公開日: 2013/11/19
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《速報解説》 連結財務諸表規則等の改正に関する公開草案(企業結合関係)の解説

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

連結財務諸表規則等の改正に関する

公開草案(企業結合関係)の解説

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

平成25年11月18日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表した。

公開草案は、平成25年9月13日に改正された「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号)等を踏まえたものである。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令、関連するガイドラインなど広範囲な改正が予定されている。
意見募集期間は平成25年12月18日までである。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な改正内容

1 連結財務諸表規則関係

連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正(案)では、主な改正事項として次のものが予定されている。

〔2条12号、42条等〕
【改正前】
少数株主持分
【公開草案】
非支配株主持分

〔13条1項4号等〕
【改正前】
会計処理基準に関する事項
【公開草案】
会計方針に関する事項

〔15条の12第1項5号〕
【改正前】

【公開草案】
主要な取得関連費用の内容及び金額に関する注記

〔15条の12第4項〕
【改正前】

【公開草案】
前連結会計年度に行われた企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、当連結会計年度において取得原価の当初配分額に重要な見直しがなされた場合には、当該見直しの内容及び金額を注記しなければならない。

〔15条の14〕
【改正前】
「共通支配下の取引等の注記」に関して財務諸表等規則を準用

【公開草案】
当連結会計年度において共通支配下の取引等が行われた場合には、次に掲げる事項を注記しなければならない。

一 取引の概要

二 実施した会計処理の概要

三 子会社株式を追加取得した場合には、第15条の12第1項第3号、第4号及び第9号に掲げる事項

四 非支配株主(連結子会社の株主のうち連結会社以外の株主をいう。以下この号及び第88条第2項において同じ。)との取引に係る連結財務諸表提出会社の持分変動に関する事項(非支配株主との取引によって増加又は減少した資本剰余金の主な変動要因及び金額をいう。)

2 前項の規定にかかわらず、共通支配下の取引等に重要性が乏しい場合には、注記を省略することができる。ただし、当連結会計年度における個々の共通支配下の取引等に重要性は乏しいが、当連結会計年度における複数の共通支配下の取引等全体に重要性がある場合には、同項各号に掲げる事項を当該取引等全体について注記しなければならない。

〔65条等〕
【改正前】
少数株主損益調整前当期純利益金額又は少数株主損益調整前当期純損失金額
【公開草案】
当期純利益金額又は当期純損失金額

〔65条等〕
【改正前】
当期純利益金額又は当期純損失金額
【公開草案】
親会社株主に帰属する当期純利益金額又は親会社株主に帰属する当期純損失金額

〔連結キャッシュ・フロー計算書〕
【改正前】

【公開草案】
「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に、「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」と「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入」を新設

 

2 適用時期等

平成27年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表及び同日以後に開始する中間会計期間に係る中間財務諸表並びに同日以後に開始する事業年度に属する四半期累計期間及び四半期会計期間(以下「四半期累計期間等」という)に係る四半期財務諸表について適用する。

ただし、平成26年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表及び同日以後に開始する中間会計期間に係る中間財務諸表並びに同日以後に開始する事業年度に属する四半期累計期間等に係る四半期財務諸表について適用できる。

平成27年4月1日以後に開始する連結会計年度に係る連結財務諸表及び同日以後に開始する中間連結会計期間に係る中間連結財務諸表並びに同日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結累計期間及び四半期連結会計期間(以下「四半期連結累計期間等」という)に係る四半期連結財務諸表について適用する。

ただし、表示に係る事項(連結財務諸表規則2条、42条など)を除いては、平成26年4月1日以後に開始する連結会計年度に係る連結財務諸表及び同日以後に開始する中間連結会計期間に係る中間連結財務諸表並びに同日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結累計期間等に係る四半期連結財務諸表について適用できる。

(了)

《速報解説》

連結財務諸表規則等の改正に関する

公開草案(企業結合関係)の解説

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

平成25年11月18日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表した。

公開草案は、平成25年9月13日に改正された「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号)等を踏まえたものである。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令、関連するガイドラインなど広範囲な改正が予定されている。
意見募集期間は平成25年12月18日までである。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な改正内容

1 連結財務諸表規則関係

連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正(案)では、主な改正事項として次のものが予定されている。

〔2条12号、42条等〕
【改正前】
少数株主持分
【公開草案】
非支配株主持分

〔13条1項4号等〕
【改正前】
会計処理基準に関する事項
【公開草案】
会計方針に関する事項

〔15条の12第1項5号〕
【改正前】

【公開草案】
主要な取得関連費用の内容及び金額に関する注記

〔15条の12第4項〕
【改正前】

【公開草案】
前連結会計年度に行われた企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、当連結会計年度において取得原価の当初配分額に重要な見直しがなされた場合には、当該見直しの内容及び金額を注記しなければならない。

〔15条の14〕
【改正前】
「共通支配下の取引等の注記」に関して財務諸表等規則を準用

【公開草案】
当連結会計年度において共通支配下の取引等が行われた場合には、次に掲げる事項を注記しなければならない。

一 取引の概要

二 実施した会計処理の概要

三 子会社株式を追加取得した場合には、第15条の12第1項第3号、第4号及び第9号に掲げる事項

四 非支配株主(連結子会社の株主のうち連結会社以外の株主をいう。以下この号及び第88条第2項において同じ。)との取引に係る連結財務諸表提出会社の持分変動に関する事項(非支配株主との取引によって増加又は減少した資本剰余金の主な変動要因及び金額をいう。)

2 前項の規定にかかわらず、共通支配下の取引等に重要性が乏しい場合には、注記を省略することができる。ただし、当連結会計年度における個々の共通支配下の取引等に重要性は乏しいが、当連結会計年度における複数の共通支配下の取引等全体に重要性がある場合には、同項各号に掲げる事項を当該取引等全体について注記しなければならない。

〔65条等〕
【改正前】
少数株主損益調整前当期純利益金額又は少数株主損益調整前当期純損失金額
【公開草案】
当期純利益金額又は当期純損失金額

〔65条等〕
【改正前】
当期純利益金額又は当期純損失金額
【公開草案】
親会社株主に帰属する当期純利益金額又は親会社株主に帰属する当期純損失金額

〔連結キャッシュ・フロー計算書〕
【改正前】

【公開草案】
「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に、「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」と「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入」を新設

 

2 適用時期等

平成27年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表及び同日以後に開始する中間会計期間に係る中間財務諸表並びに同日以後に開始する事業年度に属する四半期累計期間及び四半期会計期間(以下「四半期累計期間等」という)に係る四半期財務諸表について適用する。

ただし、平成26年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表及び同日以後に開始する中間会計期間に係る中間財務諸表並びに同日以後に開始する事業年度に属する四半期累計期間等に係る四半期財務諸表について適用できる。

平成27年4月1日以後に開始する連結会計年度に係る連結財務諸表及び同日以後に開始する中間連結会計期間に係る中間連結財務諸表並びに同日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結累計期間及び四半期連結会計期間(以下「四半期連結累計期間等」という)に係る四半期連結財務諸表について適用する。

ただし、表示に係る事項(連結財務諸表規則2条、42条など)を除いては、平成26年4月1日以後に開始する連結会計年度に係る連結財務諸表及び同日以後に開始する中間連結会計期間に係る中間連結財務諸表並びに同日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結累計期間等に係る四半期連結財務諸表について適用できる。

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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