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《速報解説》
国税庁、令和6年分の路線価及び能登半島地震に係る調整率表を公表
~コロナ禍後の訪日客増加等に伴い全国平均路線価上昇~
Profession Journal編集部
令和6年7月1日、国税庁は令和6年分の路線価(令和6年1月1日時点)を公表した。路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額であり、相続税及び贈与税の算定基準となる。
コロナ禍の影響を最も受けた令和3年分の全国平均路線価は下落に転じたものの、令和4年分・5年分は上昇し、昨年3月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行した後は、インバウンド(訪日客)もコロナ禍前の水準に近づいたことで、令和6年分の上昇が顕著なものとなった。
インバウンドの影響を大きく受けた長野県白馬村は、税務署ごとの最高路線価の上昇率で1位となり、前年比32.1%の増加となったほか、上昇率2位となった熊本県菊陽町は、台湾の半導体メーカーの進出等を背景に前年比24.0%の増加となっている。
なお、各国税局における令和6年分の国税局管内各税務署の最高路線価は以下のとおり公表されている。
〈各局が公表した最高路線価(別表)のページ〉
【沖縄国税事務所】
【熊本国税局】
【福岡国税局】
【高松国税局】
【広島国税局】
【大阪国税局】
【名古屋国税局】
【金沢国税局】
【東京国税局】
【関東信越国税局】
【仙台国税局】
【札幌国税局】
また、都市部においては上記のインバウンドの増加に加え、コロナ禍で落ち込んだオフィス需要が回復傾向にあることや継続するマンション需要に支えられ、三大都市圏の平均路線価は前年比で東京5.3%、愛知3.2%、大阪3.1%上昇している。ちなみに今年も地点別路線価の最高額となったのは、東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前で、1平方メートルあたり4,424万円(前年比3.6%増加)となった。今回で39年連続全国路線価トップとなっている。
なお、国税庁は令和6年分の路線価の公表と同日に、令和6年能登半島地震の被災地の路線価に適用する「調整率」も明らかにしている。
令和6年能登半島地震に係る調整率は、令和5年2月28日から令和6年12月31日までの間に相続等により取得した特定地域(※)内にある土地等及び令和5年1月1日から令和6年12月31日までの間に贈与により取得した特定地域内にある土地等の価額を計算するために用いる。
(※) 令和6年3月25日現在、新潟県全域、富山県全域、石川県全域が該当。
被災者の相続税及び贈与税の負担を軽減することができるため、特定地域内の土地等を実務等で取り扱う場合には相続・贈与時期などを確認のうえ、該当する場合は調整率の適用を失念することがないよう留意したい。
(了)