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従業員の解雇をめぐる企業対応Q&A 【第21回】「部門廃止に伴う解雇の有効性判断における経営上の理由と労働者の帰責事由の位置づけ」

従業員の解雇をめぐる企業対応Q&A 【第21回】 「部門廃止に伴う解雇の有効性判断における経営上の理由と労働者の帰責事由の位置づけ」   弁護士 柳田 忍   【Question】 当社は、業務効率化のため、収益が継続的に赤字となっているある部門(A部門)を廃止することにしました。A部門に所属する従業員に対しては別の配属先を紹介し、それが嫌なら一定額の特別退職金を支給して合意退職してもらうことになりました。 しかし、A部門のある従業員(B)については、いわゆるトラブルメーカーであり、配転先を見つけることができません。Bは合意退職に応じないのですが、当社の業績があまりよくないこととBの勤務態度が良好ではないことを併せて考慮して、解雇が有効となると考えられないでしょうか。 【Answer】 原則として、経営上の理由と労働者の帰責事由とを併せて解雇の有効性を判断することはできません。もっとも、労働者の帰責事由があるため配転を試みなかったことを主張し、これをもって、整理解雇の四要素のうち「解雇回避努力」を尽くしたことの説明要素の一つとする余地はあると考えられます。 ◆ ◇ ◆ 解 説 ◆ ◇ ◆ 1 はじめに 筆者は、部門やポジションを廃止するため、当該部門に所属する従業員や当該ポジションに就いている従業員を解雇したい、という相談を受けることが多い。部門やポジションの廃止を理由とした従業員の解雇は専ら会社側の理由による解雇であるから、整理解雇の四要素(①人員削減の必要性、②人選の相当性、③解雇回避努力、④手続の相当性)の観点から解雇の有効性が判断される(拙稿【第4回】参照)。これらの要素は総合考慮され、ある要素の充足が十分でない場合には、他の要素についてより高い程度の充足が求められる可能性がある。よって、会社の経営状態がさほど悪くない場合(①の人員削減の必要性が高くない場合)には、③の解雇回避努力等の他の要素について求められる水準がより高まることになり、会社においては、所属部員等を配転させるなどして解雇を回避する努力がより一層求められることになる。 筆者の経験上、部門やポジションの廃止を実施する会社の多くは、経営危機を回避するためというよりは、経営合理化を目的としてこれらを実施するものであり、経営状態は必ずしも深刻ではないことが多い。よって、そのような会社においては、廃止する部門やポジションに就いていた従業員に別の配転先を提示するなどして解雇回避努力を尽くさなければ、これらの従業員を解雇することは難しい、ということになる。この点、会社としては、廃止する部門やポジションに就いている従業員は余剰人員であり、部門・ポジションの廃止とともに退職してもらいたいと希望することが少なくない。しかし、これらの従業員が人員削減の対象となったのは、あくまで会社の経営方針によるものであり、彼ら自身に何らかの問題があるというわけではない、という場合が大半である。そのため、従業員の帰責事由による解雇として構成することも難しい場合が多く、対応に悩まされるところである。 そこで、本稿においては、このような場合の対応策について検討する。 2 経営上の理由と労働者の帰責事由を併せて考慮することの可否 (1) 裁判所の見解 例えば、労働者の帰責事由による勤務成績不良と経営上の理由が複合する場合の解雇の有効性の判断に際しては、労働者の帰責事由による勤務成績不良と経営上の理由とを区別したうえ、前者については、それ自体として解雇を是とするほど勤務成績不良といえるかを検討し、後者については整理解雇の四要素について充足しているかを検討し、どちらか一方を肯定できる場合でなければ、解雇を有効とすべきではないと考えられている(※)。よって、解雇を是とするほどの勤務成績不良が認められないが、企業の経営状況を併せて考えると解雇は有効である、といった判断は認められないということになる。 (※) 佐々木宗啓他編著「類型別 労働関係訴訟の実務[改訂版]II」399頁 (2) 参考裁判例 しかし、以下の裁判例は、整理解雇の「解雇回避努力」の要素との関係で、従業員の勤務態度等の問題により他部署への配転が難しい場合で、会社の経営状況が厳しいときは、これらを併せて考慮し、他部署への配転を試みなくても解雇回避努力を怠ったとはいえないとしている。すなわち、当該裁判例は、経営上の理由と従業員の勤務態度等の問題を、少なくとも解雇回避努力の評価場面においては併せて考慮し得ることを示したものと評価し得る。   3 まとめ 上記参考裁判例においては、会社の経営状況が厳しかったことが前提とされていることから、会社の経営状況が悪くない場合にも、解雇回避努力について、会社の経営上の理由と従業員の帰責事由とを併せて考慮することができるかは定かではない。 また、上記参考裁判例においては、従業員の帰責事由が比較的大きかったため、そもそも普通解雇が認められる場合であった可能性もある。 もっとも、経営上の理由と労働者の帰責事由とを併せて考慮することはできないという原則を前提としつつも、少なくとも解雇回避努力の有無という一局面においては、経営上の理由と労働者の帰責事由とを併せて考慮して解雇の有効性判断のハードルを下げるロジックを展開できる可能性があるという点で、上記裁判例には一定の示唆があるように思われる。 (了)
#668(掲載号)
#柳田 忍
2026/05/14
労務・法務・経営 法務

〈Q&A〉税理士のための成年後見実務 【第30回】「「見守り契約」について」

〈Q&A〉 税理士のための成年後見実務 【第30回】 「「見守り契約」について」   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   【Q】 任意後見契約を顧客と締結することになりましたが、本人の体調に不安があるため任意後見契約が発効するまで定期的に生活の様子を見に行くことになりました。 高齢者の孤独死が増えているというニュースも最近目にしましたので、しっかりとフォローをする必要性を感じていますが、仕事として受ける以上なんらかの契約を締結しておきたいと思います。 どのような方法があるでしょうか。 【A】 任意後見契約は実際に本人の判断能力が衰えた場合に、任意後見監督人の選任審判を受けることで発効します。 任意後見契約の効力が生じれば契約の定めるところに従ってサポートをしていくことになりますが、任意後見契約の締結から効力発生までの期間については「見守り契約」等でサポートすることが可能です。 ● ● ● ● 解 説 ● ● ● ● 1 任意後見契約の効力発生までのサポート 任意後見契約は契約締結のみでは発効せず、実際に本人の判断能力が衰えてから任意後見監督人の選任審判を受けることで発効します。任意後見契約の発効後は契約の定めに従ったサポートを行うことになりますが、任意後見契約締結から実際に契約が発効するまでの期間のサポートをどうするかは意外と抜けがちなポイントかもしれません。 任意後見契約を依頼した本人としては、体調や将来的な生活に不安があるからこそサポートを依頼しているのであり、契約の効力発生までの期間も何らかの支援をして欲しいと考えるのが通常であると思われます。また受任者としても、本人の判断能力が衰えたことを適時に把握してスムーズに任意後見契約を発効させるには、定期的に本人と面会して生活状況を理解しておく必要があります。 任意後見契約締結から効力発生までの期間について、本人の生活状況を把握するために任意後見契約とセットで「見守り契約」を締結することがあります。 【見守り契約のイメージ】   2 見守り契約の内容 見守り契約の内容は法定されておらず当事者で自由に決めることができます。本人からどのようなサポートをして欲しいかをヒアリングして契約書にまとめていくことになりますが、よくある項目としては次のものがあります。 ① 本人との連絡方法、連絡の頻度 ② 面会の場所と頻度 ③ 本人の生活相談に応じること ④ 本人の生活状況等を把握して、必要に応じて任意後見監督人の選任審判を申立てること ⑤ 緊急時において入院手続き等のサポートをすること ⑥ 受任者が緊急時連絡先となること 緊急時に本人の身内に連絡すること ⑦ 報酬 ⑧ 見守り契約の終了事由 本人との連絡の頻度については月1回程度、面会については2、3か月に1回と定めている例が多い印象です。頻繁に連絡や面会を重ねた方が本人の生活状況も理解しやすいといえますが、契約書に定める連絡等の頻度としては現実的に対応できる範囲にしておかないと、遵守が困難になり契約違反となってしまうこともあるため注意が必要です。 本人が身寄りのない方の場合、急病になった場合の入院等のサポートや緊急連絡先となることなどが求められることもあります。 報酬については月額数千円から数万円程度としておき、何か実働が必要になった場合には別途報酬が発生するように定めていることがあるようです。 見守り契約の終了事由としては、任意後見契約が発効したこと、本人や受任者が死亡したこと、任意後見契約や見守り契約が解除されたことなどがあります。   3 契約締結の方法 見守り契約は公正証書によって締結する必要はありませんが、継続的な契約となることから公正証書によることが望ましいと考えられます。任意後見契約の締結と同時に見守り契約も締結するとスムーズであるといえるでしょう。 (了)
#668(掲載号)
#北詰 健太郎
2026/05/14
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〈小説〉『国税審査官エイトの勤務日誌』~ある国税不服審判所の記録~【第4話】「お天気の葛本審査官②」

〈小説〉 国税審査官エイトの勤務日誌 ~ある国税不服審判所の記録~ 第4話 お天気の葛本審査官② 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   職員の食堂は、合同庁舎の14階にある。永途は、黒田と一緒にやってきた。まだ、正午前なので、人は少ない。あじのフライとサラダ、冷や奴、味噌汁とご飯で、500円である。 永途は、味噌汁をこぼさないように、お盆を持ち、座席を探していると、窓際で、葛本審査官が一人で食べている。 「・・・葛本さん・・・ここで食べても良いですか?」 永途が声をかける。 黙々とカレーライスを食べていた葛本は、驚いたように顔を上げる。 永途の後ろに立っている黒田に気がつき、大きく頷く。 「良い天気だね」 黒田は笑いながら、葛本に言う。 葛本は、大きく頷く。 「・・・今回の人事異動で、審判所の第二部に来た・・・新人の永途君だ」 黒田は、永途の横に座りながら、紹介する。 葛本は、永途をちらっと見て、頷く。 「・・・ところで、近ごろ、事件が増えたので審理部がとても忙しいと聞いているが・・・どうだい?」 黒田は、年下の葛本に尋ねる。 「・・・そうですね・・・一般事件が増加したため・・・審理に要する時間が増えました・・・何故か、法人税の事案が多くあります・・・」 葛本はカレーライスを食べながら言う。 「・・・法人の事案って・・・どんな内容のものが多いのですか?」 横から、永途が尋ねる。 「・・・そうですねえ・・・いろいろとあるのですが・・・」 葛本は、口の中のカレーを咀嚼しながら、考える。 「・・・例えば・・・交際費とか・・・貸倒損失の計上時期を争うものや法人税法22条2項の収益に係る事案など・・・それと・・・法人税法132条か・・・」 「今度、田中審判官から貰った初めての事案が交際費なんですよ」 永途は、嬉しそうに葛本に告げる。 「・・・ほう、そうですか」 葛本は、冷たい水を飲みながら答える。 「・・・事件の資料については、まだ、詳しく読んでいないんですけど、交際費になるのか、役員の賞与に該当するのか・・・それが争点なんですけれど・・・」 永途は葛本の顔を窺う。 「・・・よくあるケースですね・・・もともと、中小企業の交際費については、定額控除限度額として800万円がある・・・この非課税枠って、いわゆる中小企業の社長の小遣いとして認められたものだという人もいる・・・そうすると、800万円は社長の小遣いなんだから、なんに使おうと問題がないじゃないのかと考えることもできる・・・」 葛本は、笑いながら、カレーを口に運ぶ。 「・・・措置法に規定している交際費課税は、改正が繰り返されていることから、法人税の理論を前提として、まじめに考えすぎると、辻褄が合わなくなるかも知れない・・・」 永途は、最近の交際費の改正を、以下思い浮かべる。 結局、現在の法人規模別交際費等の取扱いは、次のようになっている。 飲食費 1 万円以下 飲食費 50% 飲食費 以外 資本金の額等 100 億円超 損金算入 損金不算入 損金不算入 資本金の額等 1 ~ 100 億円以下 損金算入 損金算入 損金不算入 中小法人・資本金の 額等 1 億円以下 損金算入 800 万円又は飲食費 50%の選択 「・・・ところで、所得税の交際費は、必要経費として認められているのに対して、法人税は、例外はあるものの、原則、課税されているのは、何故なんですか?」 永途が葛本に質問をする。 葛本のカレー皿は、空になっている。 葛本は、口に爪楊枝を入れながら、歯の掃除をしている。 「・・・もともと事業に必要なものであれば、当然、必要経費になるだろう・・・しかし、事業に関係のない支出であれば、個人であっても、家事関連費として、所得計算上、必要経費は否認される・・・所得税法45条では『家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの』は、必要経費にならないと規定している」 葛本は、すらすらと条文の一部を読み上げる。 「・・・法人税の場合、政策的に、交際費は原則課税で、また、所得税のような区分規定はありませんから、課税実務では、よほどのことがなければ、納税者がその支出を自ら交際費として処理していれば、税務署は、文句をあまり言わないのでしょうか?」 そう言うと、永途は、お盆の上のあじのフライを食べ始めた。 (つづく)
#668(掲載号)
#八ッ尾 順一
2026/05/14
読み物 連載

PJ Bookmark-May 2026- 「計算書類の「最終チェック」、今年はどこを見ますか?」

B PJ Bookmark ── May 2026 ── ◇ 計算書類の「最終チェック」、 今年はどこを見ますか? 3月決算法人では、計算書類が確定し、6月の定時株主総会に向けた準備が本格化する時期です。計算書類の作成自体は毎年の業務ですが、だからこそ「前期のデータが残っていた」「表示方法の変更に合わせた組替えを忘れていた」といった、慣れた作業の中で生じるミスが後を絶ちません。 今回は「計算書類と株主総会」」を切り口に、関連する記事を5本ご紹介します。   〇計算書類の確定から株主総会まで、何を確認しておくか   計算書類の確定から株主総会までの実務では、次のような検討事項があるかと思います。 まず、計算書類のチェック方法です。同じ方法で二度確認する「ダブルチェック」だけでなく、異なる書類の数値を突合する「クロスチェック」を組み合わせることで、ミスの発見率を高められます → 1本目。あわせて、表示方法を変更した場合に比較情報の組替えを忘れるという、実際に訂正に至った事例も確認しておきたいところです → 2本目。 会計 計算書類作成に関する"うっかりミス"の事例と防止策 【第36回】「『ダブルチェック』ではなく、『クロスチェック』を実践せよ」 執筆:石王丸周夫 公認会計士 貸借対照表の自己株式残高が株主資本等変動計算書の残高と一致していない・・・本記事では、実際に定時株主総会の招集通知で起きたこの訂正事例をもとに、「クロスチェック」の有効性を解説しています。ダブルチェック(同じ方法で二度確認する)ではなく、異なる書類の一致すべき数値を突合するクロスチェックであれば、作成者一人でも十分に効果があるという指摘は、限られた人員で計算書類を仕上げる場面で実践しやすい考え方です。 この記事を読む 会計 決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第17回】「表示方法変更時における過年度数値の組替え忘れ」 執筆:石王丸周夫 公認会計士 当連結会計年度の数値には問題がなく、訂正されたのは比較情報である前連結会計年度の数値だけだった・・・本記事で取り上げられている訂正事例はそのようなケースです。営業外費用の内訳で「支払手数料」を当期から「その他」に含める表示方法の変更を行ったにもかかわらず、前期の比較情報を組み替えずにそのまま掲載してしまったことが訂正の原因でした。本記事では、なぜこの組替えが必要なのかを、利用者に伝わる情報の違いという観点から丁寧に説明したうえで、連結財務諸表規則の関連条文も確認しています。チェックのポイントとして「数値欄に『-』がある科目に注意する」という具体的な方法が示されており、開示前の自己点検に活用できます。 この記事を読む 次に、中小企業の計算書類です。上場企業の開示実務とは異なり、中小企業の個別注記表にはどのような項目をどう記載すべきか、具体的なサンプルがあると作成・確認の助けになります → 3本目。 会計 〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《個別注記表》編 【第2回】「個別注記表の記載例」 執筆:前原啓二 公認会計士・税理士 上の2本の記事が上場企業の開示実務を扱っているのに対し、この記事は中小企業の計算書類に焦点を当てています。中小企業に多い株式譲渡制限規定を定款に設けている会社を想定し、個別注記表の記載サンプルを一通り示した内容です。重要な会計方針から、貸借対照表に関する注記、株主資本等変動計算書に関する注記まで、具体的な文例が掲載されています。毎年作成するものではあるものの、記載項目の漏れがないかを確認する際のチェックリストとしても活用できる記事です。 この記事を読む 株主総会の準備については、有価証券報告書の総会前開示の動向や議決権行使助言基準の変更など、毎年のアップデートを押さえておく必要があります → 4本目。 経営 2026年株主総会における実務対応のポイント 執筆:斎藤誠(三井住友信託銀行 ガバナンスコンサルティング部 プリンシパル) 今年特に注目されるのは、有価証券報告書の総会前開示に関する動向です。昨年は3月決算会社の57.7%が総会前開示を実施し、本年はさらに増加が見込まれるとのことで、2026年2月施行の開示府令改正による記載負担の変化にも触れられています。また、個人株主数が約1,600万名に達したことを踏まえた議決権行使促進策、ISS・グラスルイスの助言基準の変更(社外役員の在任期間12年基準の導入等)、法制審議会での会社法改正の議論状況など、総会準備にあたって押さえておきたい情報がコンパクトにまとまっています。 この記事を読む さらに、計算書類と株主総会は税務申告とも密接に関わっています。株主総会の承認を得ていない決算書類に基づく確定申告は有効なのか・・・頻繁に生じる問題ではありませんが、「確定した決算」の意味を改めて考えさせられる論点です → 5本目。 税務 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例61】「株主総会の承認を得ていない決算書類に基づく確定申告の有効性」 執筆:安部和彦 拓殖大学商学部教授・税理士 株主総会(社員総会)の承認を得ていない決算書類に基づく法人税の確定申告は有効なのか・・・本記事では、この論点が争われた裁判例を詳しく検討しています。裁判所は、中小企業の実態として総会の承認を経ずに申告がなされているケースが多いことを踏まえ、総勘定元帳に基づく決算書類があれば承認を経ていなくても申告は有効と判断しました。一方で、当初申告で評価損を計上していなかった以上、後から決算書類を修正して損金経理要件を満たすことはできないとしています。「確定した決算」とは何かという、確定決算主義の根幹に関わる論点を扱った記事であり、計算書類の確定と税務申告の関係を改めて考えさせられる内容です。 この記事を読む Afterword 今回は「計算書類と株主総会」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。プロフェッションジャーナルには計算書類に関する記事がこのほかにもたくさん掲載されています。税効果会計の適用、会計上の見積りの注記、キャッシュ・フロー計算書の作成など、掘り下げた記事がありますので、気になるテーマがあればぜひ探してみてください。 Profession Journal (了)
#668(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2026/05/14
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 税務・会計 財務会計 速報解説一覧 開示関係

《速報解説》 経産省、「事業報告等と有価証券報告書の一体開示・一体的開示FAQ(制度編)」を更新~会社法・金融商品取引法等の改正、総会前の有報提出企業の増加傾向等を受け改訂~

《速報解説》 経産省、「事業報告等と有価証券報告書の一体開示・一体的開示FAQ(制度編)」を更新 ~会社法・金融商品取引法等の改正、総会前の有報提出企業の増加傾向等を受け改訂~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2026年5月12日、経済産業省は、「事業報告等と有価証券報告書の一体開示・一体的開示FAQ(制度編)」を更新した。 これは、2021年1月18日に公表したものを更新するものであり、会社法・金融商品取引法等の改正、株主総会前に有価証券報告書を提出する企業の増加傾向などを受けたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 主な項目は次のとおりである。 以下では主なものについて解説する。 1 一体的開示と一体開示 「一体的開示」とは、 会社法に基づく事業報告及び計算書類と金融商品取引法に基づく有価証券報告書という2つの開示書類を、 開示書類間の重複や微妙な違いを共通化することをいう。 「一体開示」とは、会社法に基づく事業報告等と金商法に基づく有価証券報告書を一体の書類として、同時に開示を行う方法であり、事業報告等と有価証券報告書が一つの書類として一体化することであり、一体的開示の最終形である。 また、有価証券報告書と事業報告等の 「一本化」とは、有価証券報告書を開示した上場会社は事業報告等を作成する義務を負わないとすることを指す。 「一本化」には、会社法改正等の関係法令の改正が必要となる。 「一体開示」は、事業報告等及び有価証券報告書の双方に記載しなければならない情報を内容とする1つの書類を作成及び開示するものであり、会社が事業報告等の作成義務自体を負わないものとするものではなく、この点で開示書類の「一本化」とは区別される。 現時点で「一体開示」を実際に行っている上場企業はないとのことである(2026年3月期以降に一体開示の適用を検討中の企業があるとのこと)。 2 現行法制下での一体開示 制度上は、会社法と金商法の両方の要請を満たす書類(「一体書類」という)を作成して、事業報告等として株主へ提供するとともに、株主総会に報告し、また、有価証券報告書として提出する一体開示を行うことができる。 この場合、開示書類には金商法及び会社法に基づいて作成されている旨が記載される必要があり、「有価証券報告書兼事業報告書」という書類名にすることなどが考えられる。 3 一体開示の課題 事業報告等と有価証券報告書を一体の書類として作成する一体開示を行う場合、現状の開示書類(法定開示・任意開示)作成のスケジュールや業務分担の見直しが必要になり移行コストが追加的に発生すること、スケジュール見直しの結果、特定の期間に作業が集中し、株主総会招集通知発送前の作業負荷が増大する懸念があることなどがあげられている。 一方、一体開示のメリットとして、開示書類作成の効率化、合理化により、非財務情報の充実等のより質の高い開示に人材と時間を活用することが可能となることなどがあげられている。 (了)
#阿部 光成
2026/05/13
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《速報解説》 関東財務局、「関東財務局管内の上場企業における人的資本及び政策保有株式の開示と関連する取組について」を公表~参考となる企業にインタビューを行い、4事例をとりまとめる~

《速報解説》 関東財務局、「関東財務局管内の上場企業における人的資本及び政策保有株式の開示と関連する取組について」を公表 ~参考となる企業にインタビューを行い、4事例をとりまとめる~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2026年(令和8年)5月8日、関東財務局は、「関東財務局管内の上場企業における人的資本及び政策保有株式の開示と関連する取組」を公表した。 これは、令和7年度の有価証券報告書レビューのテーマとされた人的資本及び政策保有株式の開示と関連する取組について、他社においても参考になると考えられる企業にインタビューを行ってまとめたものである。 なお、本資料は、金融庁の有価証券報告書レビューの施策の一環ではないとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 人的資本の開示 武蔵野銀行、ソシオネクストの開示及びインタビューの結果について紹介している。 開示における参考になる主なポイントとして、例えば、次のことが記載されている。   Ⅲ 政策保有株式の開示 ホッカンホールディングス、古河機械金属の開示及びインタビューの結果について紹介している。 開示における参考になる主なポイントとして、例えば、次のことが記載されている。 (了)
#阿部 光成
2026/05/13
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《速報解説》 会計士協会、サステナビリティ及び外部の専門家の作業の利用等に関する「倫理規則」と「倫理規則に関するQ&A」の改正を公表~サステナビリティ保証業務における倫理に関する規則を新設~

《速報解説》 会計士協会、サステナビリティ及び外部の専門家の作業の利用等に関する「倫理規則」と「倫理規則に関するQ&A」の改正を公表 ~サステナビリティ保証業務における倫理に関する規則を新設~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2026年4月30日(ホームページ掲載日)、日本公認会計士協会は、サステナビリティ及び外部の専門家の作業の利用等に関する「倫理規則」の改正(定期総会に付議する予定の改正案の公表)及び「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」の改正について公表した。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も公表されている。 これにより、意見募集されていた次の公開草案が確定することになる。 ただし、「倫理規則」については、改正に当たって、日本公認会計士協会の定期総会での承認が必要となることから、今般公表するものは定期総会に付議する予定の「倫理規則」改正案であり、2026年7月22日開催の定期総会の承認後に確定となる予定である。また、「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」の改正については、「倫理規則」の改正が定期総会で承認されることを前提としている。 これらは、サステナビリティ情報の開示と保証の制度化の議論が進められていることなどを踏まえ、改正するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「倫理規則」の改正(定期総会に付議する予定の改正案)   Ⅲ 倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正 次の項目に関する改正を行う。   Ⅳ 適用日等 倫理規則の改正規定は、2027年4月1日から施行する。 各規定によって詳細な適用日が設けられている。 (了)
#阿部 光成
2026/05/07
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《速報解説》 国税庁が「源泉徴収票のみなし提出の特例」に係る特設ページとQ&Aを公表~令和9年1月から給与所得の源泉徴収票は税務署への提出不要に~

《速報解説》 国税庁が「源泉徴収票のみなし提出の特例」に係る特設ページとQ&Aを公表 ~令和9年1月から給与所得の源泉徴収票は税務署への提出不要に~   Profession Journal編集部   このほど国税庁HPにおいて「源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ」が設置され、あわせて「源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A」(以下、単に「Q&A」という)が公表された。 特設ページでは、「源泉徴収票のみなし提出の特例」に係る情報が集約されており、その中のQ&Aにおいては、制度概要等に係る16の問いが設けられている。   1 現行実務と「源泉徴収票のみなし提出の特例」 これまで、給与支払者又は公的年金等の支払者は、受給者の市区町村に給与支払報告書又は公的年金等支払報告書(以下、併せて「支払報告書」という)を提出するほか、給与所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票(以下、併せて「源泉徴収票」という)を所轄税務署にも提出する必要があった。 この支払者の事務負担軽減のため、令和5年度税制改正において、「源泉徴収票のみなし提出の特例」が創設された。 この特例により令和9年1月1日以後、給与支払者又は公的年金等の支払者は、源泉徴収票に記載すべき一定の事項が記載された支払報告書を市区町村に提出した場合、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされる。つまり、税務署提出用の源泉徴収票の作成と提出が必要なくなる。   2 Q&Aの主な内容 今回のQ&Aにおいて公表された16の設問のうち、実務的に留意したい点を以下いくつか紹介する。 (1) 中途退職者に係る給与所得の源泉徴収票の取扱い(問2) 令和8年の途中で退職した従業員に係る給与所得の源泉徴収票が、源泉徴収票のみなし提出の特例の対象となる「令和9年1月1日以後に提出すべきもの」に含まれるか否かについては、「含まれる」としている。 法令上、年の途中で退職した従業員に係る給与所得の源泉徴収票は退職の日以後1月以内に税務署に提出することが義務付けられている。ただし、運用上の取扱いにより、翌年1月末までにそのほかの給与所得の源泉徴収票とまとめて提出してもよいとされている。 このことより、令和8年の途中で退職した従業員に係る給与所得の源泉徴収票についても令和9年1月1日以後に提出する場合には、「令和9年1月1日以後に提出すべき」ものとして取り扱って問題ない。 (2) 受給者への源泉徴収票交付の必要性(問3) 今回の特例制度に伴い、税務署への源泉徴収票の提出は不要となるが、改正前と同様に受給者本人への源泉徴収票の交付は必要であるため、留意したい。 (3) 源泉徴収票を税務署に提出した場合の市区町村への支払報告書の提出(問6) 今回の特例制度は、市区町村へ源泉徴収票に記載すべき一定の事項が記載された支払報告書を提出することで、源泉徴収票を税務署へ提出することが不要となる制度であり、源泉徴収票を税務署に提出した場合、市区町村へ支払報告書を提出したとみなす制度ではないため、支払報告書については別途市区町村へ提出する必要がある。 (4) 源泉徴収票の提出範囲の変更(問7) 今回の特例制度の創設に伴い、源泉徴収票と支払報告書の提出範囲を揃える(年の途中で死亡した者の公的年金等の源泉徴収票を除く。)改正も行われたため、具体的な提出範囲は以下のとおりとなっている(下表についてはQ&Aより抜粋)。 〈給与所得の源泉徴収票〉 〈給与支払報告書〉 〈公的年金等の源泉徴収票〉 〈公的年金等の支払報告書の提出範囲〉 *  *  * なお、上記以外にも令和7年分の源泉徴収票の提出を失念していた場合の取扱い(問10)や、すでに提出済みの令和7年分の源泉徴収票に誤りがあった場合の訂正方法(問11)、令和8年分の支払報告書を提出したが、その支払報告書に誤りがあった場合の訂正方法(問12)などについても言及されている。 特例制度の開始に伴い、前述したとおり、中途退職者に係る給与所得の源泉徴収票の取扱いや受給者への源泉徴収票交付は変わらずに必要になるなど細かな注意点もある。 また、令和8年分の年末調整後に令和9年1月に提出する書類に影響があり、企業によっては業務フローに変更があることも想定されるため、税理士としてはクライアント先に早めの周知を行うとともに、今後の特設ページの情報の更新についても留意したい。 (了)
#Profession Journal 編集部
2026/04/30
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《速報解説》 金融庁、「有価証券報告書レビュー及び大量保有報告書等のレビューについて(令和8年度)」を公表~重点テーマ審査は人的資本開示~

《速報解説》 金融庁、「有価証券報告書レビュー及び大量保有報告書等のレビューについて(令和8年度)」を公表 ~重点テーマ審査は人的資本開示~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2026(令和8)年4月28日、金融庁は、ホームページを更新し、「有価証券報告書レビュー及び大量保有報告書等のレビューについて(令和8年度)」を公表した。 これは、2026年3月27日に公表した「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項等(識別された課題への対応にあたって参考となる開示例集を含む)について」を更新するものである。 2026年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たっては、これらに記載されている事項に特に注意し、適切に作成する必要があると考えられる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 有価証券報告書レビューの実施について 2026年3月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書のレビューについて、以下の内容で実施する。 1 法令改正等関係審査 次の法令改正事項等について、有価証券報告書の記載項目を対象に審査を実施する。 有価証券報告書提出会社は、別添の「調査票」に回答することが求められているので、有価証券報告書の作成に際して注意が必要である。 2 重点テーマ審査 次のテーマに着目し、2026年3月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書の提出会社の中から審査対象会社を選定し、法令及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準等に照らして、有価証券報告書の記載内容(会計処理を含む)を審査する。 審査の結果、有価証券報告書に適切ではないと考えられる記載内容等が見つかった場合には訂正又は次年度の有価証券報告書での改善を求める通知等を行う。 ◎ 人的資本に関する開示 令和8年2月に施行された人的資本開示に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」の適用に伴い、有価証券報告書において開示される「従業員の状況等」に関する記載内容について提出会社による自主的な改善に資するよう審査する。 有価証券報告書において開示される「サステナビリティに関する考え方及び取組」における人的資本に関する記載内容についても、同様に審査する。 財務局等からの質問票には、次の観点も反映していると述べられており、本3月期の有価証券報告書の作成に際しても、下記の観点を十分に考慮し、開示の要否を判断すべきものと解される。   Ⅲ 大量保有報告書等のレビューについて 令和6年金融商品取引法等改正における大量保有報告制度の改正が令和8年5月1日から施行されることを踏まえ、令和8年度においては、大量保有報告書及び変更報告書を対象に、当該改正に係る記載を重点的に審査する。 2026年4月24日に「大量保有報告書等の提出について」が公表されており、参考になる。 (了)
#阿部 光成
2026/04/30
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プロフェッションジャーナル No.667が公開されました!~今週のお薦め記事~

2026年4月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.667を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2026/04/30
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