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2026年10月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.690を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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日本の企業税制 【第156回】「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金法案の国会提出」
日本の企業税制 【第156回】 「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金法案の国会提出」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 魚住 康博 政府は2026年10月9日、「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」を閣議決定し、同日、同法案を第222回国会に提出した。 同法案は、近年の物価上昇によって国民生活が大きな影響を受ける中で、家計負担の軽減と就業意欲の向上を図ることを目的としている。特に食料品価格の上昇が家計を圧迫している状況を踏まえ、飲食料品に係る消費税率を2年間引き下げる措置と、働く人が負担する税金や社会保険料の軽減を支援する新たな給付制度として「就業者負担軽減支援金」を創設する。2027年度から両施策を当面の「つなぎ」として先行実施し、2029年度には消費税率を元に戻すとともに、支援金制度を本格導入する。 本法案は、飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ、就業者負担軽減支援金の支給、支援金制度の本格導入に向けた検討等の三つの柱で構成されている。 〇第一の柱 第一の柱である飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げについては、2027年4月1日から2029年3月31日まで、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品について、地方消費税を含む税率を1%とする。国の消費税率は0.78%となり、地方消費税分と合わせて1%になる仕組みである。 この措置については所得制限を設けず、飲食料品を購入する幅広い消費者に負担軽減が及ぶ。飲食料品は所得水準にかかわらず購入が必要な生活必需品であり、食料価格上昇の影響は低所得世帯ほど大きい。 2年間の終了後は税率を8%に戻すこととなり、恒久的な税率変更ではない。地方消費税の減収については、地方特例交付金により補塡する。なお、対象となる範囲は現行の軽減税率対象品目と同じであり、飲食料品の範囲そのものは変更されない。一方で、軽減税率の対象となっている新聞の定期購読料については今回の引下げ対象から除外される。 また、税率変更に伴う事業者の対応にも配慮する。消費税率の大幅な変更は事業者の会計処理やレジシステムに大きな影響を与えるため、円滑な移行のための特例措置が設けられる。例えば、簡易課税制度から本則課税への移行を容易にするための届出期限の特例や、いわゆる「2年縛り」を解除する措置が含まれている。また、飲食料品販売に関しては、簡易課税制度において実質的に税負担が発生しないようにする特例も導入される。店舗における価格表示への対応として総額表示義務の特例も設けられる。事業者が短期間で価格表示を全面的に変更することは困難であるため、税率変更前後の一定期間については柔軟な表示方法が認められる。加えて、中間申告制度の特例や予約販売・通信販売に関する経過措置も整備される。税率の変更は、販売価格だけでなく、仕入税額控除や申告・納付にも影響するため、こうした措置によって実務上の移行を円滑にする考えである。 〇第二の柱 第二の柱である「就業者負担軽減支援金」については、税や社会保険料の負担がある中低所得の就業者に着目し、所得に応じた給付によって手取りを増やすとともに、働き控えの緩和を図る。全国民への一律給付とは異なり、勤労所得、所得全体、税・社会保険料の負担、扶養する子どもの人数などを踏まえて支援額が異なる制度である。政府は、当該支援金制度の創設を本格的な給付付き税額控除の導入に向けた第一歩と位置付けている。 対象者には、基本的に四つの要件を設ける。第一に、勤労所得が政令で定める額を超えること。第二に、合計所得金額が政令で定める上限以下であること。第三に、税・社会保険料負担額から公的年金等収入額を控除した額が、政令で定める額を超えること。第四に、配偶者がいる場合、その配偶者の合計所得金額が政令で定める上限以下であることである。ただし、2027年度と2028年度の先行実施では、配偶者の所得に関する要件を適用しない。 ここでいう勤労所得は、給与収入に応じて算定した額に、一定額を超える事業所得と業務に係る雑所得を加えたものである。このため、給与所得者だけでなく、要件を満たす個人事業主やフリーランスも対象になり得る。一方、公的年金等の収入も考慮するため、働いていることだけをもって受給が決まるわけではない。各所得基準の具体額は法案自体には示されておらず、税制・社会保険制度の状況や就業促進の効果などを考慮して政令で定めることとなる。 支援額も一律ではなく、前年の所得額と扶養児童の有無・人数などに応じて決定する。扶養児童は原則として19歳未満の国内居住の扶養親族とするが、2027年度と2028年度は16歳未満の扶養親族を対象とする。また、当分の間、社会保険料控除額も支援額の算定に加味する。これは、社会保険への加入に伴う保険料負担で手取りが減る、いわゆる「年収の壁」に配慮した就業促進特例加算に関係する措置である。子どもを扶養する負担と就業に伴う負担を、給付に反映する考え方が採用されている。 先行実施期間の支援金は、飲食料品に係る消費税1%相当の収入見込額を超えないようにすることを考慮して設計する。ただし、2028年度分については、2029年度の本格導入への移行に備える加算分を、この枠の対象から除く。したがって、支援金は各人が実際に支払った食料品の消費税を精算して払い戻す仕組みではなく、所得や扶養状況などによって別途算定される給付である。 支給は実際の支援金額が決定してから2月以内に当該年度分がまとめて支払われる。税率引下げが終了する2029年4月にも支給し、その後の通常の給付へつなげる。法案では、2028年度分に、本格的な制度導入による2029年度分の支援額の2分の1相当額を基本とする額を加算する。また、2029年度分も、年間支援額の2分の1相当額を基本として定める。消費税率が8%に戻る時期と給付の時期が大きく離れないよう、移行時の支援を組み込んでいる。 支給事務は市区町村が担い、公金受取口座を登録している人については、市区町村長が職権で支給認定することを可能とする。本人からの請求を待たずに認定できる仕組みにより、受給者と自治体双方の手続負担を軽減する狙いがある。国は、支給事務を効率化する情報システムの整備や、制度の広報、相談窓口の整備などを進める。所得などに応じた給付を実施するには、必要な情報を正確に把握し、自治体が円滑に算定・支給できる体制が不可欠である。 費用面では、支援金の支給に要する費用の3分の2以上を国が負担し、残りを都道府県と市区町村がそれぞれ半分ずつ負担する。普通交付税の交付を受けないと見込まれる市区町村には、当分の間、特別交付金を交付し、2027年度と2028年度は全市区町村を交付対象とする。 〇第三の柱 同法案は、制度導入後の検討事項も掲げる。金融所得等の勘案、税額控除と給付を組み合わせる仕組み、国と地方の役割分担、支援金の対象とならない人への措置に加え、第3号被保険者制度の見直しや被用者保険の適用拡大、医療・介護などの社会保障制度、雇用制度、人的控除を含む所得税改革を検討する。内閣府には、支援金を担当する「租税・社会保険料負担に関する総合調整本部」を設置する。財源は、特例公債に頼ることなく、歳出・歳入全般の見直しにより確保する。また、国・地方 の役割分担を踏まえつつ、地方財政に支障が生じないよう措置する。 今後は国会審議に加え、政令で定める所得基準や支給額、財源確保の具体化が、制度の効果と家計への影響を判断するうえで焦点となる。同法案の意義は、単なる消費税減税にとどまらず、税制と社会保障制度を一体的に見直しながら、将来の給付付き税額控除制度へ接続する点にある。 (了)
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[音声記事]令和9年食料品減税、ここが困りそう─税理士が語る消費税実務 【第2回】「費用は誰が被るのか」
音声記事令和9年食料品減税、ここが困りそう──税理士が語る消費税実務【第2回】費用は誰が被るのか 収録時点の情報について 本記事は、2026年9月15日に公表された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」の内容を前提に収録しています(収録日:2026年9月26日)。その後の法案審議等により、制度の内容が変わる場合があります。 出席者(※発言者順) 出席三木 孝夫税理士 司会八ッ尾 順一公認会計士・税理士 出席日髙 真帆税理士 出席廣瀬 周平税理士 この連載について 軽減税率が始まった令和元年10月、レジの入れ替えや請求書の様式変更に追われた方も多いと思います。令和9年からの実施が検討されている飲食料品の消費税減税でも、同じような対応に追われることになるかもしれません。 この連載は、税理士が集まり、減税が始まったら実務のどこで困りそうかを話し合った内容を音声にしたものです。顧問先からどんな問い合わせが来そうか、システム改修は間に合うのかといった、解説記事ではなかなか取り上げられない話が中心となっています。 音声記事 再生時間 約11分 CHAPTER 00:06飲食店の現場では01:00総額表示と減る現金04:50仕入れの値上がりの転嫁06:07中間申告の特例09:26第1表のみ提出 (了)
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消費税減税大綱に伴い想定される実務への影響と対応 【第3回】「総額表示義務の特例及び定期供給契約・通信販売に係る経過措置、税率変更日前後の適用税率」
消費税減税大綱に伴い想定される 実務への影響と対応 【第3回】 「総額表示義務の特例及び定期供給契約・通信販売に係る経過措置、税率変更日前後の適用税率」 税理士 石川 幸恵 前回、消費税率の引下げに伴う課税事業者選択届出書等の提出期限の特例について確認した。 今回は、国税庁から公表されているQ&Aで示された、総額表示義務の特例や定期供給契約・通信販売に係る経過措置、税率変更日前後の適用税率について取り上げる。 1 総額表示の範囲について 課税事業者が消費者に対して商品等の販売、役務の提供などの取引を行う際に、あらかじめ取引価格を表示する場合には、商品や役務などに係る税込価格を表示すること(総額表示)が義務付けられている。 免税事業者が行う取引や事業者間取引、口頭による価格の提示、見積書、契約書、請求書などには総額表示義務はない(国税庁「消費税のあらまし(令和8年6月)」79~80頁)。 2 総額表示義務に関する特例 令和9年4月1日の前後2か月と令和11年4月1日の前後2か月について、総額表示義務に直ちに対応することが困難な事情がある場合には、誤認防止措置を講じている場合に限り、次の図のように変更前又は変更後の税率による税込価格を表示することができる。 【適用期間のイメージ】 (※) 消費税率引下げQA問3-9より抜粋 (1) 困難な事情とは 困難な事情については、例えば「夜間の値札の貼り替え作業に対応できない」「カタログや商品パッケージ自体に価格が印字されている」等の理由から、税率変更時に適切な税率での総額表示が間に合わない場合が該当する。 「困難な事情」について具体的な基準が設けられているわけではないが、「その程度を問わない」とされているものでもない点には注意されたい。 (2) 誤認防止措置 誤認防止措置は、消費者が商品の選択を行う際の価格表示に関する誤認を防止するため、明瞭に認識できる方法で行う必要がある。 例えば、棚の商品について一律に税率8%による税込価格を表示している場合には、その旨とレジでは1%で精算する旨を消費者の目につきやすい場所に掲示する方法が示されている。 また、税率1%と8%による価格表示が混在する場合には、値札の色、税率の明記、シールを貼るなどして両者を区別して、その区別方法とレジでの精算方法を掲示する方法が示されている。 3 総額表示につき、特例の期間でも認められない対応について 税抜価格(本体価格)のみを表示する方法や税抜価格に続けて「+税」とのみ表示する方法など、税込価格を表示しない方法は引き続き認められない。 4 定期供給契約、通信販売の経過措置はどのような取引に適用されるのか 今回の税率引下げでは、定期供給契約と通信販売についてのみ、経過措置が設けられている。経過措置の対象となる取引を確認した上で、令和9年4月1日以後の取引に1%の税率を適用する場合の実務上の対応について確認する。 (1) 定期供給契約 定期供給契約に係る経過措置を例で示すと、次のようなものである。 定期供給契約とは、季節の食材が毎月届く定期便のような不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約をいう。 令和9年1月1日(以下「指定日」とする)前に契約を締結し、対価を施行日である令和9年4月1日前に領収した場合には、4月1日以後のお届け分についても、税率8%が適用される(消費税率引下げQA問1-6)。 (2) 通信販売 通信販売に係る経過措置を例で示すと、次のようなものである。 通信販売の方法により指定日前に販売条件を提示し、施行日前に申し込みを受けて、施行日以後に譲渡が行われる場合には、税率8%が適用される(消費税率引下げQA問1-6)。 なお、いわゆるカタログギフトは、受贈者が選択した商品の手配に係る役務の提供に該当するため、飲食料品のみを掲載したものであっても、標準税率10%が適用される点に注意されたい(個別事例編問35)。 (1)及び(2)の経過的な取扱いについては選択適用ではないことに注意されたい。 5 定期供給契約、通信販売について4月1日以後のお届け分に消費税率1%を適用することはできるのか 4の経過措置は選択適用ではないため、事業者の判断で税率1%を適用することはできない。一方、契約や販売条件において、税率変更があった場合には新税率によることを定めているときは、令和9年4月1日以後の販売について税率1%が適用される。 (1) 定期供給契約 契約等で次のような定めをする。 また、既存の契約についても、当初契約の契約金額を変更する旨の契約を令和9年1月1日以後に締結することで、消費税率1%が適用される。消費税率引下げQA問1-6では、当初契約との差額を返金するケースを例として示している。 (2) 通信販売 通信販売についても、販売条件に、令和9年4月1日以後に販売を行うものは消費税率1%による旨や、税率変更後の販売価格をあらかじめ提示している場合には、同日以後の販売について税率1%が適用される。 6 買い手における仕入れの計上基準と適格請求書の税率が異なる場合、どちらの税率で仕入税額控除を行うのか 買い手は、売り手が適用した税率に基づき仕入税額控除を行うこととなるため、適格請求書に記載された消費税率や消費税額に基づき仕入税額控除額を計算する。 例えば、売り手が出荷基準、買い手が検収基準を採用しており、売り手が令和9年3月31日に出荷し、買い手が4月1日以後に検収した場合、買い手の仕入計上日が4月1日以後であっても、適格請求書に記載された税率に基づいて仕入税額控除を行う(消費税率引下げQA問1-4)。買い手が自らの仕入計上時期に応じて適用税率を選択するものではない。 (了)
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相続税の実務問答 【第124回】「共同相続人が親の養子である兄弟姉妹の場合」
相続税の実務問答 【第124回】 「共同相続人が親の養子である兄弟姉妹の場合」 税理士 梶野 研二 [答] 相続人が被相続人の養子である場合には、相続税の基礎控除額の算定等において相続人の数に算入できる養子の人数に制限があります。しかし、甲及び乙は被相続人の養子ではなく、被相続人の親の養子です。したがって、相続税の基礎控除額等の計算において、甲及び乙を相続人の数から除く必要はありません。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続税の基礎控除額等の計算における相続人の数 相続税の計算において、次の(1)、(2)及び(3)については、相続人の数を基礎として計算しますが、被相続人に養子がある場合には、算入できる相続人の数が一定数に制限されています。この制限は、養子縁組によって法定相続人の数を増やし、相続税負担を不当に減少させることを防ぐ趣旨のものです。 (1) 基礎控除額の計算 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(相続税法第19条に規定する生前贈与加算の適用がある場合には、同条の適用により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額から、3,000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額を控除することとされています(相法15①)。この金額を遺産に係る基礎控除額といいます。この場合の相続人の数は、民法第5編第2章の規定による相続人の数をいいますが、被相続人に養子がある場合に相続人の数に算入できる当該被相続人の養子の数は、次の①又は②の区分に応じて定められた数に限られ、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数となります(相法15②)。 ただし、①又は②において、次に該当する者は実子とみなされます。 (注) 上記の定めにより1人又は2人の養子を相続人の数に算入することができるとしても、それが相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、その養子の数を相続人の数に算入せずに相続税の課税価格及び相続税額を計算することができることとされています(相法63)。 (2) 相続税の総額の計算 相続税の総額は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格に相当する金額の合計額からその遺産に係る基礎控除額を控除した残額を、当該被相続人の上記(1)に規定する相続人の数に応じた相続人が民法第900条(法定相続分)及び第901条(代襲相続人の相続分)の規定による相続分に応じて取得したものとした場合における各取得金額について、相続税法第16条に定める税率を適用して求めた金額を合計した金額とされます(相法16)。 (3) 生命保険金等の非課税金額 相続人の取得した保険金(相続税法第3条第1項第1号に規定するもの)については、500万円に相続人の数を乗じて算出した金額までが非課税とされます(相法12①六)。 また、相続人の取得した退職手当金(相続税法第3条第1項第2号に規定するもの)については、500万円に相続人の数を乗じて算出した金額までが非課税とされます(相法12①七)。 これらの非課税金額の計算における「相続人の数」は、上記(1)の相続人の数となります。 2 相続税の基礎控除額の計算等において相続人の数への算入が制限される養子 上記1により相続人の数に算入することが制限される相続人は、「被相続人の養子」(ただし、1(1)の(ⅰ)及び(ⅱ)に該当する養子は除かれます。)とされています。 したがって、次の例のように、相続人自身が養子であっても、「被相続人の養子」でなければ、上記1の相続人の数に算入を制限される養子には該当しません。相続税法基本通達15-5も、この点を明確にするため、被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)が兄弟姉妹である場合は、その中に当該被相続人の親との養子縁組によって相続人となった者がいても、相続税法第15条第2項に規定する「当該被相続人に養子がある場合」に該当しないと定めています。 3 ご質問の場合 お姉様には、相続開始の時において配偶者がおらず、子その他の直系卑属も直系尊属もいないため、兄弟姉妹が相続人になります(民法889①二、890)。ご質問のケースでは、実の妹であるあなたが相続人となります。また、あなたの夫甲及び従兄の乙も、あなた方の父母双方との養子縁組により、お姉様の兄弟姉妹として相続人となります(民法727、809、889①二)。 ところで、甲及び乙は、あなた方のご両親の養子となったことから、今回の相続では、お姉様の兄弟姉妹として相続人となったものです。このため、相続税の基礎控除額を計算する場合などにおいて、この2名を相続人の数に含めてよいかどうかが問題となります。 しかしながら、上記2で述べたように、相続人の数への算入が制限されるのは、「被相続人の養子」です。甲及び乙は、お姉様の相続人ですが、お姉様の養子ではありません。したがって、甲及び乙には相続税法第15条第2項の養子数制限は適用されず、相続人の数をあなた、甲及び乙の3名として、相続税の基礎控除額等を計算します。 (了)
所得税
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税理士が押さえておきたい「社宅」の税務と周辺知識 【第6回】「従業員用の借上げ社宅⑥」~制度設計と導入準備の実務~
税理士が押さえておきたい「社宅」の税務と周辺知識 第6回 従業員用の借上げ社宅⑥ ~制度設計と導入準備の実務~ 公認会計士・税理士 桝井康弘 〇普遍性の問題 〇契約書の注意点 〇他社の事例紹介 〇導入時期とスケジュール (了)
税務
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第100回】
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第100回】 東洋大学法学部教授 泉 絢也 ④ 取引金額・損益計上の有無・タイミング等を判断し、損益を確定 (ア) ブロックチェーンの記録からわかること・わからないこと 「損益計上の有無やタイミング等を判断することが難しい場合」がある。その要因として次のようなものがある。 取引タイプが多様でそれぞれ損益処理が異なる。 暗号資産取引には、エアドロップ、マイニング、ステーキング、レンディング、流動性供給、ラップ・アンラップ、信用取引、レバレッジ、デリバティブなど様々な取引タイプが存在する。これらは、その性質や見解の相違等により、損益処理(損益計上の有無やタイミング)が異なりうる。 暗号資産はボラティリティが大きいため、どの時点を損益計上すべきタイミングと考えるかによって損益額が大きく変動することに注意が必要である。例えば、受領時課税と売却時課税とで評価額が大きく乖離することも珍しくない。 また、その処理方法が確立していないものもある。 他方、ブロックチェーンに記録されるトランザクションの基本形は、暗号資産の「移転」であり、一般的には、いつ、どのアドレスからどのアドレスにどの種類の暗号資産がどの程度送付されたかがわかるにすぎない。 ここでいう「移転」とは、アドレス間における暗号資産の送付や受領のみならず、暗号資産の供給量が変化するミント(生成)やバーン(破棄)も含む意味での「移転」を指す。 (イ)で整理するとおり、暗号資産の送付又は受領のトランザクションが発生している場合、その背後にある取引タイプや取引目的として想定されるものは多岐にわたる。 しかしながら、ブロックチェーン上に記録されているトランザクションのみをもって損益取引か、貸借取引か、損益取引である場合にいつの時点でどのくらいの損益を計上すべきかを明確に又は直ちに判断することが難しい場合がある。 すなわち、「移転」という外形から直ちに「課税イベント」の有無を導くことはできない。ここに、暗号資産税務の最大の判断困難性がある。 ただし、ブロックチェーンエクスプローラーを利用して、そのトランザクションの前後関係やイベントログ(本連載第102回参照)を分析し、呼び出されているスマートコントラクトの関数や付随データを検討することにより、一定の精度で背後にある取引タイプや取引目的を判定又は推定できる場合もある。 しかしながら、取引内容が複雑である場合や分析に必要なデータが不足している場合には、取引の詳細を把握することは難しい。そもそも、上記は高度な技術的読解を前提とするものであり、一般の納税者や税理士にとって容易とはいえない。 結局、納税者が備忘記録や資料を適切に保管していることが税務コンプライアンスの観点から重要である。ブロックチェーンが「透明」であることと、課税関係の判断に必要な事実関係が「自動的に明らかになる」こととは同義ではないことに留意が必要である。 (イ) トランザクション別取引タイプと問題点・注意点 ブロックチェーン上のトランザクションを次の3つのタイプに分けたうえで、各タイプごとに想定される取引タイプ等や注意点を整理する。 トランザクションタイプ:〔1〕暗号資産の送付 《想定される取引タイプ等》 《注意点》 トランザクションタイプ:〔2〕暗号資産を送付し、暗号資産等のトークンを受領 (ただし、送付と受領にタイムラグがある場合もあり) 《想定される取引タイプ等》 《注意点》 トランザクションタイプ:〔3〕暗号資産の受領 《想定される取引タイプ等》 《注意点》 (ウ) その他損益計算時の問題点・注意点 複数チェーン間の資産移動(※)、関連するトークンの送付と受領にタイムラグのある取引が絡むと、取引が複雑化し、損益計算処理が困難になる。 (※) それぞれのチェーンで記録されるトランザクションが独立しており、全体の履歴を一貫して追跡することが難しい場合がある。 ブリッジ取引では、AチェーンでのバーンとBチェーンでのミントが別個のトランザクションとして記録されるため、全体像を理解しなければ誤って譲渡と認定される危険がある(本連載第70回参照)。 また、例えば、次のような理由から「損益計算が煩雑になる場合」がある。 (了)
会計
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〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2026年9月】
〔まとめて確認〕 会計情報の月次速報解説 【2026年9月】 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2026年9月1日から9月30日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。 Ⅱ 企業内容等開示関係 次のものが公表されている。 ◎ 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等 (内容:「法人税等に関する会計基準」(改正企業会計基準第27号)等及び「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第74号)等を受けたもの。意見募集期間は2026年10月16日まで) (了)
労務
労務・法務・経営
社会保険
給与計算の質問箱 【第81回】「本社を移転した場合の注意点」
給与計算の質問箱 【第81回】 「本社を移転した場合の注意点」 税理士・特定社会保険労務士 上前 剛 Q 当社は令和8年10月1日付けで本社を埼玉県から東京都へ移転しました。給料は末締め翌月25日払いです。給料計算の注意点をご教示ください。 A 以下、解説する。 * * 解 説 * * 1 最低賃金 埼玉県の最低賃金は、9月30日までは1,141円、10月1日からは1,196円である(【図表1】参照)。 東京都の最低賃金は、9月30日までは1,226円、10月1日からは1,280円である。 例えば、時給1,200円のパート・アルバイトの場合、埼玉県の最低賃金はクリアしているが東京都の最低賃金はクリアしていないので10月1日から時給を1,280円以上に引き上げなければならない。9月分給与(10月25日支給)の給料計算では時給1,200円で計算、10月分給与(11月25日支給)の給料計算では時給1,280円以上で計算しなければならない。 【図表1】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※) 出典:厚生労働省 2 健康保険料 協会けんぽの場合、埼玉支部の健康保険料率は9.67%、東京支部の健康保険料率は9.85%である(【図表2】、【図表3】参照)。 例えば、標準報酬月額300,000円の場合、9月分給与(10月25日支給)から天引きする健康保険料は14,505円、10月分給与(11月25日支給)から天引きする健康保険料は14,775円である。 【図表2】協会けんぽ埼玉支部の健康保険・厚生年金保険の保険料額表 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 【図表3】協会けんぽ東京支部の健康保険・厚生年金保険の保険料額表 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 3 変更なし 介護保険料(1.62%)、子ども・子育て支援金(0.23%)、厚生年金保険料(18.3%)、雇用保険料、源泉所得税、住民税は、違いはない。 (了)
労務・法務・経営
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第82回】「土地区画整理事業における仮換地指定と「みなす課税」」
税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第82回】 「土地区画整理事業における仮換地指定と「みなす課税」」 不動産鑑定士 黒沢 泰 1 はじめに 土地区画整理事業は、それが都市計画決定されてから事業の完了に至るまで、事業期間が相当長い年月にわたります。(資料1)はその流れを示します。 (資料1) 土地区画整理事業の流れ (出所) 国土交通省ホームページ掲載資料を基に筆者作成。 また、土地区画整理事業の大きな柱は「減歩」と「換地」です。 ちなみに、「減歩」とは区画整理後の宅地面積が区画整理前と比べて減少することを指し、「換地」とは区画整理によりもとの宅地に対して置き換えられた宅地のことを指しています。そのイメージは(資料2)のとおりです。 (資料2) 土地区画整理事業のイメージ (出所) 福岡市ホームページ「土地区画整理事業」の掲載資料より抜粋。 土地区画整理事業では事業期間が長期にわたることから、最終的な換地処分までの間に仮換地指定が行われるのが通常です。そして、仮換地指定を受けた場合、土地の使用収益について、土地区画整理法上特別な扱いがなされることとなります。 また、仮換地指定を受けた土地について、固定資産税の納税義務者は誰になるのかについても留意する必要があります。 2 土地区画整理事業における仮換地の位置付け (1) 土地区画整理事業の概要 土地区画整理事業とは、(資料2)のイメージ図からも明らかなとおり、土地(宅地)の区画を根本的に整備(再配置)するとともに、道路、公園等の公共施設も併せて整備することを目的として行われる街づくり事業です。 (2) 土地区画整理事業の特徴 既に述べたとおり、土地区画整理事業の大きな柱は減歩と換地です。 ① 減歩 土地区画整理事業の実施に伴い、道路、公園等の公共施設が整備されますが、これらの土地は事業主体が地権者から買収することによってまかなわれるわけではありません(あくまでも、従前から所有している宅地の一部を拠出し合うことにより確保されます)。 このほか、土地区画整理事業では、保留地と呼ばれる宅地を拠出して生み出し、これを売却して事業資金を捻出するところに特徴があります。そのため、事業全体としてみた場合、区画整理後の宅地面積は、区画整理前と比べて減少することになります(これが減歩であり、それによって減少する面積割合を減歩率と呼んでいます)。 ② 換地 換地とは、区画整理によりもとの宅地に対して置き換えられた宅地のことを意味します。なお、換地処分の行われた土地には、登記簿(登記事項証明書)の表題部および権利部(甲区)にその旨の記載が行われます。 (3) 仮換地指定について ① 仮換地指定の意味 仮換地指定とは、(文字どおり)将来換地となるべき土地の位置や面積を仮に指定することを指し、土地区画整理法第98条に根拠を置いています。 ② 仮換地指定の効果 次に、仮換地指定の効果ですが、仮換地が指定されただけでは、その所有権はまだ仮換地に移転するわけではありません。しかし、仮換地の指定日を境に、(仮換地に移行する前の)所有地は使用収益ができなくなり、これに代えて仮換地の使用収益が可能となるという仕組みがとられています(同法第99条)。この点が土地区画整理事業の大きな特徴であり、次に述べる固定資産税の「みなす課税」がなされる拠り所となっています。 3 仮換地に対する固定資産税の「みなす課税」について 固定資産税は、固定資産の所有者に課される税ですが、土地については、その所有者とは、登記簿または土地補充課税台帳に所有者として登記または登録されている者をいうとされ、いわゆる台帳課税の原則がとられています。 しかし、土地区画整理事業の施行に係る土地について、仮換地の指定があった場合には、仮換地の指定の効力発生の日(使用収益開始可能日の指定があったときはその日)から、当該仮換地に対応する従前の(すなわち仮換地に移行する前の)土地の所有者は、当該仮換地の使用収益が可能となります。 一方で、当該仮換地の現所有者は、当該仮換地について使用収益ができなくなりますが、換地処分の効力が発生するまでは、土地の所有権については変更がなく(=登記簿上の名義もまだ変更されておらず)、台帳課税の原則を貫く限り、依然として当該仮換地の所有名義人が納税義務を負うこととなります。 すなわち、当該仮換地の現所有者にとっては自らその土地を使用できない(=他人に使用収益の権利を譲る)にもかかわらず、その土地の固定資産税の納税義務を負うこととなるのは不公平であるという理由によりなされるのが「みなす課税」というものです(その拠り所は地方税法第343条第7項となります。以下の下線部は、上記説明に関連する部分であり、筆者によります)。 なお、課税実務では「みなし課税」ではなく、「みなす課税」という表現が用いられている点に留意が必要です。 〇地方税法 4 まとめ 土地区画整理事業に関しては、不動産鑑定士としても留意すべき点が多々あります。今回取り上げた「みなす課税」は固定資産税の賦課にかかる問題ですが、仮換地の使用収益開始後は仮換地の現況で鑑定評価を実施するという点が重要です。そのため、鑑定評価を実施する時点において、実際に仮換地指定がなされているかを確認することはもちろん、仮換地指定後の位置を特定し、インフラの整備状況をも踏まえて評価額を求めることが課題となります。 (了)
