〔2020年7月2日公開〕
「《速報解説》 国税庁から令和2年分の路線価が公表される~全国平均路線価は5年連続上昇もコロナの影響は反映せず~」
《速報解説》
国税庁、令和元年分の路線価を公表
~地方の回復傾向もあり全国平均路線価は4年連続上昇~
Profession Journal編集部
7月1日、国税庁は相続税や贈与税の算定基準となる令和元年分の路線価を公表した。
令和元年分の全国平均路線価は対前年比1.3%増となり、4年連続の上昇を記録した。ここ4年において1.3%の上昇率は最も高く、また、都道府県別の路線価上昇も最も多い19都道府県と増加している。
上昇の主な背景としては、例年続く訪日外国客(インバウンド)の増加や雇用・所得環境の改善、住宅取得支援施策等による住宅需要の下支えなどが関係しているとみられる。
〇堅調な上昇を続ける首都圏
首都圏では、東京で4.9%、千葉で1.0%、神奈川で0.9%、埼玉で1.0%のプラスとなっており、堅調な上昇を続けている。
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けてのインフラ整備や再開発に加え、働き方改革に対応したオフィス環境改善のための拡張・移転やベッドタウンとしての再開発による相次ぐマンション建設等が背景にあると思われる。
なお、東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前は、今年で34年連続の地点別の最高路線価となり、1平方メートルあたりの価格は4,560万円だった。これにより3年連続の最高価格を更新したが、昨年からの上昇率は2.9%と、近年の上昇率からするとゆるやかになっている。
〇地方は2極化傾向へ
沖縄県が8.3%のプラスで都道府県別の路線価上昇率トップとなっており、地方でも観光需要の高い地域は上昇傾向がみられる。
また、27県で路線価の下落が続くなか、そのうち22県については下落幅が昨年より縮小しており、地方においても地価は回復傾向にあるものの、交通利便性の高い地域、もしくは集客力のある観光地が中心であり、それ以外の地域では下落傾向にあるなど、地方の中においても2極化の様相を呈している。
高齢化が進む日本では、老後を見据え利便性の高い都市部に移り住む高齢者が増加しており、その需要に応じた再開発が進んでいることや、観光地化による地価の上昇がここ数年続いており、この傾向はまだ続くことが予想される。
このようなことから、以前は地価が落ち着いていたとしても数年の内に高騰していることも考えられるため、土地の評価額を減じる特例の適用の有無の検討が再度必要となる場合もあるので、最新の路線価については改めて確認しておきたい。
(了)