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連載「居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答]」が『100問100答』として書籍になりました!
本誌連載 「居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答]」が 『100問100答』として書籍になりました! - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
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《速報解説》 パブコメを受け、「マイナンバーの取扱いに関するガイドライン」が公表~「事業者編」・「金融業務編」に分け取扱いを具体的に解説。『Q&A』も公表~
《速報解説》 パブコメを受け、「マイナンバーの取扱いに関するガイドライン」が公表 ~「事業者編」・「金融業務編」に分け取扱いを具体的に解説。『Q&A』も公表~ 仰星監査法人 公認会計士 岡田 健司 はじめに 特定個人情報の取扱い全般について監視・監督する役割を担う特定個人情報保護委員会は、平成26年12月11日付で、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」という) を公表した。ここでは、このガイドラインの概要について解説する。 1 本ガイドラインの位置づけ 本ガイドラインは、番号法第4条の規定(国が特定個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を講ずる責務を負っている旨の規定)を受け、個人番号を取り扱う事業者(金融機関を含むすべての民間企業等)が特定個人情報の適正な取扱いを確保するための具体的な指針を定めたものである。 番号法では、特定個人情報の利用範囲を限定的に定めていることから(番号法第9条及び別表第1参照)、その運用を確実にすべく入手、利用、管理等についての具体的な方法等を定めるものである。 なお、特定個人情報とは、個人番号を含むその内容に含む個人情報をいう(番号法第2条第8項)。 2 本ガイドラインの読み方と活用方法 本ガイドラインは「4章+2つの資料」という編成となっている。第1章は導入部、第2章は番号法にも規定のある主要な用語の定義規定であることから、第3章、第4章が本ガイドラインの具体的な内容を定めたものである。 特に第4章は事業者の参考となる実務上の指針、典型的な具体例等が設けられ、留意すべき点にはアンダーラインを付すなどの配慮もなされていることから、まずは第4章から確認していき、適宜第2章の定義規定等に振り返るのがよいと思われる。 また、資料として(別添)資料があるが、後述する保護措置の具体的な例示が箇条書きで整理されているため、イメージを掴むのによい。また、巻末資料には個人番号の取得から廃棄までの一連のプロセスについて、本ガイドラインの該当する箇所が記載されていることから全体像が把握しやすい。 そこで、第4章と2つの資料を横置きして読み進めていくのが効率的だと思われる。 なお、事業者のうち金融機関が行う金融業務については、第4章について、事業者のうち金融機関が行う金融業務は別冊の「金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」が適用される。 3 本ガイドラインの主な内容並びに具体例 本ガイドラインが規定する主な内容を理解するうえでのキーワードは「保護措置」である。 保護措置とは、要するに、個人情報を厳格かつ完全に管理するための方法である。 これまで個人情報保護法においても保護措置は規定されていたものの、個人情報保護法の対象は個人情報の取扱い件数が相当数以上の事業者のみであったことから、全事業者が対象となる番号法においても同様に、また「個人番号」という極めて機密性の高い個人情報をその内容に含むことから、より高い水準の保護措置を定める必要がある。 そこで、本ガイドラインで事業者が採るべき保護措置の具体的な方法等を定めている。 保護措置の内容としては、大別すると、 の3つである。 簡単にいえば、 である。 これらを遵守するための事業者の指針となるものが本ガイドラインである。 例えば、第4章には、①について、事業者は社員の管理のために、として、個人番号を社員番号として利用してはならないことなどが定められている。利用制限を理解するうえでそもそも個人番号の利用が認められる目的の範囲について事例を交えて比較的わかりやすく解説されている。 また、②について、事業者が採るべき必要な監督の内容として、特定個人情報に関する事務の一部を外部に委託する場合に契約内容として盛り込むべき内容が具体的に解説されている。また、③についても同様に、個人番号の提供・収集・保管等が認められるケース、認められないケースがわかりやすく解説されている。 なお、特定個人情報の廃棄の具体的な方法については(別添)資料「特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)」にも記載されている。 なお、内閣府からは本ガイドラインに関するQ&Aも公表されている。併せて確認されたい。 4 まとめ 本ガイドライン中には「しなければならない」あるいは「してはならない」という記載が多くみられる。そこで、これらの記載のある事項について遵守されていない場合には法令違反と判断されるケースもありうる。 ご周知のとおり、番号法は、その違反について一般法である個人情報保護法等よりも重い罰則(刑事罰を含む)を設けていることから、遺漏なき対応が求められる。 また、特定個人情報に関する事務の一部を受けようとする事業者、あるいは税理士や弁護士等の専門家においては、自社の体制が本ガイドラインで規定される水準以上のものとなっていることが業務の実施(あるいは業務の受注)の前提となることから、当該事務に従事する従業員や職員等の教育研修も含め、社内体制の整備と充実に努められたい。 (了)
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Profession Journal No.99が公開されました!~今週のお薦め記事~
2014年12月18日(木)AM10:30、Profession Journal(プロフェッションジャーナル) No.99 が公開されました。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
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日本の企業税制 【第14回】「平成27年度税制改正を展望する」
日本の企業税制 【第14回】 「平成27年度税制改正を展望する」 一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久 1 はじめに 総選挙で中断されていた平成27年度税制改正は、12月16日の自民党税調インナー開催により再開された。 12月25日からは連日、自民党税調正副顧問幹事会・小委員会が開催され、同時並行で公明党の税調、与党税制改正協議会も断続的に開催され、12月30日に与党税制改正大綱とりまとめが予定されている。 また、事務的な作業は、財務省・総務省で選挙中も継続されており、与党税調に上るのは、マル政(=政治的な決着)が必要とされる事項のみとなろう。 そこで、本稿では、既に結論が出ている事項の概要、ならびにマル政事項の予想を含め、平成27年度税制改正の全体を展望してみたい。 2 法人税制 既報の通り法人税の財源論(課税ベースの拡大等)は主要な租税特別措置を含め、以下のような内容で、既に財務省・総務省と経団連の間でほぼ決着している。 ① 法人事業税 ② 欠損金の繰越控除 ③ 受取配当の益金不算入 ④ 研究開発税制 ⑤ 特定事業用資産の買換え特例(9号買換え) 以上の課税ベース拡大等を実効税率に換算すれば、仕上り時(平年度)分で2.1%~2.2%、平成27年度(初年度)分では1.5%程度でしかない。そうなれば、全体としては税収中立でも、企業・業界によってはかえって増税となる企業が続出する。 法人税収は企業業績の拡大以上のペースで順調に伸びており、平成26年度は当初見積り10兆円(国税のみ)を1兆円以上上回ることが見込まれている。 経団連としては、平成27年度に少なくとも2.5%の実効税率引下げを求めているところである。 3 個人所得課税 女性の働き方に中立的な税制として見直しが求められている配偶者控除、配偶者特別控除については、議論不十分として先送りされる見込みである。平成28年度税制改正以降の課題として、控除制度全体の見直しと併せて検討されることになろう。 ① NISAの拡充 ② 出国税(個人)の創設 4 土地・住宅税制 ① 固定資産税 ② 住宅税制 5 その他 以上、現時点までに事務的にはほぼ結論が得られている事項を説明してきたが、現在までに方向性が示されておらず、与党税調の中でマル政扱いとなる事項を列挙すれば以下のような点である。 (了)
消費税・地方消費税
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5%・8%税率が混在する消費税申告書の作成手順 【第2回】「一般課税の申告書・付表作成の流れ(後編)」
5%・8%税率が混在する消費税申告書の作成手順 【第2回】 「一般課税の申告書・付表作成の流れ(後編)」 アースタックス税理士法人 税理士 島添 浩 (監修) 税理士 小嶋 敏夫(執筆) (3) 付表1の作成 ⇒様式はこちら (※)付表2-(2)の様式はこちら この帳票は、従来作成していた確定申告書の内容を税率ごとに計算するための帳票となっている。したがって、この帳票を税率区分ごとに正確に作成し、その合計額を確定申告書に反映させることとなる。 具体的には、以下のようになる。 この付表1の作成で留意すべき点は、税率区分ごとに課税標準額に対する消費税額から控除税額小計を差し引いて計算し、それぞれ「控除不足還付税額」又は「差引税額」を求めることである。 したがって、例えば、4%適用分は「控除不足還付税額」、6.3%適用分は「差引税額」となるケースが考えられ、そのような場合には、それぞれの税額を相殺して、プラスが生じたときは「差引税額」、マイナスが生じたときは「控除不足還付税額」として確定申告書へ転記することとなる。 (4) 確定申告書の記載方法 ⇒様式はこちら 確定申告書の作成については、付表1及び付表2-(2)を作成し、その内容を反映させることとなるが、付表1及び付表2-(2)から転記する項目は、以下のようになる。 【付表からの転記項目】 上記以外の記載項目は、以下のようになる。 次回より、具体例を通じて一般課税の消費税確定申告書・付表の作成手順を確認する。 (了)
法人税
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組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第16回】「日本IBM事件①」
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第16回】 「日本IBM事件①」 公認会計士 佐藤 信祐 第16回以降においては、みなし配当と株式譲渡損の両建てを行った後に、連結納税により損益通算を行った行為に対して、同族会社等の行為計算の否認が適用された事件について解説を行う。 本事件で利用されたストラクチャーについては、平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入されたことにより利用することができなくなったが、資本等取引、連結納税に対する同族会社等の行為計算の否認の適用可否について、今後、参考になるものと考えられる。 4 日本IBM事件(東京地裁平成26年5月9日判決) (1) 判決の概要 本件は、外国法人である米国WTを唯一の社員とする同族会社であった原告(内国法人)が、平成14年2月に海外の親会社である米国WTから日本IBMの発行済株式の全部の取得をし、その後、平成17年12月までに3回にわたり同株式の一部をそれを発行した法人である日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税法132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の更正の処分をそれぞれするとともに、そのことを前提として、 をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、本件各更正処分等の取消しを求める事案である。 被告は、本件において、本件各譲渡を容認して法人税の負担を減少させることは法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価されるべきである旨主張し、その評価根拠事実として、 を挙げたが、裁判所は、「本件各譲渡を含む本件一連の行為に租税回避の意図が認められる旨の評価根拠事実として被告が挙げるいずれの事実についても、これを裏付けるものと認めるに足りる証拠ないし事情があるものとは認め難い」として、法人税法132条に規定する同族会社等の行為計算の否認の適用を認めなかった。 被告はこれを不服として、東京高裁に控訴を行っている。 (2) 事実の概要 ① 当事者の概要 原告は、平成11年4月1日にデロイトが資本の総額300万円の全額の出資の払込みをして成立した有限会社であり、成立した当時の商号は、有限会社トーマツプランニングであった。米国WTは、平成14年2月12日、デロイトから、原告の持分の全部を譲り受け、原告は、同月28日、商号を有限会社アイ・ビー・エム・エイ・ピーホールディングスに変更した。その後、原告の持分の全部は、平成16年12月16日、米国WTからIBM World Trade Asia Holdings LLCに譲渡され、会社法の施行に伴い平成18年5月1日に特例有限会社となった後、平成19年5月23日には、その株式の全部が同社からIBM Japan Holdings LLCに譲渡された。 米国WTは、米国IBMにその持分の全部を保有される同社の海外の関連会社を統括する持株会社であり、米国IBMは、明治44年に成立してその株式をニューヨーク証券取引所に上場し、同社及び同社によって直接又は間接に株式を保有されている子会社及び関連会社から成る企業グループ(IBMグループ)の経営を率いる本部としての機能を有する株式会社である。 IBM World Trade Asia Holdings LLC及びIBM Japan Holdings LLCは、その持分の全部をいずれも米国WT又は米国IBMに直接又は間接に保有されている。 原告には、専任の役員及び使用人はいない。 原告は、固有の事務所を有していない。 米国IBMは、ハードウェア中心の製造販売多国籍企業からグローバルに統合された組織体制でのハードウェア、ソフトウェア及び企業向けサービスを併せて提供するグローバルに統合された企業グループへの業態変革という大きな変革を遂げること目指し、財務管理の権限を米国IBMの財務部門に集中させたり、不要となったハードウェア製品部門の多数の事業を売却してソフトウェア又は企業向けサービス事業を営む多数の企業を買収したりするとともに、平成13年から平成16年にかけて、北米、欧州及び日本を含む事業上主要と考えられる地域に地域又は国単位の中間持株会社を置くことによる子会社の組織の再編をすることとし、日本においても、従前、米国WTの下に日本IBM、APSC及びYSCが、米国IBMの下にDTIが子会社として置かれていたところ、日本IBM、APSC、YSC及びDTIをすべて原告の下に子会社として置くこととする組織の再編(日本再編プロジェクト)をすることとした。 ② 原告(有限会社アイ・ビー・エム・エイ・ピーホールディングス)による日本IBM株式の取得 平成14年4月22日に日本IBMの発行済株式の全部を代金1兆9,500億円で購入した。本件株式購入における取得価額以外の主な契約の内容を成すものは、次のとおりである。なお、当該株式の取得価額はDCF法により算定されている。 原告は、取得の価額のうち、1,317億8,000万円は現金で支払い、残額の1兆8,182億2,000万円の代金支払債務については、米国WTと原告との間で消費貸借の目的とする。 本件融資につき担保の定めはない。 本件融資は、平成24年12月20日を弁済の期日とし、当該日において、原告は本件融資に係る残高総額及び未払利息の総額を支払う。ただし、原告は、米国WTに通知することによって、上記の日の前に融資額の一部又は全部を返済することができる。 原告は、米国WTに対し、本件融資に係る利息を毎年12月20日に支払う。なお、原告は、利息の支払日に利息を支払うことに代えて、利息相当額を未返済残高に組み込むことを選択できる。 平成14年4月22日から平成17年12月20日までの期間の利率は、年0.6344%とする。 ③ 自己株式の取得について 平成14年12月20日において、前事業年度終了の時における簿価純資産価額を基に同社の1株当たりの価額を30万5,586円、当該1株当たりの価額を基に取得する株式数を69万7,000株、取得価額の総額を2,129億9,344万2,000円として、自己株式の取得を行った。ただし、平成15年1月6日付けで、直近の取引価額である本件株式購入時の1株当たりの価額(127万1,625円。時価純資産価額)を基礎として、上記の取得する株式数を算出し直している。これにより、日本IBMから送金を受けた金員については、日本IBM株式を取得するための借入金の返済に充てられている。 なお、上記の結果、平成14年12月期において、有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額1,981億9,782万9,185円が、原告の所得の金額の計算上、損金の額に算入される金額として生じた。 このような取引が、平成15年度、平成17年度にそれぞれ行われている。 (3) 主たる争点 ① 本件各譲渡による有価証券の譲渡に係る譲渡損失額が本件各譲渡事業年度において原告の所得の金額の計算上損金の額に算入されて欠損金額が生じたことによる法人税の負担の減少が、法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価することができるか否か【争点1】 (ⅰ) 原告をあえて日本IBMの中間持株会社としたことに正当な理由ないし事業目的があったとはいい難いこと (ⅱ) 本件一連の行為を構成する本件融資は、独立した当事者間の通常の取引とは異なるものであること (ⅲ) 本件各譲渡を含む本件一連の行為に租税回避の意図が認められること ② 前記①において法人税の負担の減少が法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価することができる場合に、処分行政庁による本件各譲渡事業年度の課税標準等に係る引き直し計算が適法であるか否か【争点2】 ③ 本件更正理由に理由の附記の不備による違法があるか否か【争点3】 上記のうち、裁判所は【争点1】のみを判断し、「不当」なものと評価されるべきであると認めるに足りないものとして、【争点2】、【争点3】については、【争点1】が否定されている以上は判断するまでもないものとしているため、本稿においても、【争点1】のみを検討するものとする。 (4) 本事件における特徴 本事件においては、原告による日本IBM株式の取得については、純粋な国内取引であれば課税されていたところ、株式の譲渡を行った者が米国法人である米国WTであり、日米租税条約により日本において課税されず、チェック・ザ・ボックス規則により米国においても課税されない結果となる。 これに対し、自己株式の取得により、平成22年度改正前法人税法においては、みなし配当と株式譲渡損の両建てが可能になっていたところ、当該株式譲渡損を平成20年12月期から開始した連結納税制度を利用して、日本IBMの所得との通算を行っている。 さらに、法人税法61条の11第1項2号において、最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日から継続して100%子会社であれば、連結納税開始に伴う時価評価課税の適用を避けることができると規定されているところ、最初連結親法人事業年度開始の日が平成20年1月1日であり、その5年前の日が平成15年1月1日であり、日本IBM株式を取得したのが、平成14年4月22日であることから、これら一連のストラクチャーが5年を超える長期に渡るものであったということは、連結納税開始に伴う時価評価課税の適用を避けるためであったという可能性も窺える(なお、当時の繰越欠損金の期限は5年であったことから、原告はその可能性を否定している)。 なお、本事件においては、法人税法132条の3に規定する包括的租税回避防止規定ではなく、法人税法132条に規定する同族会社等の行為計算の否認を適用しているが、連結事業年度開始の日前の株式譲渡損について損金算入を否定するためであったからと推定される。 次回以降は、【争点1】における被告、原告の主張についてそれぞれ解説する予定である。 (了)
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こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第16回】「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求」
こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第16回】 「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求」 税理士・社会保険労務士 上前 剛 当社は、設立直後に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出しています。 7~12月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の合計額は20万円、年末調整による還付額の合計額は25万円、結果として、1月20日までに納付する所得税及び復興特別所得税は0円となりました。また、当社は、業績不振のため、平成26年12月31日をもって休眠します。差額の5万円は、平成27年1月以降の給与から順次控除すべきですが、平成27年中に給与を支給する予定はなく、控除ができないため、還付を受けたいと考えています。 源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求についてご教示ください。 次のいずれかに該当する場合には、会社は税務署に年末調整過納額の還付請求をすることができる。 今回のケースにおいては、上記下線部に該当することから、会社は税務署に年末調整過納額の還付請求をすることができる。具体的には、会社は所轄の税務署に次に掲げる書類を提出する。 (了)
税務
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税務判例を読むための税法の学び方【50】 〔第6章〕判例の見方(その8)
税務判例を読むための税法の学び方【50】 〔第6章〕判例の見方 (その8) 立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘 ④ 通常訴訟と特別訴訟 民事訴訟には、通常の手続で訴訟が進められる「通常訴訟」と、対象となる事件の性質に応じて手続上の特則が定められている「特別訴訟」がある。 特別訴訟には、人事訴訟手続法が規定する人事訴訟、行政事件訴訟法が規定する行政訴訟がある。また、通常の手続より簡略な手続が定められた特別訴訟に、手形・小切手訴訟、少額訴訟、支払督促などがある。 (A) 通常訴訟 民事訴訟法の原則的規定に従った通常の訴訟をいう。 (B) 特別訴訟 (ア) 人事訴訟 身分関係の争いを解決するための民事訴訟である。家族法上の法律関係について民事訴訟法の特則を定めた法律である人事訴訟法に所定の婚姻関係訴訟(第2章)、実親子関係訴訟(第3章)、養子縁組関係訴訟(第4章)がこれにあたる。 なおこれと類似の概念で、家事事件というものがある。ただし家事事件といった場合、日常用語としては家庭内の紛争に対する法的解決手段のすべてを指す言葉であるから、広義の意味として、家事調停、家事審判、人事訴訟をすべて含む概念となる。 しかし、法律的には、人事訴訟と対比して、家事審判と家事調停を家事事件と呼ぶことになる。 家事事件手続法では、第1条に「家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。」と規定されており、人事訴訟は人事訴訟法に規定されているのであるから、家事事件と人事訴訟は、適用法令の点から見た場合には、明確に区分されている。 ただし例えば、離婚事件については、調停前置主義が採られているため、最初は離婚調停によらなければならないが、この離婚調停は家事調停の一種であり、家事事件に該当することになる。しかし離婚調停が不成立となり、離婚訴訟に至れば、それは人事訴訟となる。 (イ) 行政訴訟 公権力の行使に当たる行政庁の行為の取消しを求める訴訟である行政訴訟もまた、通常、特別訴訟の一種とされている。 行政事件訴訟法第7条に「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。」と規定されているように、行政訴訟は行政事件訴訟法を根拠法令としつつも、行政事件訴訟法の規定がない事項に関しては民事訴訟法に依ることから、広い意味で民事訴訟の一種とされ、その意味で特別訴訟の一種されている。 (ウ) 手形・小切手訴訟 手形訴訟は、手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする(民事訴訟法第350条)略式訴訟である。手形に関する訴訟はその性格上、迅速さが要求されるものであるため、通常の訴訟とは異なる特徴を有している。民事訴訟法では第350条から第366条までに規定がある。 小切手に関する同様の訴訟は小切手訴訟として、民事訴訟法第367条に定めが置かれている。しかし内容は、手形訴訟の規定を準用することとされている。そこでこの両者を合わせて、「手形・小切手訴訟」と呼ばれる。 この手形・小切手訴訟の場合には、反訴はできず(民事訴訟法第351条)、また文書提出命令や文書の送付嘱託は認められないため(同法第352条第2項)、原則として証拠として提出できるのは当事者自身が有する書証(すなわち「手形」自体である)のみといった大きな特徴がある。 (エ) 少額訴訟 民事訴訟法第368条から第381条までに規定のある、60万円以下の金銭の支払請求について争う裁判制度である。 同一の簡易裁判所において同一の年に少額訴訟ができる回数は10回までであり、訴えの際にその年に少額訴訟を求めた回数を申告しなければならず(同法第368条第1項及び第3項、民事訴訟規則第223条)、もし回数を偽って申し立てた場合には、10万円以下の過料に処せられことになる(同法第381条第1項)。そして通常審理を終え、その日のうちに判決が下される(同法第370条、第374条)。 (オ) 支払督促 ここまで紹介したものと異なり名称は「〇〇訴訟」ではないが、これも民事訴訟法第382条から第396条までに規定のあるものであり、広義では特別訴訟と一種とされている。 ただしその内容は、債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払等をするよう督促する旨の裁判所書記官の処分をいう。 したがって、厳密な意味では訴訟にはあたらない。 (続く)
会計
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解説
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財務会計
減損会計を学ぶ 【第23回】「減損処理後の会計処理」
減損会計を学ぶ 【第23回】 「減損処理後の会計処理」 公認会計士 阿部 光成 減損会計の適用については、固定資産の帳簿価額を減額し、減損損失を計上すれば終了というわけではない。 減損処理後も、引き続き、固定資産を使用し続けることがあるからである。 本稿では、減損処理後の会計処理について解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅰ 減価償却の実施 1 減損処理後の減価償却 減損処理後も、引き続き、固定資産を使用し続けることがある。 「固定資産の減損に係る会計基準」では、減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行うことを規定している(三、1)。 「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号。以下「減損適用指針」という)は、減損損失を控除した帳簿価額から残存価額を控除した金額を、企業が採用している減価償却の方法に従って、規則的、合理的に配分すると規定し、減価償却後の未償却残高が貸借対照表価額となると規定している(減損適用指針55項、134項)。 2 残存価額の算定 残存価額の算定に際しては、次のことに注意する(減損適用指針135項)。 3 期中の減損処理 減損会計は、固定資産について、直接的に貸借対照表価額を求めるものではないと考えられており、期末だけでなく、期中において減損処理が行われる場合がある(減損適用指針134項)。 Ⅱ 処分予定の固定資産 1 減損処理後すぐに処分するケース 減損処理の対象となった固定資産について、減損処理後、すぐに処分する予定のものがある。 このような処分予定の固定資産については、通常、回収可能価額は、売却による回収額である正味売却価額となるため、減損処理後の帳簿価額と残存価額は一致していると考えられる(減損適用指針137項)。 2 減損処理後、一定期間経過後に処分するケース 処分予定の固定資産であったとしても、減損処理後、一定期間経過後に処分する予定のものがある。 この場合には、当該一定期間において固定資産として使用されることから、残存価額まで減価償却を行うこととなる(減損適用指針137項)。 3 保有目的を変更して固定資産から流動資産に振り替えるケース 従来、固定資産として保有していたものについて、保有目的を変更し、流動資産に振り替えることがある。 減損適用指針は、従来、自社使用又は賃貸事業用目的のために保有していた固定資産を、減損処理後、合理的な理由に基づき、販売目的で保有することに変更した場合には、当該固定資産の帳簿価額を固定資産から流動資産に振り替えることとなると規定している(減損適用指針136項)。 保有目的の変更が、財務諸表に重要な影響を与える場合は、追加情報として、その旨及び金額を貸借対照表に注記することになると考えられる。当該ケースについては、日本公認会計士協会から「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会報告第69号)が公表されており、その「7.販売用不動産等及び固定資産の保有目的変更への対応」に規定されている。 Ⅲ 遊休資産 減損の兆候として、資産又は資産グループが遊休状態になり、将来の用途が定まっていないことがあげられている(減損適用指針13項(4)、85項)。 「遊休状態」とは、企業活動にほとんど使用されていない状態であって、過去の利用実態や将来の用途の定めには関係がない現在の状態であり、このような状態にある資産が遊休資産である(減損適用指針72項)。 遊休資産について減損処理を行った場合、減損処理後の減価償却費は、原則として、営業外費用として処理する(減損適用指針56項)。 また、減損処理を行うこととはされなかった遊休資産についても、減価償却を行うこととなり、当該遊休資産の減価償却費についても、原則として、営業外費用として処理する(減損適用指針56項)。 「固定資産の減損に係る会計基準」が設定される前には、日本公認会計士協会から「休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い」(監査第二委員会報告第2号)が公表されていた。 同委員会報告は、平成16年3月17日付の「監査第二委員会報告第2号『休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い』の廃止について」により、廃止されている。 廃止する理由において、監査第二委員会報告第2号における以下の取扱いについては、すでに実務慣行として定着していると考えられたことが述べられているので、実務における取扱いについては、注意が必要である。 Ⅳ 減損損失の戻入れは行わないこと 減損損失の戻入れは、行わないと規定されている(「固定資産の減損に係る会計基準」三、2)。 「固定資産の減損に係る会計基準」においては、減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を認識及び測定することとしていること、また、戻入れは事務的負担を増大させるおそれがあることなどが、その理由である(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四3(2))。 (了)
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経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第66回】外貨建取引③「為替予約」―振当処理
経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第66回】 外貨建取引③ 「為替予約」 ―振当処理 仰星監査法人 公認会計士 石川 理一 日本公認会計士協会準会員 永井 智恵 〈事例による解説〉 〈会計処理〉 ① 販売契約の締結時(X1年1月1日) ② 輸出時(X1年2月1日) (*1) 1,000ドル×取引発生時レート 100円/ドル=100,000 ③ 為替予約の締結時(X1年3月1日) (1) 直々差額 (*2) 1,000ドル×(予約時レート 99円/ドル-取引発生時レート 100円/ドル)=-1,000 (2) 直先差額 (*3) 1,000ドル×(予約レート 104円/ドル-予約時レート 99円/ドル)=5,000 ④ 決算時(X1年3月31日) 直先差額の期間配分(X1年3月1日~X1年3月31日分) (*4) 5,000((*3)より)×1ヶ月(X1年3月1日~X1年3月31日)/2ヶ月(X1年3月1日~X1年4月30日)=2,500 ⑤ 決済時(X1年4月30日) (1) 売掛金の決済 (2) 直先差額の期間配分(X1年4月1日~X1年4月30日分) (*5) 5,000((*3)より)×1ヶ月(X1年4月1日~X1年4月30日)/2ヶ月(X1年3月1日~X1年4月30日)=2,500 〈会計処理の解説〉 為替予約とは、将来の一定の期日において、一定量の通貨を他の通貨による一定の価額で売買する先物為替取引です。 為替予約の会計処理は、前回の記事で説明した「独立処理」が原則的な処理方法となります(金融商品会計基準25項)。一方で、特例処理として「独立処理」よりも実務上の煩雑さが排除された「振当処理」の採用も認められています(外貨基準注解 注7)。 振当処理を採用するためには、ヘッジ会計の要件を満たす必要があります。同一通貨建てによる同一金額で同一期日の為替予約を振り当てる場合には、為替予約契約が企業のリスク管理方針に従っていることが客観的に確認できる必要があります(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(以下、実務指針)4項前段)。 本事例のように、輸出取引の後に為替予約が締結された場合、まず輸出時に取引発生時レートに基づき売掛金が計上されます(②の仕訳)。 その後、為替予約の締結時において、売掛金を予約レートで換算替えします(③の仕訳)。このとき、取引発生時レート(100円/ドル)と予約時レート(99円/ドル)の差額により生じた換算差額、すなわち直々差額については、予約日の属する期の損益(為替差損益)として処理します(③(1)の仕訳)。 また、予約時レート(99円/ドル)と予約レート(104円/ドル)との差額により生じた換算差額、すなわち直先差額については、為替予約の決済時までの期間において合理的な方法(日割り又は月割り)により期間配分します(③(2)および④の仕訳)。 ここでポイントとなるのは、(Ⅱ)の期間に配分される為替差益2,500円は、X1期の損益とはせずに、前受収益として翌期に繰り延べるということです(為替差損を繰り延べる場合は、前払費用を計上することとなります)。また、決算時において計上された前受収益についてX3期に属するものが存在する場合は、その分を長期前受収益に振り替える必要があります。 なお、本事例では商品の輸出後に為替予約を締結していますが、商品の輸出に先立ち為替予約を締結した場合、例えばX1年1月1日の販売契約の締結時において為替予約の締結を行った場合については、実務上の煩雑さを避けるために、取引発生時レートと予約レートの差額を期間按分せずに、取引発生時(輸出時)に計上される売上および売掛金を予約レートによる円換算額で計上する簡便的な方法も認められています(実務指針8項)。 ただし、振当処理を採用した場合でも、為替予約の締結後に、輸出取引を行わずして決算日を迎えた場合は、決算日において為替予約を時価評価することになります。時価評価により認識した評価差額については、税効果会計を適用した上で、純資産の部に繰延ヘッジ損益として計上し、翌期以降に繰り延べます(実務指針4項後段)。 ※2015年1月は2014年1月に続き、企業結合会計を取り上げます。 (了)
