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《速報解説》会計士協会、「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」報告書を公表~会社法・金商法における一体的開示のメリット、監査上の論点・留意点を整理~

筆者:阿部 光成

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《速報解説》

会計士協会、「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」報告書を公表

~会社法・金商法における一体的開示のメリット、監査上の論点・留意点を整理~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

平成29年8月25日、日本公認会計士協会は「開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」」を公表した。

日本公認会計士協会は、「開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「開示・監査制度の在り方に関する提言-会社法と金融商品取引法における開示・監査制度の一元化に向けての考察-」」(平成27年11月4日)を公表しているが、その後の「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」(平成28年6月2日)、「未来投資戦略2017-Society5.0の実現に向けた改革-」(平成29年6月9日)などを受けて検討したものである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

本報告は、開示書類全体を検討対象としており、「一元化」とは、会社法と金融商品取引法の両方の制度目的を満たす一組の開示書類とすることを指向するものとしている(4ページ)。

一方、「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告-建設的な対話の促進に向けて-」などでいう「一体的開示」は、企業が任意にオプションとして選択できる方法という前提に立ち、まずは、会社法の事業報告等と金融商品取引法の有価証券報告書の記載内容の整理・共通化・合理化を図り、効果的、効率的な開示を目指すことである(4ページ)。

本報告では、「事業報告・計算書類(以下「事業報告等」という)と有価証券報告書の一体的開示」(以下「一体的開示」という)について、会社法と金融商品取引法の開示及び監査の一元化の実現に向けて着実に進んでいくための1つの施策となることを期待している(1ページ、4ページ)。

本報告の内容は次のとおりである。

Ⅰ はじめに

1.これまでの検討の経緯

(1)「開示・監査制度の在り方に関する提言」

(2) 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告

(3) 日本経済再生本部・未来投資会議における一体的開示の検討

2.本PT 報告の取りまとめに当たって

(1) 開示の一元化と一体的開示

(2) 本PT 報告の目的

Ⅱ 会社法と金融商品取引法における一体的開示

1.一体的開示の2つの局面

(1) 両法令に基づく開示書類の記載内容の共通化

(2) 両法令に基づく開示書類の開示のタイミング

(3) 解釈の明確化等の必要性について

2.一体的開示を進めるメリット及びそれぞれのシナリオの特徴の考察

Ⅲ 一体的開示における監査上の論点・留意点

〈論点〉

1.表示方法の変更

2.比較情報及び過年度遡及処理の取扱い

3.後発事象の取扱い

〈留意点〉

1.会社法上の計算書類と金融商品取引法上の財務諸表の範囲の相違

2.開示書類に含まれる財務諸表以外のその他の記載内容の監査人の関与

Ⅳ おわりに

【付録】開示制度の検討状況

 

Ⅲ 主な検討結果

事業報告等と有価証券報告書の一体的開示の取組により、会社法の事業報告等と金融商品取引法の有価証券報告書の記載内容が整理・共通化・合理化されれば、作成者及び監査人にとっては開示書類の作成及び監査の負担を軽減でき、株主・投資家にとっては詳細な開示書類を株主総会前に入手できる可能性が高まるなどの利点がある。

一体的開示の方法としては、次の2つの方法が考えられる。

 会社法と金融商品取引法のそれぞれの法令に基づく「二組の開示書類を段階的に開示する方法」

 会社法と金融商品取引法の両法令の開示要請を満たす「一組の開示書類を一時点で開示する方法」

の方法で、一組の開示書類として開示することになれば、作成者及び監査人にとっては、開示書類の作成及び監査の負担がより軽減され、株主・投資家にとっては、一度に必要な情報がまとめて入手でき、より利便性が高まるなどの利点がある。

(了)

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筆者紹介

  • 阿部 光成

    (あべ・みつまさ)

    公認会計士
    中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

    現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
    企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

    主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂版〕』(編著、商事法務)がある。

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