公開日: 2022/02/25
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《速報解説》 会計士協会、「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料」の公開草案を公表~DX環境下におけるソフトウェア関連取引に係る会計処理等の課題を抽出し検討~

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

会計士協会、「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料」の公開草案を公表

~DX環境下におけるソフトウェア関連取引に係る会計処理等の課題を抽出し検討~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2022年2月24日、日本公認会計士協会は、「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案。会計制度委員会研究資料)を公表し、意見募集を行っている。

これは、ソフトウェアに関するビジネスの環境変化に伴い、多様な実務が生じていることを踏まえ、ソフトウェア及びその周辺の取引に関する会計上の取扱いについて研究したものである。

国際財務報告基準(IFRS)及び米国基準との比較が詳細に行われており、また、ソフトウェアに関連する会計処理などが詳細に検討されているため、実務の参考になるものと思われる。

意見募集期間は2022年4月24日までである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

ソフトウェアに関するビジネスの環境変化が生じている中で、研究開発費等会計基準や研究開発費等実務指針の設定時に想定されていないソフトウェア及びその周辺の取引に関して多様な実務が生じていることから、それらで示されていないものに関する実務上の課題を抽出し、検討している。

ただし、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)及びリース取引に関する事項については、検討対象としていない。

主に次の内容である。

Ⅰ.ソフトウェア等の会計処理

1.ソフトウェア等に関する会計処理の比較

2.クラウドサービスのベンダー側の会計処理

3.クラウドサービスのユーザー側の会計処理

4.デジタルゲームの制作費用の会計処理

Ⅱ.実務上の課題とそれを踏まえた提言

1.市場販売目的ソフトウェアと自社利用ソフトウェアの区分

2.ソフトウェアの区分に基づく会計処理の相違による問題点

3.ソフトウェア制作費の資産計上要件

4.クラウドを通じてソフトウェアを利用するサービスを受ける場合の処理

5.デジタルゲーム・ソフトウェアの制作費

Ⅲ.付録

1.クラウドサービスのユーザー側の会計処理に係るIFRSにおける取扱い

2.税務上の取扱い

1 現状の課題

実務の分析、ヒアリング及びアンケート調査を行い、研究開発費等会計基準の開発時に想定されておらず、基準の設定後に新たに生じた取引については、現行の研究開発費等会計基準に従ってどのように会計処理すべきかが必ずしも明らかではないと考えられると述べている。

特に、自社利用のソフトウェアと市場販売目的のソフトウェアというソフトウェアの分類や、収益獲得を目的とするソフトウェアを自社利用のソフトウェアとして分類した場合におけるソフトウェアの資産計上の開始時点の取扱いは現行のソフトウェア実務に合わない可能性があるとのことである。

2 クラウドサービスのベンダー側の会計処理

サービス提供のために利用するソフトウェアについて、研究開発費等会計基準における分類を確認したところ、自社利用のソフトウェアに分類(16社)、市場販売目的のソフトウェアに分類(1社)、資産計上していない(9社)という結果であった。

研究開発費等会計基準においてSaaSのベンダーがサービス提供のために利用するソフトウェアをいずれに分類すべきかについては必ずしも明らかではないが、アンケートでは、ソフトウェアそのものを販売しているわけではない点や、研究開発費等実務指針11項①の「通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合」との類似性を挙げて、自社利用のソフトウェアに分類しているとの回答が多く見られたとしている。

次のことが述べられている。

 SaaSでは、ソフトウェアの機能そのものを顧客に提供し、その対価として収益を獲得する点でソフトウェアを市場で販売する取引に類似する側面はあるものの、複写したソフトウェアを販売するものではなく、ソフトウェアが移転するものではない点を踏まえると、市場販売目的のソフトウェアに直接は該当しないと考えられる。

 一方、自社利用ソフトウェアについては、研究開発費等会計基準において、ソフトウェアを用いて外部へ業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合は想定されているものの、顧客に対してソフトウェアの機能そのものをサービスとして提供して収益を獲得するような取引は、必ずしも想定されていなかったものと考えられる。

また、次のような意見が聞かれたとのことである。

(a) SaaSのベンダーがサービス提供のために利用するソフトウェアについては、自社利用ソフトウェアに分類しているものの、実態としては当該ソフトウェアを利用させることにより対価を得ているため、市場販売目的のソフトウェアに類似した性質を持っている。
 ビジネスモデルにより会計処理が異なる結果となることが実態を表すものであるかについて疑問がある。

(b) ソフトウェア自体は移転しない販売方法でも、ライセンスを付与する方法で販売した場合には、市場販売目的として会計処理することになる。
 SaaSの契約によりインターネットを通じてソフトウェアにアクセスさせることによりサービスを提供する場合には、自社利用のソフトウェアとして会計処理することになるので、社内で整合性が取れない。

(c) 最近は、従来ライセンス販売していたものであっても、SaaSで提供するような依頼がある。市場販売目的であったものが自社利用に変更される場合が増えており、販売の方法に応じて会計処理が異なることは妥当ではないのではないか。

3 クラウドサービスのユーザー側の会計処理

クラウドサービスのユーザー側の会計処理について、現行の会計基準の体系の中では明確な規定は設けられていない。

クラウドサービスの中でも、特に、実務的に論点となることが多いと考えられる一般事業会社がSaaSを利用するケースを中心に、ユーザー側の会計処理(サービスの提供を受けることに対して継続的に支払う費用及びユーザーが支払う初期設定費用やカスタマイズ費用の会計処理など)について、次のように述べている。

 クラウドサービスのユーザー側の会計処理について、現行の会計基準の体系の中では明確な規定は設けられていない。

 リース取引会計基準及びリース取引適用指針の「リース取引」の定義にある「特定の物件」には、有形固定資産だけでなく、無形固定資産であるソフトウェアも含まれる。

 SaaSのユーザーにおいて、サービス利用料は、SaaSのユーザーが受けるサービス(ベンダーが保有するソフトウェアの利用など)に係る対価であって、ユーザーがソフトウェアを購入するための支出ではないことから、サービスの発生に応じて費用処理されることとなり、ソフトウェアが計上されたり、リース取引として処理されたりすることはないと考えられる。

 SaaSのユーザーにおいては、初期設定費用や自社向けのカスタマイズ費用を支払う場合、ユーザー側はソフトウェアに対する支配を有してないと考えられること、かつ、会計基準上の明示的な規定がないことから、これを自社のソフトウェアとして計上することは難しいと考えられる。
 したがって、この場合、契約当初に一時に支払った初期設定費用やカスタマイズ費用について、支払時に一時の費用として計上することが考えられる(ただし、資産性の要件については追加的な検討が必要と考えられる。前払費用の定義を満たすかなど)。

 SaaSに係る契約において利用しているサービスがソフトウェアの利用であるという実態から、自社利用のソフトウェアの会計処理と同様に無形固定資産に計上することができるかという点が問題となる。
 我が国においては、無形固定資産に係る包括的な会計基準がなく、当該資産が無形固定資産に計上できるものかどうかの判断基準がないことから、現行の会計基準の下では、無形固定資産に計上できるものと明確に判断することは難しいのではないかと思われる。

 リース取引について、使用する物件が「特定の物件」であるかどうかについて、SaaSにおいては、あるベンダーが不特定多数のユーザーに対してサービス提供しているものであることが通例である。
 これを前提とすると、ユーザーが一部カスタマイズしたとしても、SaaSに関しては借手、貸手の双方にとって「特定の物件」であると整理されるケースは少ないのではないかと考えられる。

4 デジタルゲームの制作費用の会計処理

ゲーム業界に適用される我が国の会計基準等については、研究開発費及びソフトウェアQ&Aでゲームソフトの制作に言及した記述はあるものの、ゲーム業界固有の事象について詳細に定めた取扱いはないとのことである。

デジタルゲーム開発業を主要な事業としている企業の事例を見ると、一般消費者向けのデジタルゲームの開発活動に係る会計処理にばらつきが見られる(無形固定資産として計上している企業と、流動資産として計上している企業とが混在)。

5 実務上の課題とそれを踏まえた提言

現状認識している具体的な実務上の課題とそれに係る提言として、次のことが記載されている。

 市場販売目的ソフトウェアと自社利用ソフトウェアの区分(ソフトウェアのライセンスの販売とクラウドを通じてソフトウェアを不特定多数の利用者に利用させるサービス提供は、サービスの提供方法が異なることにより、会計処理が大きく異なることとなり、実態が大きく異ならないサービス提供に係る制作費が異なる会計処理となるなど)

 ソフトウェアの区分に基づく会計処理の相違による問題点(クラウドを通じてサービス提供を行うソフトウェアとソフトウェアのライセンス販売の相違など)

 ソフトウェア制作費の資産計上要件(アジャイル型の開発手法に関連する製作費など)

 クラウドを通じてソフトウェアを利用するサービスを受ける場合の処理(クラウドサービス契約時に支払う導入初期費用の会計処理など)

 デジタルゲーム・ソフトウェアの制作費(デジタルゲームにおいては、プログラムと複合的に組み合わされるコンテンツ部分に重要性があるが、コンテンツに関する明示的な会計基準が存在しないなど)

(了)

《速報解説》

会計士協会、「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料」の公開草案を公表

~DX環境下におけるソフトウェア関連取引に係る会計処理等の課題を抽出し検討~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2022年2月24日、日本公認会計士協会は、「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案。会計制度委員会研究資料)を公表し、意見募集を行っている。

これは、ソフトウェアに関するビジネスの環境変化に伴い、多様な実務が生じていることを踏まえ、ソフトウェア及びその周辺の取引に関する会計上の取扱いについて研究したものである。

国際財務報告基準(IFRS)及び米国基準との比較が詳細に行われており、また、ソフトウェアに関連する会計処理などが詳細に検討されているため、実務の参考になるものと思われる。

意見募集期間は2022年4月24日までである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

ソフトウェアに関するビジネスの環境変化が生じている中で、研究開発費等会計基準や研究開発費等実務指針の設定時に想定されていないソフトウェア及びその周辺の取引に関して多様な実務が生じていることから、それらで示されていないものに関する実務上の課題を抽出し、検討している。

ただし、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)及びリース取引に関する事項については、検討対象としていない。

主に次の内容である。

Ⅰ.ソフトウェア等の会計処理

1.ソフトウェア等に関する会計処理の比較

2.クラウドサービスのベンダー側の会計処理

3.クラウドサービスのユーザー側の会計処理

4.デジタルゲームの制作費用の会計処理

Ⅱ.実務上の課題とそれを踏まえた提言

1.市場販売目的ソフトウェアと自社利用ソフトウェアの区分

2.ソフトウェアの区分に基づく会計処理の相違による問題点

3.ソフトウェア制作費の資産計上要件

4.クラウドを通じてソフトウェアを利用するサービスを受ける場合の処理

5.デジタルゲーム・ソフトウェアの制作費

Ⅲ.付録

1.クラウドサービスのユーザー側の会計処理に係るIFRSにおける取扱い

2.税務上の取扱い

1 現状の課題

実務の分析、ヒアリング及びアンケート調査を行い、研究開発費等会計基準の開発時に想定されておらず、基準の設定後に新たに生じた取引については、現行の研究開発費等会計基準に従ってどのように会計処理すべきかが必ずしも明らかではないと考えられると述べている。

特に、自社利用のソフトウェアと市場販売目的のソフトウェアというソフトウェアの分類や、収益獲得を目的とするソフトウェアを自社利用のソフトウェアとして分類した場合におけるソフトウェアの資産計上の開始時点の取扱いは現行のソフトウェア実務に合わない可能性があるとのことである。

2 クラウドサービスのベンダー側の会計処理

サービス提供のために利用するソフトウェアについて、研究開発費等会計基準における分類を確認したところ、自社利用のソフトウェアに分類(16社)、市場販売目的のソフトウェアに分類(1社)、資産計上していない(9社)という結果であった。

研究開発費等会計基準においてSaaSのベンダーがサービス提供のために利用するソフトウェアをいずれに分類すべきかについては必ずしも明らかではないが、アンケートでは、ソフトウェアそのものを販売しているわけではない点や、研究開発費等実務指針11項①の「通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合」との類似性を挙げて、自社利用のソフトウェアに分類しているとの回答が多く見られたとしている。

次のことが述べられている。

 SaaSでは、ソフトウェアの機能そのものを顧客に提供し、その対価として収益を獲得する点でソフトウェアを市場で販売する取引に類似する側面はあるものの、複写したソフトウェアを販売するものではなく、ソフトウェアが移転するものではない点を踏まえると、市場販売目的のソフトウェアに直接は該当しないと考えられる。

 一方、自社利用ソフトウェアについては、研究開発費等会計基準において、ソフトウェアを用いて外部へ業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合は想定されているものの、顧客に対してソフトウェアの機能そのものをサービスとして提供して収益を獲得するような取引は、必ずしも想定されていなかったものと考えられる。

また、次のような意見が聞かれたとのことである。

(a) SaaSのベンダーがサービス提供のために利用するソフトウェアについては、自社利用ソフトウェアに分類しているものの、実態としては当該ソフトウェアを利用させることにより対価を得ているため、市場販売目的のソフトウェアに類似した性質を持っている。
 ビジネスモデルにより会計処理が異なる結果となることが実態を表すものであるかについて疑問がある。

(b) ソフトウェア自体は移転しない販売方法でも、ライセンスを付与する方法で販売した場合には、市場販売目的として会計処理することになる。
 SaaSの契約によりインターネットを通じてソフトウェアにアクセスさせることによりサービスを提供する場合には、自社利用のソフトウェアとして会計処理することになるので、社内で整合性が取れない。

(c) 最近は、従来ライセンス販売していたものであっても、SaaSで提供するような依頼がある。市場販売目的であったものが自社利用に変更される場合が増えており、販売の方法に応じて会計処理が異なることは妥当ではないのではないか。

3 クラウドサービスのユーザー側の会計処理

クラウドサービスのユーザー側の会計処理について、現行の会計基準の体系の中では明確な規定は設けられていない。

クラウドサービスの中でも、特に、実務的に論点となることが多いと考えられる一般事業会社がSaaSを利用するケースを中心に、ユーザー側の会計処理(サービスの提供を受けることに対して継続的に支払う費用及びユーザーが支払う初期設定費用やカスタマイズ費用の会計処理など)について、次のように述べている。

 クラウドサービスのユーザー側の会計処理について、現行の会計基準の体系の中では明確な規定は設けられていない。

 リース取引会計基準及びリース取引適用指針の「リース取引」の定義にある「特定の物件」には、有形固定資産だけでなく、無形固定資産であるソフトウェアも含まれる。

 SaaSのユーザーにおいて、サービス利用料は、SaaSのユーザーが受けるサービス(ベンダーが保有するソフトウェアの利用など)に係る対価であって、ユーザーがソフトウェアを購入するための支出ではないことから、サービスの発生に応じて費用処理されることとなり、ソフトウェアが計上されたり、リース取引として処理されたりすることはないと考えられる。

 SaaSのユーザーにおいては、初期設定費用や自社向けのカスタマイズ費用を支払う場合、ユーザー側はソフトウェアに対する支配を有してないと考えられること、かつ、会計基準上の明示的な規定がないことから、これを自社のソフトウェアとして計上することは難しいと考えられる。
 したがって、この場合、契約当初に一時に支払った初期設定費用やカスタマイズ費用について、支払時に一時の費用として計上することが考えられる(ただし、資産性の要件については追加的な検討が必要と考えられる。前払費用の定義を満たすかなど)。

 SaaSに係る契約において利用しているサービスがソフトウェアの利用であるという実態から、自社利用のソフトウェアの会計処理と同様に無形固定資産に計上することができるかという点が問題となる。
 我が国においては、無形固定資産に係る包括的な会計基準がなく、当該資産が無形固定資産に計上できるものかどうかの判断基準がないことから、現行の会計基準の下では、無形固定資産に計上できるものと明確に判断することは難しいのではないかと思われる。

 リース取引について、使用する物件が「特定の物件」であるかどうかについて、SaaSにおいては、あるベンダーが不特定多数のユーザーに対してサービス提供しているものであることが通例である。
 これを前提とすると、ユーザーが一部カスタマイズしたとしても、SaaSに関しては借手、貸手の双方にとって「特定の物件」であると整理されるケースは少ないのではないかと考えられる。

4 デジタルゲームの制作費用の会計処理

ゲーム業界に適用される我が国の会計基準等については、研究開発費及びソフトウェアQ&Aでゲームソフトの制作に言及した記述はあるものの、ゲーム業界固有の事象について詳細に定めた取扱いはないとのことである。

デジタルゲーム開発業を主要な事業としている企業の事例を見ると、一般消費者向けのデジタルゲームの開発活動に係る会計処理にばらつきが見られる(無形固定資産として計上している企業と、流動資産として計上している企業とが混在)。

5 実務上の課題とそれを踏まえた提言

現状認識している具体的な実務上の課題とそれに係る提言として、次のことが記載されている。

 市場販売目的ソフトウェアと自社利用ソフトウェアの区分(ソフトウェアのライセンスの販売とクラウドを通じてソフトウェアを不特定多数の利用者に利用させるサービス提供は、サービスの提供方法が異なることにより、会計処理が大きく異なることとなり、実態が大きく異ならないサービス提供に係る制作費が異なる会計処理となるなど)

 ソフトウェアの区分に基づく会計処理の相違による問題点(クラウドを通じてサービス提供を行うソフトウェアとソフトウェアのライセンス販売の相違など)

 ソフトウェア制作費の資産計上要件(アジャイル型の開発手法に関連する製作費など)

 クラウドを通じてソフトウェアを利用するサービスを受ける場合の処理(クラウドサービス契約時に支払う導入初期費用の会計処理など)

 デジタルゲーム・ソフトウェアの制作費(デジタルゲームにおいては、プログラムと複合的に組み合わされるコンテンツ部分に重要性があるが、コンテンツに関する明示的な会計基準が存在しないなど)

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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