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登録免許税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第39回】「受益者連続型信託における登録免許税及び不動産取得税」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第39回】 「受益者連続型信託における登録免許税及び不動産取得税」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) シニアマネジャー 公認会計士・税理士 岩丸 涼一   相談内容 私Aは個人事業主として不動産賃貸事業をしていますが、80歳を迎え最近は物忘れが多くなりました。また、私の二男Cは障害があり(配偶者・子供なし)、将来、経済的に安定した生活を過ごせるか不安を感じています。賃貸事業は会社Xを経営している長男Bに承継してほしいと考えています。 こうしたなか、認知症対策として最近「家族信託」というものがあり、受益者連続型信託とすることで二男の将来の生活不安も解消できる可能性があることを知りました。 そこで、私Aが所有する賃貸不動産を信託し、私が委託者兼第1受益者となり、第2受益者を二男C、第3受益者を長男Bとし、最終的には長男Bの子供(私Aの孫D)を帰属権利者とする受益者連続型信託を組成したいと思っています。受託者は長男Bの経営する会社Xに依頼しようと考えています。 しかし、不動産の時価がとても高く、受益者連続型信託の場合の信託終了時の流通税(登録免許税及び不動産取得税)の適用がわからず困っています。 〈信託のスキーム〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ [1] 流通税を考慮すべき場面   [2] 信託開始時・受益権相続時の流通税 信託開始時は、固定資産税評価額に対して登録免許税が0.4%(※1)生じ、不動産取得税は非課税です。受益権相続時は不動産1件当たり1,000円の登録免許税が必要となります。 (※1) 建物について令和5年3月31日までは0.3%。   [3] 信託終了時の登録免許税の取扱い 信託が終了して不動産を受託者から帰属権利者に移す場合であって、下記の要件を満たす場合、相続による財産権の移転と同様に登録免許税が減免(2%→0.4%)されます(登録免許税法第7条②)。   [4] 登録免許税に関する文書回答事例 国税庁ホームページの文書回答事例(※2)では、信託の終了に伴い帰属権利者が受ける所有権の移転登記時の登録免許税の適用について、上述[3]の要件①(信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが元本受益者である信託)の継続状況をどのように考えるかが問われています。 (※2) 国税庁文書回答事例「信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」(平成30年12月18日 名古屋国税局) 背景としては、信託法では、信託が終了した場合においても、その清算が結了するまで信託はなお存続するものと擬制され(信託法176条)、帰属権利者は、当該清算中は受益者とみなされる旨(信託法183条⑥)が規定されているためです。 文書回答事例では、「本件信託に係る委託者の地位は、帰属権利者(受益者)として指定されている者が取得し、委託者の権利については、相続により承継されることなく消滅します」とし、上述[3]の要件①の委託者兼受益者の状況が信託期間中、常に継続するように信託契約を作成することにより、上述[3]の要件①が満たされることが示されています。 受益者連続型信託についても、信託契約で「委託者の地位」を「受益者」が常に引き継いでいくことにより、上述[3]の要件①を満たすと考えます。   [5] 信託終了時の不動産取得税の取扱い 受託者から受益者(帰属権利者)に信託財産を移す場合における不動産の取得について下記の要件を満たす時は、相続による財産権の移転と同様に不動産取得税は非課税(4%→0%)とされています(地方税法第73条の7四ロ)。   [6] 不動産取得税に関する実務担当官の見解 上述「[5] 信託終了時の不動産取得税の取扱い」について、「月刊税(2011年8月号)ぎょうせい」のP75~79において、東京都主税局資産税部担当官が、信託受益権の相続が複数回生じた事例について、相続の場合は所有権取得による課税関係は非課税であるので、信託財産の引継ぎにおいても相続による所有権移転の規定との均衡を重視した解釈をするべきである見解を私見として記載しています。 すなわち、信託受益権の相続が複数回生じた場合で上述[5]の要件②(受益者(帰属権利者)が信託の効力が生じた時における委託者から相続(包括遺贈等含む)をした者)に該当しない場合、文理解釈上は非課税規定の適用はないことになりますが、立法趣旨を鑑みた行政担当官の見解はこの場合も非課税とすべきとしています。   [7] 結論 信託終了時に残余財産の給付として、受託者XからDに不動産が移転する場合を前提とすると、上述の[3]の要件①及び[5]の要件①は、いずれの流通税でも委託者兼受益者の状況が常に継続するような信託契約を作成することで満たすことができます。 しかし、上述の[3]の要件②及び[5]の要件②について、登録免許税は信託終了時に所有権を取得する帰属権利者であるDが信託の効力発生時の委託者であるAの相続人でないため満たしません。また、不動産取得税についても信託の効力が生じた時における委託者Aから相続するのは相続人のBとCですのでDは満たしません。 したがって、文理解釈上は登録免許税及び不動産取得税について、相続同様の減免・非課税措置は適用されないものと考えます。 一方で、不動産取得税の実務担当官の見解によると、AからCへ受益権の相続、CからB(Cの唯一の相続人)へ受益権の相続、そして信託終了によるBからDへの経済的利益の移転(信託終了による受託者からの残余財産給付)について非課税適用することは、相続による不動産の所有権移転を非課税としていることとの均衡を図るという趣旨に合致することとなりますので非課税となります。 しかしながら、これは都道府県での統一見解ではなく、実務を行う担当官による取扱いの違いも想定できるところ、当該見解のみによることはリスクがあると考えます。 以上より、不動産取得税の実務担当官の見解(不動産取得税の非課税措置の立法趣旨)を踏まえたうえで、最終的には条文の文理解釈を採用するべきと考えます。 今後、受益者連続型の信託における流通税の取扱いが整備される可能性はありますが、信託終了時の課税関係については、帰属権利者Dにも情報共有しておくべきでしょう。 具体的な対策については、税理士等の専門家と相談の上、実行されることをお勧めします。   (了)
#460(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2022/03/10
国税通則 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第11回】「原処分庁からの答弁書には何が書かれているか」

〔顧問先を税務トラブルから救う〕 不服申立ての実務 【第11回】 「原処分庁からの答弁書には何が書かれているか」   公認会計士・税理士 大橋 誠一   1 答弁書要求 審査請求書が提出されて、形式審査の結果、それが適法のものである(却下事件ではない)と確認した場合、各地域国税不服審判所長(首席審判官)は、原処分庁に対して答弁書の提出を要求する。 期限については、再調査の請求を経ない(直接審査請求)事件である場合には4週間以上の期間を、再調査の請求を経ている事件である場合には、既に再調査決定書の起案段階で原処分庁としての内容整理を事実上終えていると考えられることから、それよりも短い期間をそれぞれ指定することが多い。 しかし、審査請求人による審査請求書と比較して、原処分庁による答弁書は、起案者から各段階の担当官の審査、最終的には原処分庁本人である税務署長に対する報告及び決裁を経る必要があることから、年末年始・ゴールデンウィークその他の決裁ラインの者が揃わない時期については、弾力的に期限を伸長することもあり得る。   2 答弁書の様式 (1) 答弁書のひな形 ある法人税(地方法人税)の審査請求事件の答弁書の様式は以下のとおりである。 (2) ページ数 審査請求人の主張がおおよそ課税要件から離脱しているような苦情事案でない限り、本文のみで10ページ以上に及ぶことが通常であり、事実関係が複雑な事案や国際事案などは100ページ以上に及ぶこともある(裁決書も同様である)。 (3) 作成過程 原処分庁である税務署長所属の不服申立担当者が各課税第1部門に配属されており、答弁書案はその者によって起案されるのが通常である。 次に、国税局課税部審理課の税目別の不服申立担当の主査(税務署統括官級)及びその部下である実査官のレビューを受けて、場合によっては証拠評価の再検討がなされる(起案者である税務署の不服申立担当者の能力や経験によっては主査・実査官が肩代わりして起案することもある)。 審理課のレビューを終えた答弁書案は、担当副署長を経て署長に説明して決裁を得た上で正本と副本が作成され、各地域国税不服審判所に送付される。 正本は各地域国税不服審判所(担当審判官)が保管し、副本が「反論書」の提出依頼と併せて審査請求人に送付される。   3 答弁書の吟味 (1) 記載された「事実」の認否 上記のひな形の2(1)に記載されている事実が審査請求人にとって真実であるか否かを慎重に吟味する必要がある。 仮に、記載された事実が真実ではない場合には、その旨及び審査請求人が真実と考える事実を反論書に記載した上で、それを裏付ける証拠書類を「証拠説明書」とともに担当審判官に提出することになる。 (2) 閲覧謄写請求の検討 答弁書に事実として記載された事項が、必ずしも審査請求人から提出された証拠に基づくものでなく、原処分庁による職権調査によって収集されたものであることも考えられる。 その場合、担当審判官に対して、原処分庁が任意に提出した証拠及び担当審判官が職権で収集した証拠について、閲覧及び写しの交付を請求することを検討すべきであろう。 なお、閲覧を請求するといっても、どのような証拠を担当審判官が保管しているかわからないことが通常であり、あらかじめ、担当審判官から以下の各リストの提供を受けて、これを基に閲覧を求める証拠の特定を行うことになる。 (3) 審査請求の理由に対する答弁であるか 国税通則法第93条第2項は、「前項の答弁書には、審査請求の趣旨及び理由に対応して、原処分庁の主張を記載しなければならない」旨規定されている。 これは、答弁書の記載が原処分通知書の「処分の理由」の引き写しにすぎないケースや、審査請求書における審査請求人の主張内容を無視して独りよがりの結論を導いているケースがなくはないことから、審査請求人と原処分庁との主張の対比を明確にして、担当審判官による争点整理に資するために存在する規定であると考えられる。 したがって、上記のようなケースが認められる場合には、反論書を通じて、原処分庁側の追加対応を求めることが想定される。   4 反論書起案上の留意点 前述のとおり、答弁書は相応のボリュームがあり、原処分通知書と比較してより争訟の色彩を帯びた様式となっている。 これを争訟の経験の薄い審査請求人又は代理人が表面的に見ると、いかにも隙のない内容の書面との印象を受けるようである。 しかし、答弁書の起案者である税務署の不服申立担当者や国税局の審理課職員は、 といった本音を隠して、さも、 という姿勢が表面上だけでも滲み出るように工夫して起案しているケースもあると仄聞する。 答弁書のボリュームが多いといっても、それを丁寧に読み下した上で分析を加え、 といった事項が識別されれば、それらを中心に積極的に反論を加えていくことになるだろう。 (了)
#460(掲載号)
#大橋 誠一
2022/03/10
所得税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第73回】「都市計画法による土地の買取と長期譲渡所得の特別控除事件」~最判平成22年4月13日(民集64巻3号791頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第73回】 「都市計画法による土地の買取と長期譲渡所得の特別控除事件」 ~最判平成22年4月13日(民集64巻3号791頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)
#460(掲載号)
#菊田 雅裕
2022/03/10
会計 税務・会計 解説 解説一覧 財務会計

2022年3月期決算における会計処理の留意事項 【第1回】

2022年3月期決算における会計処理の留意事項 【第1回】   史彩監査法人 公認会計士 西田 友洋     Ⅰ 税制改正等   1 2022年3月期における税率 2022年3月期に適用される税率は、2021年3月期と変更はない。また、令和4年度税制改正大綱においても、変更は予定されていない。そのため、法定実効税率は、前期と同様である。 なお、各地方公共団体で超過税率が改正された場合、法定実効税率が変わる可能性があるため、超過税率については、地方自治体のホームページ等で確認する必要がある。 【設例①】 東京都で外形標準課税適用法人の場合 【設例②】 東京都で外形標準課税「不」適用法人の場合   2 欠損金の繰戻し還付 青色欠損金の繰戻し還付制度とは、欠損金額を前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して、法人税の還付を請求できる制度(前期に支払った法人税額を還付してもらう制度)である。還付を請求するか、欠損金を繰り越すかは、各法人の任意選択である。 従来は、資本金又は出資金の額が1億円以下の中小企業者だけに認められていた。現在は、2020年4月の緊急経済対策により、「2020年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金」については、資本金又は出資金の額が1億円超10億円以下の法人についても認められている。 ただし、大規模法人(資本金又は出資金の額が10億円超の法人等)による完全支配関係がある法人、100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式等の全部を直接又は間接に所有されている法人は除かれる。資本金が10億円以下、10億円超の判定については各事業年度終了の時点で行う。 会計処理への影響 欠損金の繰戻し還付は、国税のみの制度のため、欠損金の繰戻し還付を請求した場合、法人税と地方法人税については、還付が行われるが、法人事業税や法人住民税の地方税は欠損金の繰戻し還付の制度がないため、還付は行われない。 そのため、欠損金の繰戻し還付の適用を受けた場合、法人税部分の欠損金の残高は減少するが、法人住民税及び法人事業税部分の欠損金は、使用していないため、残高は減少しない。 (※1)  法人住民税率/(1+ 事業税率(超過税率)+ 事業税率(標準税率)× 特別法人事業税率) (※2) (事業税率(超過税率)+ 事業税率(標準税率)× 特別法人事業税率)/(1 + 事業税率(超過税率)+ 事業税率(標準税率)× 特別法人事業税率) *  *  *   3 繰越欠損金の控除上限の特例 令和3年度税制改正において、一定の要件を満たした場合、繰越欠損金の控除上限を引き上げる特例が創設された。 【投資額と控除上限のイメージ】 (出所:経済産業省「「繰越欠損金の控除上限」の特例ガイドライン」P.2) (出所:経済産業省「「繰越欠損金の控除上限」の特例ガイドライン」P.7) 会計処理への影響 上記制度を利用した場合、繰越欠損金の解消時期が変わるため、繰延税金資産の回収可能性に影響する可能性がある。 *  *  * 4 令和4年度税制改正大綱 令和4年度税制改正大綱(以下、「税制改正大綱」という)のうち、主要な改正案として、以下が挙げられる。 ① グループ通算制度の見直し 税制改正大綱において、グループ通算制度について、以下の見直しが予定されている。適用時期は、税制改正大綱上、明記されていない。 (ⅰ) 投資簿価修正制度の見直し グループ通算制度からの離脱時において、のれん相当額が損金(譲渡原価)に含まれるように改正が予定されている。 (※) 資産調整勘定等対応金額とは、通算子法人の通算開始・加入前に通算グループ内の法人が時価取得した子法人株式の取得価額のうち、その取得価額を合併対価としてその取得時にその通算子法人を被合併法人とする非適格合併を行うものとした場合に資産調整勘定又は負債調整勘定として計算される金額に相当する金額をいう。 (ⅱ) 離脱時の時価評価制度の見直し グループ通算制度からの離脱時の時価評価制度について、以下のとおり、改正が予定されている。 (ⅲ) 通算税効果額の範囲の見直し 通算税効果額の範囲について、以下のとおり、改正が予定されている。 (ⅳ) 支配関係5年継続要件の見直し 現行上、開始・加入時の欠損金等の制限を検討する際の「支配関係5年継続要件を満たす場合」とは、以下のいずれかに該当する場合をいう。このうち、(b)について、改正が予定されている。 (ⅴ) 認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例 事業競争力強化法の認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例を受ける場合の非特定超過控除対象額の配賦方法について、以下の改正が予定されている。 会計処理への影響 税効果会計に影響する可能性がある。 *  *  * ② 外形標準課税対象法人の事業税の所得割軽減税率の見直し 外形標準課税対象法人の事業税の所得割軽減税率について、以下のとおり、改正が予定されている。適用時期は、2022年4月1日以後に開始する事業年度からである。 ③ 完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収の見直し 完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収について、以下のとおり、改正が予定されている。適用時期は、2023年10月11日以後に支払を受けるべき配当等からである。 ④ みなし配当の計算の見直し みなし配当の計算について、以下の改正が予定されている。過去に遡って適用されるため、法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求を行うことができる。 ⑤ 貸付け用少額資産の損金算入制度の見直し 少額資産の損金算入制度について、「貸付け用の資産(主要な事業(リース業等)として行われるものを除く)」を除くように改正が予定されている。少額資産の損金算入制度を利用できない場合は、通常の減価償却計算を行う。税制改正大綱では、適用時期は明記されていない。 ⑥ インボイス制度の見直し 2023年10月1日以後、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を柔軟に行えるように、期の途中でも登録手続が行えるように改正が予定されている。 【期の途中での登録】 ⑦ 電子帳簿保存制度の経過措置 令和3年度税制改正について、申告所得税・法人税に係る保存義務者は、2022年1月1日以後に行われた電子取引(請求書・領収書等の授受を電子データで行う取引)の取引情報(請求書・領収書等)を、電子データのまま保存しなければならないとされた。 しかし、対応に間に合わない事業者が多いため、2022年1月1日から2023年12月31日までの間に行われた電子取引は、保存要件にしたがって保存できなかったことについてやむを得ない事情がある場合には、引き続きその出力書面(紙)による保存が可能である。   Ⅱ 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い   2020年3月31日にASBJより実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(以下、「グループ税効果」という)」が公表された。 グループ通算制度の適用を前提として繰延税金資産の回収可能性の会計処理についてまとめたものである。   1 会計処理 改正法人税等の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期含む)についてグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計における繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃が行われるまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づいて会計処理することができる(グループ税効果3)。   2 注記 繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、追加情報として、改正前の税法の規定に基づいている旨を注記する(グループ税効果4)。また、計算書類においても重要性に応じて記載するかどうかを検討する必要がある。 【事例】 東北電力(株) 2021年3月期 有価証券報告書 3 適用時期 公表日以後適用する。   Ⅲ グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い   2021年8月12日にASBJより、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い(以下、「グループ実務報告」という)」が公表された。   1 会計処理及び開示 詳細は、下記の拙稿を参照されたい。   2 適用時期 適用時期は、以下のとおりである(グループ実務報告31、65、66)。 なお、上記Ⅱで解説した実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」については、本実務対応報告の適用により、当該実務対応報告を適用する企業が存在しなくなった段階で廃止される(グループ実務報告34)。 (了)
#460(掲載号)
#西田 友洋
2022/03/10
会計 税務・会計 解説 解説一覧

〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2022年2月】

〔まとめて確認〕 会計情報の月次速報解説 【2022年2月】   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2022年2月1日から2月28日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。   Ⅱ 新会計基準関係 日本公認会計士協会から「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案。会計制度委員会研究資料)が公表され、意見募集が行われている。 これは、DX環境下におけるソフトウェア関連取引に係る会計処理等の課題を抽出し検討したものであり、ソフトウェアに関連する会計処理などが詳細に検討されている。   Ⅲ 記述情報の開示関係 金融庁から、「記述情報の開示の好事例集2021」の更新が公表されている。 これは、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等・事業等のリスク・MD&Aの開示に関する好事例を追加するものである。   Ⅳ 監査法人等の監査関係 監査法人及び公認会計士の実施する監査に関連して、次のものが公表されている。 ① 「EDINETで提出する監査報告書へのXBRLタグ付けについて(お知らせ)」(内容:「その他の記載内容」に関するXBRLタグ付けの追加」など) ② 「IT委員会研究報告第27号「監査人のためのIT教育カリキュラム」の改正」(内容:IT環境において監査を実施する公認会計士の育成を図る上で参考となるIT教育カリキュラムの例などを記載) ③ 「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の理事者確認書に関するQ&A」(非営利法人委員会研究報告第22号)などの改正(内容:監査基準委員会報告書580「経営者確認書」の改正に対応)   Ⅴ 知財・無形資産関係 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」から、「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver1.0~知財・無形資産の投資・活用戦略で決まる企業の将来価値・競争力~(投資家や金融機関等との建設的な対話を目指して)」が公表されている。 2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂を受けたものであり、知財・無形資産の投資・活用などについて述べている。 (了)
#460(掲載号)
#阿部 光成
2022/03/10
労働基準関係 労務 労務・法務・経営

ハラスメント発覚から紛争解決までの企業対応 【第24回】「取引先からのパワハラに関する会社の責任」

ハラスメント発覚から紛争解決までの 企 業 対 応 【第24回】 「取引先からのパワハラに関する会社の責任」   弁護士 柳田 忍   【Question】 当社の従業員Aが取引先の部長Bからパワハラを受けているという申告がありましたが、社内のパワハラと同様に、いわゆる「パワハラ防止法」や「パワハラ指針」に沿って調査等を行う必要があるでしょうか。 【Answer】 取引先からのパワハラは、「パワハラ防止法」や「パワハラ指針」における措置義務の対象とされていませんので、「パワハラ防止法」や「パワハラ指針」に沿った調査等を行わなくても措置義務違反にはなりません。 しかし、会社が適切な調査や是正措置、再発防止措置の実施等を怠った場合には、会社は従業員Aに対して民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。 ● ● ● 解 説 ● ● ●   1 取引先からのハラスメントと会社の措置義務 会社は、セクハラやパワハラ等のハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務等を負っている(※1)。では、会社は、取引先の従業員等から自社の従業員等へのハラスメントに関しても当該措置義務を負うのであろうか。 (※1) パワハラについては、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)第30条の2、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年1月15日厚生労働省告示第5号・パワハラ指針)参照(なお、中小企業については令和4年3月31日までは努力義務)。セクハラについては、男女雇用機会均等法第11条及び「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号・セクハラ指針)参照。 (1) セクハラについて まず、セクハラについては、「セクハラ指針」が以下のように定めるとおり、取引先からのセクハラについても措置義務の対象となる(下線は筆者による)。 また、男女雇用機会均等法第11条第3項は、事業主に対して、他の事業主から当該事業主の講ずるセクハラ防止措置の実施に関して必要な協力を求められた場合には、これに応ずるよう努めなければならないと定めている。かかる規定により、取引先と取引先からセクハラを受けた企業とが協力して取引先によるセクハラの事案解明や是正措置・再発防止措置の策定を行うことが期待される。 (2) パワハラについて 一方、取引先からのパワハラは、パワハラの措置義務の対象とはされておらず、「パワハラ指針」において、あくまで、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主からのパワハラによって、その雇用する労働者が就業環境を害されることのないよう、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するなどの取り組みを行うことが「望ましい」とされているに留まる(パワハラ指針「7.事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容」参照)。 その理由として、「検討会報告書」(※2)の「5.顧客や取引先からの著しい迷惑行為」は、顧客や取引先からの悪質な著しい迷惑行為への対応は、職場のパワーハラスメントへの対応と次の点で異なることなどを挙げている。 (※2) 厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」による「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」(平成30年3月) 一般に、パワハラについては、セクハラとは異なり、業務上の適正な指導との境界線が明確ではないことなどから、どのような行為がパワハラに該当するかの判断が難しいと言われているが、取引先からのハラスメントについて、パワハラとセクハラとで扱いが異なるのも同様の理由であると思われる。   2 取引先からのハラスメントと会社の法的責任 以上のとおり、会社は、取引先からのパワハラ防止のための措置等を講じなくてもパワハラ防止法・パワハラ指針上の措置義務違反の責任を負わないが、民事上の損害賠償責任を負う可能性がある点について注意が必要である。 会社は、労働者の生命・身体等の安全に配慮する義務(安全配慮義務・労働契約法第5条)及び職場の環境に配慮する義務(職場環境配慮義務・労働契約法第3条第4項)を負い、これらに違反した場合、労働者に対して損害賠償責任を負担する。措置義務はあくまで国家に対する義務であり、パワハラについてこれを課されていないからといって、安全配慮義務や職場環境配慮義務が免除されるわけではない。 したがって、会社は、取引先からのパワハラについても調査の実施や是正措置の実施、再発防止策の策定等を行う必要がある。上記検討会報告書が「③ 顧客の要求に応じないことや、顧客に対して対応を要求することが事業の妨げになる場合がある」と指摘するとおり、会社にとって重要な取引先からのパワハラについては、当該取引先に対して対応をとりにくく、是正措置・再発防止策の策定や実施が難しいという側面もあろうが、取引先との接触はただでさえ従業員に精神的負担を課すものである。 よって、取引先に対応を求めることが難しい場合であっても、最低限、会社は、当該従業員の業務負担等を減らし、当該従業員の精神的負担を軽減するよう努めるべきである。 (了)
#460(掲載号)
#柳田 忍
2022/03/10
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 速報解説一覧

《速報解説》 金融庁、「KAMの特徴的な事例と記載のポイント」を公表~今後の更なる実務の定着と浸透を図るための議論をまとめる~

《速報解説》 金融庁、「KAMの特徴的な事例と記載のポイント」を公表 ~今後の更なる実務の定着と浸透を図るための議論をまとめる~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2022年3月4日、金融庁は、「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」を公表した。 これは、KAMの今後の更なる実務の定着と浸透を図るため、「KAMに関する勉強会」の議論をまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 全体で49ページに及ぶものであり、多くの事例が紹介されている。 以下では、主な内容について述べる。 1 KAMの意義 勉強会では、例えば、次のような意見があった。 2 KAMの記載内容 勉強会では、例えば、次のような意見があった。 3 特徴的な事例 次のような事例が紹介されている。 4 検討が必要と考えられる事例 次のような指摘が記載されている。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#459(掲載号)
#阿部 光成
2022/03/08
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プロフェッションジャーナル No.459が公開されました!~今週のお薦め記事~

2022年3月3日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.459を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2022/03/03
税務 税務・会計 解説 解説一覧

monthly TAX views -No.110-「始まるか、独立財政機関の議論」

monthly TAX views -No.110- 「始まるか、独立財政機関の議論」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   今年盛り上がるのではないかと考えられる議論の1つは、財政独立機関の設置だ。政府から独立性を保ち、中立的・専門的な観点から客観的なデータに基づいて経済や財政状況を評価・分析し、場合によっては政府に対して助言を行う公的機関で、欧米を中心にOECD加盟38ヶ国中26ヶ国が設立している。 米国には、長い歴史を持つ米議会予算局(CBO)があり、財政支出の政策効果を大きく見せがちな政府に対して、専門的見地から客観的な見積もりに徹しようとする米議会予算局はより現実的な見通しを公表し、政府の政策の議会での審議に役立てている。 英国では2010年にリーマンショック後の財政赤字を監視する機関として予算責任局(OBR)が設立された。政府から独立した立場で、経済や財政の見通しを公表し、政府の予算策定の土台を提供している。税収や社会保障費の見積もりも担当し、最近では、政府のコロナ対策の財源見積もりの甘さを指摘、予算の見直しにつながった。 このように政府から独立した財政独立機関の設置は、政府の財政政策ににらみを利かせ、財政健全化に役立つという大きな意義がある。 *  *  * さてわが国では、1月14日に新たな「中長期の経済財政に関する試算」が公表された。試算によると、名目3%、実質2%の成長実現ケースでは、国・地方の基礎的財政収支(PB)が2026年度には0.2兆円の黒字になる。1年前の試算では2029年度までPB黒字にならないとされていたが、今回は大幅に改善した姿となった。 その理由は、法人税などの税収が大幅に伸びるという見積もりにある。この税収見積もりは、基本的に経済見通しに基づいており、足元ではほとんどゼロに近い全要素生産性の伸びを1.3%増と見込むなど、基礎となる経済の見通しはきわめて楽観的で、多くの経済学者からその信ぴょう性が問われている。 甘い見通しでその場はしのげても、財政健全化という目的は、年次が近づくにつれて先延ばしにされ、結局達成できない。現に、財政健全化目標であるPB黒字化は小泉内閣時代には「2010年代半ば」とされたが、その後の歴代の内閣によって、2025年まで先送りされてきたのである。 *  *  * IMFはわが国に対して、政府の予算編成過程を監視し、税金の無駄遣いをチェックする独立財政機関の設置が有効だと提言してきた。そして本年1月27日の対日審査訪問終了の声明に、「既存のベースラインシナリオと高成長シナリオに下振れシナリオを追加すれば、ベースラインを中心に据えて政策を議論することに役立つだろう。独立財政機関によって行われた予測は、枠組みの信頼性を高めうる。」と書き込んだ。 これに対し鈴木財務相は、「経済財政諮問会議で外部有識者参画のもとで議論している」とし、新組織の設置に否定的な考えを示した。「新しい組織を設置するより、今ある組織を有効に活用する」とし、「重要なのは手段ではなく、経済財政運営の専門的、中立的視点で検討を重ねることだ」と述べた。 米国発のインフレやロシア・ウクライナ情勢が世界経済に不気味な動きを見せ始め、経済の不確実性は高まっている。わが国でも政権に忖度した甘い推計を行うのではない独立財政機関の設立に向けた議論を急ぐ必要がある。昨年には、設立に向けて超党派の議員連盟が発足し、経済同友会や関西経済連盟など経済界も設立に向けて提言を行っている。 甘い経済見通しで安心する姿は、自らの人間ドックの検査結果を医者に頼んで甘くしてもらうようなもので、いつかその仕返しを受けることになるだろう。 (了)
#459(掲載号)
#森信 茂樹
2022/03/03

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