


秦 美佐子

(はた・みさこ)

公認会計士

公認会計士秦美佐子事務所所長。
早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、優成監査法人勤務を経て独立。年商数億円から数千億円まで様々な規模の会社の監査を経験し、そのなかで優良企業だけでなく、粉飾企業や経営破綻に至った企業等も数多く担当。
現在は会計業務のかたわら、執筆や講演も積極的に行っている。

【著書】
『「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方』(プレジデント社)
『会計士マリの会社救出㊙大作戦!』、『社長ルリの踊る㊙大監査線!』(ともにすばる舎)

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